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マスター:久宗貴則(マウンテン生駒)
カッピングダイアリー 味覚 その2

前回はテイスティングのひとつの方法として「カッピングダイアリー」という方法をご提案させて頂きました。今回は「味」について「出来るだけ多くの情報を得る」為に必要なテイスティング法のお話をさせて頂きます。

前回にも少し触れました「上あご」。この「上あご」を上手に使うと「鮮度」のバロメーターであったり、コーヒーの「風味」の広がり方をチェックする事が出来たりします。
と言われても「?」。
もちろん個人差があると思うのですが、集中し意識して頂くとその感覚がなんとなく感じて頂けるのではないでしょうか。
では、「鮮度」のバロメーターとは。これには時間の経過が必要で全ての状態で「上あご」が活躍するわけではありません。食品は「鮮度の良い状態」から「鮮度の悪い状態」へ移り変ります。「鮮度の良い状態」であれば、もちろん「風味」が強く感じられます。この
「風味」が口全体のどのあたりで感じるか?。
そこで「上あご」の登場です。風味が強ければ強い程「上あご」から鼻に抜けてゆく感覚も増します。そして「上あご」に付いた残り香と余韻を味わいとして認識します。

ここで実験!
まず、コーヒーの香りを嗅ぎます。香りを嗅ぐ時、一度コーヒーに息を吹き掛けてから深呼吸する様に嗅いでみて下さい。もっと深く知りたい時は「クンクン」嗅いでみて下さい。
続いてコーヒーを「ズズッ」と音を立てて飲みます。では、「上あご」センサーを働かせてみましょう。どうでしょう?香りと風味が鼻から抜けてゆく感覚解りますでしょうか?
そして次に口をつむり、少し勢いよく鼻から息を出します。どうですか?コーヒーの個性的な香りが広がりましたでしょうか?。ここで個性に加えて甘味(ふくよかさ)や余韻を感じます。
この行為によってコーヒーの味わいが口のどのあたりで広がっているのか?、「上の方なのか?」「中程なのか?」「それとも下の方なのか?」、余韻や香りの持続性は?、余韻に含まれる甘味(ふくよかさ)の強弱は?。この様なポイントを抑えて味見してみて下さい。

では、「鮮度の悪い状態」になるとどうなるか?。「風味」というものは、良い状態から悪い状態になるにつれ、感じる部分が「上あご」から徐々に降下し、最後には「上あご」から鼻に抜けてゆく感覚は無く、舌に広がる味のみが感じる様になります。私はその様な状態を「平べったい味」と言っています。その「平べったい味」も量を増やすと少し味に厚みが出ます。が、「風味」が増す事はありません。
この様に、「風味」とは鮮度がもたらす財産の様なものかな?と私は感じています。時間の経過で失われてしまい、無くなって初めて分かるその価値!。コーヒーにとっても、その他の食品にとっても「風味」とはそれぐらい重要なものですよね。

「鮮度」と「風味」の関係、と「上あご」センサーの感じ方、なんとなくご理解頂けましたでしょうか?。

続いては「味」、「味わい」について。
コーヒーもやはり最終的には「味」!
誰もが疑問に思う「コーヒーの味」。コーヒーの味ってどんなもの?。
基本的には甘味、酸味、苦味といった要素を指します。まずはその中でも一番際立つものは「何か?」。「酸味」と「苦味」この2つについては比較的感じやすく強弱も付けやすいのですが、「甘味」に関しては感じにくい?と思います。
では「コーヒーの甘味!」とは。
甘味ですから勿論「甘い」と感じられれば、そのコーヒーは「甘味」がある訳ですが、それ以外に「甘味」と判断出来るもの。
それは「コーヒーのまろやかさ」「柔らかさ」「ふくよかさ」。これらの様に感覚的に「優しい味わい」と感じたり、風味の広がりにトゲトゲしさを感じないといった事も「甘味」に含まれます。実はこれが重要!!
先程の「鮮度のバロメーター」の話と同じく、「風味」が強く尚且つ爽快感のあるコーヒーでは、いきなり舌に乗っかって来る様な味わいにはならず、やはり「上あご」中心に風味の広がりがあり「甘味」を含んだ残り香や余韻を強く感じます。この広がりこそが「良いコーヒー」の見極めのポイントとなるのです。
そして数回口にし、コーヒーの温度が下がったところから舌やのどで微妙な感覚を味わいます。ちなみに下記の内容は、「甘味」を感じながらもやや不快感を感じるコーヒーの代表的な味わいです。
1.飲んだ感覚では「甘味」があると感じても口に広がる「風味」があまり感じない。
2.鼻に抜けるどころか、舌でのみ味を感じる。でも、味は淡白で甘い香りがする。
3.「甘味」があるのに飲んだ後なんとなく胃がもたれる。
これらの様な一見「良さそう」と思う感覚はコーヒーが古かったり、コーヒー豆がしっかりと焙煎せれていなかったりが原因でよくありますので、このあたりも含めて「甘味」のチェックをしてみて下さい。

そして最後にコーヒーの「個性」を感じる訳ですが、
香り、口当たり、そして余韻とそれぞれ「個性」の違いがあります。
例えば、キャラメルやチョコレートの様な甘い味わいや香りがあったり、モルトやシリアルといった芳ばしい穀物臭や味わいも存在したり、果物をおもわせる様な果実感があったり、耕したばかりの土の匂いや、土に水を撒いた時の匂いなど、「個性」も様々です。
例えば、香りには「挽く」「点てる」「飲む」の3つの香りがあります。「挽き香り」の特徴といえば、やはり「甘く芳ばしいカラメルの香り」ですが、種類によっては酸味を連想させる「甘酸っぱい香り」「柑橘の香り」があったり、「発酵臭」や「土」の匂いを感じたりもします。
口当たりは「ズズッ」とすすりながらと「グビッ」と飲む時と味わいが違います。すすりながらは香りと風味を、グビッと飲む時は甘味とコクを判断するなど使い分けて飲みます。
そして余韻は熱い時と冷めた時とで深みと甘味の濃さが違います。熱い時は「爽快感」が強く感じ香りの余韻が主で、冷めてからが味による余韻が広がります。
これらをトータルで考える事で、よりしっかりとした「個性」を理解する事が出来ます。

今回は少し複雑なお話になってしまいましたが、「カッピングダイアリー」を記載するかしないかは別にして、コーヒーの良し悪しを判断する為の材料(方法)として活用して頂ければなと思います。
そして、もしコーヒーの味わいが何となく「理解出来てきたかな〜」と感じたら、別の飲み物でも試して下さい。私の場合は、「ビール」でした。結構な種類を飲みましたね。
今までに感じなかった味わいや香りがきっと「わかる!」ようになっているはず・・・。

次回は「焙煎」についてお話したいと思います。

今回のおすすめコーヒー シーズナル ブレンド「秋日和」

当店の「秋」恒例、季節限定ブレンド「あきびより」をご紹介致します。

「秋」。なんとなく物悲しい響きもありますが、この季節は「実り」、「収穫」、「運動」、「文学」、そして「燃える様な紅葉の赤」と人間の生活の営みに与えるエネルギーに満ち溢れています。
今回そんな「秋」のイメージをコーヒーの味わいで表現しました。
夏に好まれる「さっぱり」とした口当たりはそのままに、「実り」「収穫」といった「豊か」なイメージから、香り、味わいの豊かな5種類のストレートコーヒーを持ち味をを生かしながら丁寧にブレンド!
後口にバランスのとれた柔らかな酸味と程好い苦味で空気の冷たさ(刺激)を表現しました。
「夏」から「冬」、「明」から「暗」へと移り変わる季節に「透明感」の中の味わいを、「柔らかさ」の中のコクを味わって頂きたいと思います。

配合豆・・・・ブルボン サントス(ブラジル有機・無農薬豆)
        コロンビア スプレモ(コロンビア)
        コロンビア サンチュアリオ(レインフォレスト コロンビア)
        サンチュアリオ フルシティ(レインフォレスト コロンビア)
        ハイチ モンラセル ティピカ(ハイチ)

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