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アメリカの「親日係(しんにちがかり)」、アーミテージ氏の役割


 6月1日の読売新聞は、「同盟強化『正しい方向』歴史摩擦 中国利する」という見出しで、次のように報じていました。
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 リチャード・アーミテージ元米国務副長官(68)は5月31日、都内のホテルで読売新聞と会見した=写真、佐々木紀明撮影=。日米同盟強化へ向けた安倍政権の対応について、「正しい方向に進んでいる」と評価する一方、
歴史認識問題をめぐる国際摩擦は「中国を利すると懸念を示した。(国際部 尾関航也)・・・
(中略)
 ——いわゆる従軍慰安婦をめぐる日本の政治家の発言が、韓国や米国で反発を招いている。
 
こうした発言は中国を利する中国はアジアや欧州諸国に対し「日本が(敗戦時に受諾した)ポツダム宣言を覆そうとしている」と触れ回っている。そうした外交宣伝が正しいかのように見えてしまう。模範的な人権国家としての日本の評判も傷つく。損害の大きさは計り知れない。
 ——尖閣諸島をめぐる中国との緊張関係にはどう対処すべきか。
 忍耐に加え、断固とした意志を見せる必要がある。けんか腰ではなく、慎重に防衛力を展開し、慎重な発言に努めることだ。
 現時点で一方的に譲歩するのは誤りだ。中国の強硬姿勢に誤った教訓を与えかねない。いつかは双方が譲歩できるときが来るかもしれない。
   
 ◆米「知日派」知識人の代表格 
 米政府の対日政策に大きな影響力を持つ「知日派」知識人の代表格。2000年、ジョセフ・ナイ元国防次官補らと共に執筆した日米同盟への政策提言が国際的反響を呼んだ。昨年8月には第3次提言をまとめ、日本に「一流国」としての奮起を求めた。1967年、米海軍士官学校卒。ベトナム戦争に従軍後、30代でレーガン政権の国防次官補代理に抜てきされた。01〜05年、ブッシュ政権で国務副長官。現在はコンサルティング会社の代表を務める。
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 アーミテージ氏は“従軍慰安婦”についての記者の質問に、「こうした発言は中国を利する」と答えています。記者の質問自体が、「いわゆる従軍慰安婦をめぐる日本の政治家の発言」と言う曖昧な聴き方なのも問題ですが、
彼は慰安婦問題の本質については、何も語っていません。本質とは、慰安婦は性奴隷であったのか、日本政府の強制があったのか、日本政府の謝罪と賠償が必要なのか、アメリカ・韓国などの他の国でも類似のケースがあったのか、等です。

 本質について何も答えない中で、「こうした発言は中国を利する」と発言していますが、中国を利するかどうかは慰安婦問題の本質とは別問題のはずです。第三国に誤解され、中国を利する恐れがあるのなら、誤解を招かない言い方を工夫すべきであり、誤解されたのであれば、誤解を解くべき努力をするべきと言う話だと思います。

 それにもかかわらずアーミテージ氏が本質について何も答えなかったのは、橋下市長をはじめとする日本人の異議申し立てに反論できないからだと思います。そして、「こうした発言は中国を利する」と発言したのは、アメリカにとって
日本人の反中感情に訴え、それを煽ることが効果的で重要であると考えているからだと思います。

 
アメリカ人にとって、慰安婦問題の意義とは、韓国人の反日感情を煽り、日韓の間に亀裂を生じさせることであり、アメリカの対日外交の基本は、日本と中国・韓国の間に亀裂・不和を生じさせ両国間の適度な緊張状態を維持する事です。

 “慰安婦”、“歴史認識”を巡り、
アメリカの有力紙と国務省の下級報道官は韓国と中国の反日感情を煽り、アメリカの“親日係”のアーミテージ氏は日本人の反中感情を煽るという、役割分担をしているのです。それぞれが別の言い方をしていますが、問題の本質には答えず、各国間の反目を煽るという対応は共通しています。

 日本国民も中国を利するのは本意ではありませんが、慰安婦について、
このまま何も言わずに沈黙することの不利益は無視できません。だから多くの日本の政治家は発言をしているのです。
 
韓国人・アメリカ人の“慰安婦”騒ぎはウソの上に成り立っています。日本国民はウソを嫌います。ウソがウソとして認知されるまで、これからも日本国民の異議申し立ては続くと思いますし、また続けなければならないと思います。

平成25年6月2日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ