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 雇用に於いて現実となりつつあるのは、「男女を問わず」から「男女別」へ -「男女雇用機会“均等”」とは真逆の、「男女雇用機会“不均等”社会」へ-

 7月18日の読売新聞は、「銀行の男女格差解消 要請 全銀協 女性管理職比率の公表」と言う見出しで、次の様に報じていました。(茶色字は記事 黒字は安藤の意見)
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銀行の男女格差解消 要請 全銀協 女性管理職比率の公表
2025/07/18 05:00 読売

 全国銀行協会(全銀協)の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は17日の記者会見で、銀行界で男女間の賃金格差是正を進める考えを明らかにした。会員の銀行に対し、格差是正方策女性管理職比率を定期的に公表することを要請した。

 「男女間」の格差を問題視していますが、格差が有ってはいけないのでしょうか。「男女間」では無く、「男性間」、「女性間」つまり「同性間」の格差は問題ないのでしょうか。無いのだとすればその理由は何なのでしょうか。

 人により能力・適性格差があることは誰しもが認めることです。それは「同性間」に限ったことではありません。「男女間」で能力・適性に差が無いというのは事実ではありません。

 銀行以外の職業、職種でも就労者数待遇などで、男女間の不均衡が存在するものはいくらでもあります(例えば建設現場の力仕事など)が、それらの多くは“不均衡”が問題にされることは有りません。なぜでしょうか。男女間で能力・適性などに於いて顕著で明確な「格差」がある事が明白だからでしょう。そして、女性達はそれらの職業・職種に就くことを望んでいないからでしょう。

 男女間の格差が不当であるか否かは、職業・職種により異なるのであり、一律の議論、女性が望む職業についてだけの議論現実を無視した暴論です。

 会員行は今後5年間、男女の従業員の賃金格差要因を分析し、対応策や目標設定管理職に占める女性従業員の割合などを定期的に公表する。半沢氏は「組織のパフォーマンス発揮の観点から、対応が必要な課題だ」と語った。

(参考) 今さら聞けない「パフォーマンス」の意味は?使う場面で異なるニュアンスも説明します | Precious.jp(プレシャス)
■ビジネスシーンで使われるときの意味
ビジネスシーンでの「パフォーマンス」は、「性能」「効率」「成果」といった意味で使われます。パソコンやスマートフォンなどのIT関連、製品については、「性能」や「処理能力」「商品価値」という意味合いが濃く、上司が部下を評価する「パフォーマンス」といえば、「実績」「効率」「成果」だと思ってよいでしょう。あるいはずばり、「売上」を指しているとも考えられます。
 また、「経済・金融」の世界では、証券などの過去の「運用実績」を指します。

 目標設定と言いますが、一体なぜ目標が必要なのでしょうか。女性に限って目標を設定するのは、男女別採用を前提としていますが、公平な採用とは男女の性別を問わず意欲・能力・実績を基準に決定されるもので、男女の比率はその結果でしか有りません。“目標”の意味が分かりません。女性比率目標設定男女無差別とは相反し矛盾します。

 銀行界では、一般的に支店などの店舗事務を担う「一般職」の女性が多く、「総合職」が大半の男性との賃金差が大きくなりがちだ。全銀協が4月に会員行を対象に行ったアンケート調査では、男性の賃金に対する女性の賃金の割合は50・4%にとどまった。70%前後製造業卸売・小売業と比べて格差が大きい。会員行からは「男性中心組織文化になっている」という声聞かれるという。

 女性に一般職が多く、男性は総合職が多いのは男女別にそれぞれの職種ごとの定員を定めているのでしょうか。それとも性別の定員は無く、結果は自由な応募、公平・平等な選考課程の結果なのでしょうか。そうであれば何を問題視するのでしょうか。

 ただ、三菱UFJ銀が今年から一般職を廃止し、高知銀行では女性頭取が就任するなど、女性登用の動きは出始めている。三菱UFJ銀を傘下に収める三菱UFJフィナンシャル・グループは、銀行など傘下の主要3社の女性管理職比率を2030年に30%まで引き上げる数値目標を掲げる。

 一般職を廃止すると、全員が総合職になる(職種区分が無くなる)のでしょうか。職種別の採用をすることに何か問題があるのでしょうか。一律の方が「職業(職種)選択の自由」と言う観点から、応募する人にとっては、不親切であるとか、労務管理の上でも不都合が出てくるのではないでしょうか。
 一般職の廃止女性頭取の就任は何か関係がありますか。
 また、女性管理職の割合を意図的に引き上げを図れば、同じ評価基準(例えば80点)を満たす社員でも、女性は昇格男性は保留という不公平な事態(格差)が生じます。女性は80点で管理職になれるが、男性は90点取らないと管理職にはなれないという事態です。

 「50・4%」、「70%」、「30%」という数値が提示されていますが、その数値には何か根拠、基準、意味が有るのでしょうか。あるいは適正な目標数値があるのでしょうか。根拠の明らかで無い数値を乱発するのは建設的な議論とは言えません。

 男女平等(機会均等)の制度とそれによる選考過程の結果を、意図的に変更することを目的とする制度の変更は、改善では無く改悪(機会不均等)に繋がるものと言うべきです。
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  今後もし銀行の人事担当役員が、全銀協の半沢淳一会長から、
女性管理職の比率や、今後の目標数値報告を求められたら、次の様に回答したら良いと思います。
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全国銀行協会 会長
半沢淳一 様

 当社では管理職の人事については、総て
男女の別を問うこと無く、本人の希望を元に、本人の意欲・能力・実績を基準に決定しており、男女別の統計は取っておりません。
 また、
女性管理職割合を何%にするか目標を立てたことは無く今後も目標値を設定する予定は有りません。従ってお問い合わせについて回答することが出来ません。

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令和7年7月20日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ