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少子化対策は完全に行き詰まっており 責任を問われるべき人物は多岐・多数にわたる -自民党総裁選挙で候補者全員がこの問題に沈黙で良いのか-
9月14日の読売新聞は、「自民党総裁選 共同記者会見の要旨」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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自民党総裁選 共同記者会見の要旨
20240914 0500 読売
自民党総裁選
憲法改正 前に進める…高市氏
外交関係 基本変えず…林氏
労働市場の改革 注力…小泉氏
■岸田政権の評価
――岸田政権が3年間で行ってきた政策や政治姿勢で、継承するべき点、転換するべき点は。
自民党総裁選「リベンジ組」に存在感…地元期待「閣僚経験生きる」「本気で日本を変える」
高市早苗経済安全保障相 憲法改正を進めるという(岸田)総裁の指示は継承する。大胆な危機管理投資と成長投資で強い経済を実現し、各種税率を上げずとも税収が増える形を作ることを最優先にする。
小林鷹之・前経済安保相 一時しのぎの補助金ではなく、経済波及効果が出る国費の使い方を意識する。岸田政権では長期の国家ビジョンが、明確かつ広い範囲で共有されている感じが正直しなかった。
林芳正官房長官 物価に負けない賃金上昇を確かなものにし、中小企業や小規模事業者に実感してもらえるような施策を追加する。外交関係は、首相が代わっても基本的な部分は変えてはならない。
小泉進次郎・元環境相 労働市場改革に注力し、ライドシェアを含めた聖域なき規制改革を進める。拉致問題は、今までのアプローチでは変わらない。(北朝鮮の 金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記と)トップ同士、前提条件なく向き合う。
所得倍増 賃上げ加速…加藤氏
負担増への不安 解消…茂木氏
上川陽子外相 この1年、岸田上川外交を深化させてきた。経済は成長を進めて所得を再分配する姿勢を継承する。これまでしっかりと光が当たらなかったシングルマザーやシニア世代に目を向ける。
加藤勝信・元官房長官 国民の所得倍増を進める中で、賃上げを加速する。派閥解消は必要だったと思うが、やや唐突感があった。党全体に関わる議論は万機公論に決すべしの信念に基づいて党運営を図る。
河野太郎デジタル相 首相になればトップダウンで改革のスピードを上げる。孤立・孤独の問題にもう少し焦点を当てたい。財政や社会保障の見通しのベースになる数字を検証する独立財政機関を作る。
石破茂・元幹事長 実質的な賃上げを継続することは極めて重要だ。地方の衰退を止めることに、さらに強力に取り組む。なぜウクライナで抑止力が効かなかったのかの検証は、しなければならない。
茂木敏充幹事長 防衛力強化や子育て支援策の充実は引き継ぐが、財源は成長による税収アップ、税外収入の増加で十分確保できる。古い財務省的な体質から転換し、負担増への国民の不安を解消する。
■解雇規制緩和
――解雇の自由化への考えは。
小泉氏 解雇の自由化を言っている人は私も含め誰もいない。終身雇用で柔軟性のない労働市場がこのまま続くと、正規非正規の格差解消につながらない。大企業の人材が成長分野で働ける環境を作る。
小林氏 安易な解雇規制の緩和は、格差を拡張しかねず、慎重であるべきだ。失業なき労働移動を行うのが筋であり、特に不本意で非正規で働く方々の正規で働きたいという思いに応えることが重要だ。
茂木氏 転職が普通という社会を作ることが先決だ。スタートアップを支援し、副業を解禁する。ハローワーク改革で3万人の職員がフル稼働すれば、労働移動を支援する雇用インフラに生まれ変わる。
防災省庁 国家の責任…石破氏
財政に規律 取り戻す…河野氏
■防災対策
――防災省の設置は必要か、不要か。
石破氏 災害大国に専門の省庁がないことが異常だ。被害時に補正予算や予備費で対応する体制でいいのか。全国どこで何が起こっても同じ対応ができることが国家の責任だ。
加藤氏 各地域の災害対応のノウハウを一元的に集約し、中央で動く機関として危機管理庁を作る。執行部門を持つ「省」ではなく、調整機能を中心とした「庁」としていく。
高市氏 国土 強靱きょうじん 化は、何よりも大事な危機管理投資だ。復興庁設置法を改正し、東北以外の復興にも取り組めるように機能を強化していく。
小林氏 重要なのはスピーディーな判断を下せるかだ。首相と官房長官のラインを基軸に判断できる体制が必要で、調整が重なるような機関は必要ない。
上川氏 関連省庁が一つになって対応にあたる司令塔の機能は重要だ。防災省の議論よりも、それぞれの連携を有識者会議などで評価・点検する。
■痛みを伴う政策
――財政再建など痛みを伴う政策への考えは。
河野氏 財政がかなり膨張しており、財政収支を視野に入れた規律を取り戻す必要がある。消費税増税の議論はするべきではないが、目的や効果測定が明確でない事業は切る。
林氏 好きな言葉に「遠慮と 任怨にんえん 」がある。遠きを見て、今やっておかなければ大変なことになることであれば、泥をかぶってでもやる。これが保守の政治家としての責任だ。
■皇位継承
――皇族の確保について、今後の与野党協議に向けた具体策はあるか。
高市氏 男系で続いてきた皇統をお守りするのが、今に生きる私たちの責任だ。旧皇族の養子縁組復帰に期待している。
小林氏 男系男子でつながれてきた皇統をしっかりと守る。その前提に立って 静謐せいひつ な環境の下で協議を進めることに尽きる。
茂木氏 男系男子を前提に将来において議論を深める問題だ。皇族の確保策は、有識者報告書も踏まえて早急に対応する。
小泉氏 皇室のあり方の議論が政争の具になったりせず、静謐な環境で立法府の総意をまとめることができるよう貢献する。
政治資金 ルール急ぐ…小林氏
高い倫理観 党全体に…上川氏
■政治資金問題
――政治資金収支報告書の不記載問題でさらなる実態解明を行うか。党の信頼回復はできるか。
高市氏 追加的な調査は考えていない。新たな事案が出た場合の再調査はあり得る。専門家を入れて党の予算を組み、公平な配分や使途のチェックを行う。
小林氏 一度決定した処分を覆すことは党のガバナンス上適切ではない。「党近代化実行本部」を立ち上げ、罰則を含めたルール整備を早急に進める。
林氏 新しい事案が出れば再調査はやらなければならない。それぞれが説明責任を果たすことが、次のご自身の選挙に向けても非常に大事なことだ。
小泉氏 岸田総裁がトップとして責任を取って退任を表明した。政策活動費の廃止や旧文通費の使途公開などでお金の流れの不透明なところをなくす。
上川氏 捜査当局、司法の判断は重い。改正政治資金規正法を守り、二度とこうしたことが起こらないよう法令順守、高い倫理観を党全体に浸透させる。
加藤氏 説明が不十分との声に応えていくべきだ。政党交付金から不記載相当分を国庫に返納し、党の責任を果たす。政活費、旧文通費は公開する。
河野氏 検察以上の事実究明は難しい。不記載額の国庫返納でけじめをつける。政治に関するお金は政活費も旧文通費も、領収書をつけて報告する。
石破氏 党全体で国民に納得したと言ってもらえる努力をしなければならない。説明責任は総裁も負う。政党のガバナンスを律する法律制定は急務だ。
茂木氏 党の運営体制や財務体質をゼロベースで見直す。新たな事実が出れば適切に対応する。政治資金の透明性を高める観点から政活費は廃止する。
■選挙での公認
――不記載のあった議員を選挙で非公認とすることはあるか。
高市氏 不記載があった方が、誠心誠意地元で説明責任を尽くし、(選挙で)勝てる状態になっている場合は公認する。
小泉氏 説明責任を果たしているか、再発防止に取り組んでいるかに加え、地方組織や有権者の声も踏まえて厳正に判断する。
加藤氏 処分と公認とは別の話だ。それぞれの議員がどういう活動をしてきたのか、総合的に厳正に判断されるのは当然だ。
石破氏 地域でどれだけ支持されているかを中心に、当選可能性という点で議論される仕組みを変えることは考えていない。
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共同記者会見とあるので、記者の質問に候補者が答える形で行われたものと思えますが、どこの何と言う名の記者がどういう質問をしたのか全く報じられていません。
この選挙は自民党内の選挙で、候補者、有権者とも党員に限られます。このような選挙の記者会見で、党外の記者達が質問・発言をすることには問題があります。記者達は党員の代表でも、自民党支持者の代表でもなく、中には自民党に対して敵対的な者も含まれます。そういう者の質問・発言は自民党内の選挙を歪める恐れがあります。
「政治資金」の問題が大きく取り上げられていますが、その一方で、「少子化対策」に関する質問・発言は記者からも候補者からも全く取り上げられていません。(ただ1人茂木敏充幹事長が・・・「子育て支援策の充実は引き継ぐ」と発言しています)
1989年の1.57ショック以来35年、国の将来を左右する最重要課題として論じられてきた問題が、なぜかここでは完全に無視されています。
選挙直前までは、少子化対策は「子育て支援」と結びつけて、頻繁に取り上げられていたにもかかわらず、いざ選挙となるや全候補者・記者達がこれに触れるの避けるのはなぜでしょうか。
それは少子化対策が完全に行き詰まっており、今これに触れることは責任問題に発展(を誘発)しかねないからです。しかし黙っていれば済む問題ではありません。「臭い物には蓋」が許される問題ではありません(茂木氏は臭い匂いも分からないようです)。人口減少社会の混乱と悲劇は目前に迫っているのです。私たちの子や孫達が混乱と停滞、亡国の時代に突入する時が目前に迫っているのです。
少子化に便乗して少子化対策としての効果が無い「子育て支援」を長年継続し、多額の費用を浪費し日本を人口減少激化の危機に陥れた責任は重大です。責任のあるものを厳罰に処するべきです。
(参考 A249 少子化対策の誤り(便乗詐欺)を指摘した読売新聞の画期的記事)
令和6年9月16日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ