H189
公務員に“兼業”を許すとは彼らが「暇(ひま)人」である事を示している 今まで公務員が「残業が多い」と言って、仕事減らしを主張していたのは嘘だったのか -公務員に何も言えなくなった読売新聞- 

 8月26日の読売新聞は、「公務員の兼業 規律を守ることが大前提だ」と言うタイトルの社説で、次の様に論じていました。(茶色字は記事、黒字は安藤の意見)
------------------------------------------------------------------------------------
公務員の兼業 規律を守ることが大前提だ
2025/08/26 05:00 読売 社説

 地方公務員である自治体職員の兼業を後押しする動きが広がっている。「全体の奉仕者」という公務員の立場を損なうことなく、住民の理解を得られる制度にせねばならない。

 「後押しする動きが広がっている」と言うのは、一体どこで「広がっている」という事なのでしょうか。“後押しする”とは、一体誰が後押ししているのでしょうか。公務員の中での動きは“後押し”とは言いません。それは“自分押し”です。この記事は重要な事実を隠しています。

 住民の間で動きが拡がっているとは考えられません。公務員制度がどう有るべきかは、市民(住民)の意見により決定されるべきであり、お役人の意見ではありません。
 この記事を書いた記者は住民の意見を聞いているのでしょうか。

 地方公務員法によると、自治体職員が営利企業などで働く場合、任命権者である首長らの許可が必要になるとされている。

 全体の奉仕者として、職務の公正確保や品位の保持、公務の能率確保が求められているためだが、近年は一定の基準を設けて兼業を認める自治体が増えている

 “許可”が必要なのは、“兼任”は“専任”に比べて、公務員としての労働の“質・量”が低下するからです。住民(納税者)としてとても容認できるものではありません
 この社説では兼業が有給なのか、“本業”の公務員としての給与は今まで通り支給されるのか、肝心なことは何も報じられず、隠されています。
 
 長野県は2018年、町づくりなど公益性が高い仕事を中心に、兼業を認める制度を創設し、延べ約130件を許可している。

 仕事が公務員の立場になじむかどうかという観点で判断しており、営利企業であっても、大規模農業に取り組む会社や公園の指定管理者となっている会社で働くことなどは許可してきた。

 一方で、家族の経営する会社の役員就任やコンビニエンスストアでの勤務は、収益を得るための性質が強いとして認めなかった

 このような基準設定は、「職業による差別」に該当すると考えるべきです。

 自治体が兼業を進める大きな理由は、職員のなり手不足だ。23年度の地方公務員採用試験の倍率は4・6倍で過去最低となった。

 倍率4.6は、このような“改革”を必要とする事態と言えるのでしょうか。公務員の“なり手不足”の原因は、残業が多く多忙である事と主張されてきたのでは無かったのでしょうか。兼業の余裕(暇)があるとは、明らかに今までの主張に反します

 公務員の“なり手不足”は公務員の“劣化”が原因です。そしてその一因は官公労組の存在です。同業者間の競争という歯止めが存在する民間企業と異なり、同業者との競争関係が存在しない官公労組では、劣化に歯止めがかかりません。
 そして“なり手不足”は更なる“劣化”を誘発するという悪循環です。

 働き方の自由度を高め、個人の能力を生かして収入を得ることを認めて、人材確保につなげる狙いだ。1人が複数の役割を果たさなければ、地域社会の維持が難しいという側面もあるのだろう

 “だろう”とは無責任(いい加減)な発言です。
兼業」を正当化する理由何もありません。あるのは
屁理屈だけです。「職員に副業の余裕があるのなら、公務員の定員削減すべき」というのが、正論です。

 問題は兼業の許可基準に明確なルールがなく、自治体の対応にバラツキがある点だ。基準がない自治体は3割を超えている。

 総務省は6月、全国の自治体に対し、兼業の許可基準を設けて公表するよう通知した。

 営利企業との兼業を一律に禁止しないことや、自営業との兼業も認めるよう促している。その一方で、兼業先との利益相反の有無を確認することや、報酬額労働時間の適切な管理も求めた。

 許可基準が必要という事は、兼業は不可というのが原則と思われます。そうである中では、兼業を許可するのは単に基準の問題では無く、本業に支障が無いことを前提とし、兼業を許可するのは特別な事情による例外とする法律上の明確な規定が必要です。
 総務省の“通知”で片付けて良い問題ではありません。公務員が「公務員のあり方」を決めて良い筈が無いと言うべきです。

 公務員は全体の奉仕者であり、特定の関係者を利するような権限の行使は、あってはならない。兼業を認めるにしても、役所での自分の職務と無関係な業務に限定するよう徹底すべきだ。

 これは“全体の奉仕者”云々の話では無有りませんが、強いて言えば「全体の奉仕者」とは、兼業を否定し、専業を前提としていると解釈できます。
 しかし「兼業」を単なる役所内の基準で進めていけば、やがて総てが公務員のために、“何でもOK”に進んでいくのは明らかです。

 公務員制度の根幹にかかわる問題を、法律上の問題とせず、“役所内”の問題として処理するのは根本的な誤りであり、読売新聞(マスコミ)の視点は、法治国家、民主主義の根幹から外れています。こんなことが許されれば、各地で“公務員天国”が出現するのは必須です。

 自治体は今後、地域の実情を踏まえて、許可基準の策定に取り組むことになる。

 兼業は業務時間外に行うため、自治体業務の効率化を進める必要がある。住民の理解を得るための努力も欠かせない。国は制度作りの参考となるよう、各地の取り組み事例を周知してほしい。

 彼らにとって“効率化”とは、“省力化”、“手抜き”に他なりません。
 読売は国民に対してマスコミ本来の役割を果たしているとは到底言えません。マスコミは今や公務員のやりたい放題に何も言えない(言わない)存在に落ちぶれました。これが“官・マス癒着”「両者の力関係の現実」です。

令和7年9月1日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ