2007年の山旅 (8月~12月)



経ヶ峰から笙ノ峰へ


【経ヶ峰】1528.9m。大台山中、三津河落山から西へ延びる尾根上にある。「大和青垣の山々」では、「和州吉野郡群山誌」大台山記の「教導師」をこの山としている。慶長年間に西上人(丹誠上人)が道を開き、経を埋め変化を封じ込めて塚を建てたという。在はすぐ下をドライブウェイが通る。
【笙ノ峰】1316m。笙ノ内ともいう。大蛇嵓を挟んで東の川の対岸、かっての河合道(今は小処温泉に下る道として知られる)が逆峠を過ぎて竜口(リュウゴ)尾根を分ける地点から、西へ約1㎞の尾根上にあるピーク。

【登 山 日】2007年7月31日(火) 晴れ  
【コースタイム】駐車場所(ワサビ谷降り口)08:15…経ヶ峰08:45~08:55…駐車場所09:05~09:08…七ツ池分岐09:40~09:53…開拓分岐10:00…展望台10:18~10:23…逆峠10:35…笙ノ峰11:50~12:00…逆峠13:20…展望台13:30…開拓分岐13:40~14:00<昼食>…七ツ池分岐14:05~14:08…駐車場所14:40


いよいよ9月から西大台への入山規制が実施される。これまでのように思い立った日に気軽に…とはいかなくなる。とはいえ、何度か歩いた周遊コースでは面白くないので、笙ノ峰まで足を伸ばすことにした。前々からその美しい名前で気になっていた山である。ワサビ谷降り口に車を置いてまず経ヶ峰を往復する。落ち葉に埋まるような踏み跡を辿って小さな石標が立つ経塔石に登る。ゆるく下ってドライブウェイのガードレール沿いに行き、再び山道に入る。葉の枯れたバイケイソウの群落の中を通り、シカ除けの柵沿いに原生林の中を登る。やや尾根が狭まり、岩が出てくると経ヶ峰についた。山頂は樹木に囲まれて殆ど展望がない。帰りはドライブウェイを歩いて、往復45分のハイキングだった。

ワサビ谷への降り口には、「クマ注意」の看板と並んで「入山規制の説明板」が立っている。自然林の中に続く道はザイルが張ってある崩壊地を横切ると、あとはなだらかな下り道である。次第に谷の瀬音が近づき清冽な流れのワサビ谷に降り立つ。谷沿にいくとしばらくで、西大台周遊路の七ツ池との分岐に出た。地形図の点線路は尾根筋で逆峠(サカサマトウゲ/1411mピーク)に続いているが、周遊路はここから尾根東側の平坦地を行く。開拓分岐を過ぎて小処温泉へ続く道に入る。強い陽射しが眩しい展望台にシカはいず、初めて数人の登山者に会う。広い尾根のコブを越えたところに逆峠の標識があった。地形図の逆峠1411mの位置よりは、東へ約200m離れた尾根左下の地点になる。

稜線を右に見て山腹の捲き道を行く。竜口(リュウゴウ)尾根への分岐で、ここまで南下してきた道はほぼ直角に曲がって西に向かう。ここで道は稜線をまたぐ格好になり、これまで左山腹を来た道が右山腹を行くように変わる。林の中を緩く下ってクラガリ股谷の源流を過ぎる。稜線から60~70m下をほぼ等高線沿いに進む。急坂を登って笙ノ峰山頂(1316m)にたつ。三角点付近は美しい林の中だが、南側へ10mほど下ると切り立った崖の上で、南から西にかけて視界が開けた。南には、すぐ近く山腹に林道の通る又剣山、その右肩に荒谷山、更に右には遠く那智の山々が並んでいる。西には、笠捨山から地蔵岳、釈迦ヶ岳、八経ヶ岳、弥山とつづく大峰山脈が一望できた。
存分に展望を楽しんで山頂を後に来た道を帰る。新しい西大台の魅力を見つけた静かな山歩きだった。

辻堂山と西大台周遊

【登 山 日】2007年8月7日(火)晴れ  
【コースタイム】 辻堂林道入口08;00…取り付き08:10…辻堂山08:25~08:35…取り付き0:45…林道入口08:55==頂上駐車場09:25…中ノ谷10:15~10:25…七ツ池10:35…開拓11:15…逆川(昼食)11:25~11:50…弁慶力水12:20~12:25…駐車場13:20

炎熱地獄の下界を逃れて大台ヶ原へ向かう。ドライブウェイに入ると正面に釈迦ヶ岳が大きく見える。その手前に整った山容を見せる辻堂山は、前々から気になっていた山である。本来は西原から昔の道を3時間近くかけて登るべきだろうが、今日はこれが最後になるかも知れない西大台周遊もしたいので、非常に安直にドライブウェイの辻堂林道入口から往復した。

林道を10分ほど下ると右手に取り付き点があり、木の枝に小さな赤いテープが捲いてある。疎らな笹原の中、微かな踏み跡を探りながら数分登ると、山道に合流して細いがしっかりした道になる。なだらかな傾斜で登り着いた辻堂山は、いくつかの山名板と三角点のある狭い山頂で、樹木に囲まれて展望はない。古い名前の「堂の森」という方がふさわしい感じの山だった。 往復1時間足らずの実に手軽なハイキングを終えて、西大台へ。

大台教会の横から、今日は時計と逆回りで歩く。 中ノ谷の清流で汗を拭い、川を渡ると七ツ池への登りになるが、しばらく頑張るとなだらかな尾根の道に変わる。ブナ、トウヒ、ナラ、ナナカマドなどの静かな原生林の道を行く。ひょっとすると、もう来ることもないかも知れない、しっかりと記憶に残しておこうと…ゆっくりと踏みしめるように歩く。 七ツ池を過ぎて小沢を横切るところに去年と同じようにトリカブトの群落があった。ブナやオオイタヤメイゲツの林を抜けて、ロープを張ってあるカツラ谷を渡って開拓跡に出る。 ワサビ谷出合から先週の道を歩き、展望台を割愛して逆川の畔の、先週と同じ場所で昼食。すぐ近くの木の枝に小鳥が遊んでいる。ホトトギスがのどかに鳴いている。食事を済ませ逆川を吊り橋で渡って、ガラガラの石ころ道を登る。 しばらく登ると大岩壁の下から「弁慶の力水」が今日は滔々と流れ落ちている。とても冷たくて美味しくて、本当に力が沸いてくるようだ。ナゴヤ谷の美しい流れに沿ってしばらく歩き、最後に少し急坂を登って大台教会下の分岐に帰る。今日はなぜか会う人も少なく、静かな一日だった。 山の霊気を存分に吸収して全身がリフレッシュできた思いで、大台ヶ原をあとにした。

金剛山

【登 山 日】2007年9月16日(日)  
【コースタイム】 石筆橋08:50…太尾塞10:25~10:35…仁王杉(昼食)11:35…国見城址…葛城神社12:05…<もみじ谷途中で引き返す>…大日岳13:00…太尾塞13:25~13:35…石筆橋14:40


5日後の富士山行きに備え、急に思い立って金剛山へ汗を流しに行くことにした。9時前、石筆橋から太尾を登る。しばらく通らないうちに、よく整備されて歩きやすくなっている。二人の好きな静かな奈良側の登山道は日曜日にしては人も少ない。 汗をダラダラかきながら急坂を登って、太尾賽でベンチに腰を下ろす。ところどころで風が吹き抜ける尾根道が大日岳に続く。山頂は薄の穂が靡き、ゲンノショウコやオオマツヨイグサの秋の花が咲いていた。雲は多いが展望が良く、正面の六甲の山並みがくっきりとスカイラインを見せていた。 仁王杉の横に腰を下ろすと、大阪側から冷たい風が吹き上げてきて、一度に汗が引く。お握りの食事をすませて国見城址に行ってみる。 転法輪寺横で思いがけずフェアレディさんに出会い、挨拶を交わす。ブナ林から元の道を帰る。笹原の中をしゃべりながら行くうちに、大日岳への分岐を見過ごして直進してしまった。もみじ谷をかなり下の、沢を横切るところまで降りて、ようやく引き返すことにする。 結局、仁王杉から1時間近くもかかって大日岳に着く。あとは歩き慣れた道をどんどん下って石筆橋に帰る。

富士山

【登 山 日】  2007年9月21日(金)
【メンバー】 U夫妻とペンギン夫婦
【コースタイム】 新六合目宝永山荘06:00…新七合目06:45~07:00…七合目(朝食)07:35~08:00…八合目08:35~08:50…九合目09:25~09:35…富士宮山頂10:50~11:05…剣ヶ峰11:30~12:00…富士宮頂上13:15~13:30…新六合目 15:50


20日 晴れ。薄暮の頃、新六合目につき宝永火口へ行く間もなかった。今年の富士は異常な暑さで、囲炉裏には炭も入っていない。到着してすぐにサービスの生ビール、前に一緒に登ろうと約束していた富士宮の女性への供養の酒、コケモモ酒などで良く酔い、貸し切りの部屋に入るが何度も目を覚ました。夜半、トイレに行ったついでに外を見ると、空は満天の星、下界はきらめく灯火の海で、夢のような景色だった。

21日 6時、快晴の空の下を出発。いつものことながら、登り出しは身体がなじまず、右手に見える宝永山と同じ高度までくるのに時間がかかる。無理をせず、新七合目で休んで、七合目の小屋の横で朝食をとる。七合目から九合目までは割合に楽に登る。九合目の雪渓も今年は雪が殆どなく、溶岩の間から滴り落ちる水も涸れていた。九合五勺を過ぎて胸突き八丁に来ると何度か立ち止まるようになり、ここまで追いつ追われつ来た若者グループに先に行かれる。浦上くんは流石に元気で、富士宮山頂には5分早く到着した。駿河湾の全景と伊豆半島が見える。展望図と照らし合わせると、堂ヶ島がはっきり確認できた。何人かの登山者がいたが、降りてから聞くと、富士宮口から登ったのは30人ほどだろうとのこと。(他の登山口からの人を合わせても、50人は越えなかったと思う。しばらく休んで剣ヶ峰へ登る。南ア、北ア、八ツ岳…と凄い景色だった。

ゆっくりと頂上滞在を楽しんでお鉢巡り。夜須ヶ岳で昼食。吉田口の頂上小屋が閉まっていたので、秋の富士では初めて経験する暑さに、一人2L準備した水もやや心細くなってきた。午後になっても雲も沸かず気温は更に昇る。宝永山は諦めて元の富士宮口道を下る。西日をまともに浴びて暑さは耐え難く、少しでも日陰を求めて溶岩の影を伝ったりしながら、汗をダラダラ流して宝永山荘に帰り着く。 毎年秋になってから登る富士だが、こんな暑い秋を経験したのは初めてだった。しかし、展望はよかったし、気心の知れた友と歩けて楽しかった。

清水ヶ峰

五條市(旧大塔村)にある。地形図には山名記載のない標高1186.2mの山、三等三角点をもつ。奈良教育大学の実習林の山であり、ブナ、ミズナラなどの美しい自然林を歩く。

【登 山 日】 2007年10 月13 日(土)晴
【メンバー】JAC関西支部  10名
【コースタイム】登山口10:30…十坪平11:15~11:25…808m地点(トチノキ回廊分岐)11:47~11:52…シャクナゲ沢出合12:20…昼食13:10~13:40…平田平13:58…清水ヶ峰14:15~14:37…808m地点15:30~15:40…登山口16:15


赤谷オートキャンプ近く、奈良大自然環境教育センターの建物裏手に登山口があり、「マムシ(ヘビ)、ハチに注意 元気に下山しましょう」の標識が立っていた。スギ、ヒノキ林の中の急な階段道だが、ふかふかした落ち葉が優しく足を労ってくれる。アカマツとゴヨウマツが根本で合体している仲の良い「夫婦松」を見て尾根に出ると、600mの標識。ブナやリョウブなどの美しい緑の中を登り十坪平で一休み。標高800mの休憩ベンチで道は分岐し、「←山頂 沢→」の標識がある。等高線を捲くように付けられた沢道は「トチノキ回廊」と呼ばれ、往路はこの道を歩く。枯れ沢を渡ると、斜面の右下に大きなトチノキが二本並んで立っていいた。奈良県下一番の大きさといわれていて、一本の木には大きな洞が開いている。やがて水が流れ落ちるシャクナゲ沢出合を渡る。次の沢を渡るところにシロバナサンヨウブシ(トリカブト属)がたくさん咲いていた。鉄塔の下を通って、小さな枝尾根を登った林の中で遅めの昼食。ここからいったん沢に下り、登り返す辺りの地形は少し複雑だが、木の幹に黄色いペンキ印が塗られていて正しいルートを導いてくれる。「第三の(巨大)トチノキ」はすぐ横を通って行く。イノシシのヌタ場を過ぎ、尾根道の勾配が緩むと平田平である。ミズナラの美林の中に、大きなヤマナシの木があり、実がたくさん落ちていた。近くでHさんが「天然物のマイタケ」を見つける。ここまで来ると頂上まではあと一登りである。

1186m、三等三角点のある清水ヶ峰山頂は東から南にかけて開け、まず鋭鋒・釈迦ヶ岳の姿が目に飛び込んでくる。その左には孔雀岳、仏性ヶ岳と続く奥駈の峰々。東南のには整った形の笠捨山を挟んで、左に奥・中・南の八人山。右に地蔵岳、蛇崩山…と思った以上に素晴らしい展望だった。ゆっくりと眺望を楽しんだあと、北東に延びる尾根道を下る。美しいブナ林の中を抜けて、808m地点で朝の道と合流。たっぷりと緑の森林浴に浸り、心身ともにリフレッシュできた楽しい一日だった。

六甲・高雄山

11月4日、秋晴れの日曜日、JAC女性委員の呼びかけで「浅野さん・宗實さんと歩く会」が六甲で開かれました。お二人は登山界に素晴らしい実績を残されてきた大先輩で、浅野さんが米寿、宗實さんが喜寿を迎えられ、今日はそのお祝いを兼ねての山歩きです。

三宮駅前に集まったJAC有志は男女合わせて21人。紅葉の始まった布引谷~市が原~高雄山~大竜寺~大師道とご一緒しましたが、お二人ともお歳を感じさせない足取りで、さすが~と全員が感嘆。

再度山荘でのお祝いパーティはスペアリブやバーベキューでワイングラスを傾ける、優雅で美味しい食事会でした。最後に世話役が苦労して運んできたバーズデーケーキのお相伴にあずかって、三宮に下りました。お二人の元気を分けて頂いて、まだまだ頑張らねばと改めて誓ったペンギン夫婦でした。