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マスター:久宗貴則(マウンテン生駒)
「豊か」を形に〜コーヒーミル〜

前回のお話のつづきと行きたいところですが、まだまだ調べたい事がありますので、また近いうちにご報告出来ればと考えております。
そこで今回は「香り豊かなコーヒーライフを楽しむために」第3弾として、コーヒーミルの必要性についてお話したいと思います。
コーヒーミルの存在は皆様もご存知だと思います。使用する器具、または濃い、薄いといった好みに合わせてコーヒー豆を挽く(粉にする)器具のことです。2年程前になるでしょうか、あるドラマに出てきた喫茶店で、お客さん自らがコーヒー豆を挽き、その粉でコーヒーをたててもらう演出があり、このドラマの面白さとこの演出に魅了された方が、コーヒーミルを買いに走り、市場からコーヒーミルが無くなるという現象が起きました。
こんな事も気が付けば過去の事、今それらのコーヒーミルは実際に使われているのでしょうか?買ってはみたけど・・・。インテリアになっているならまだしも、食器棚の奥で眠っている、なんて事も多いのかも?
今回はその眠りを覚まさせるだけの目的ではありません。今、ミルの購入をお考えの方や、すでにお持ちの方に、ミルの必要性を含めた上手な付き合い方を知って頂き、今後の参考にして頂ければと思います。
まずはストレートに「ミルが本当に必要なのか!?」。前に「コーヒーは生鮮食品であり、鮮度が命!」のような事をお話ししました。お客様のお話を伺っていても、コーヒーの香りと風味をかなり重要視されています。では、その香りと風味を生かすためにどうすれば良いのか?やはりコーヒーの豆のままの保存が不可欠となります。じゃあ、やっぱり「ミルは必要!」で解決!!で、終わってしまっては今回の話の意味がありません。
そこで上手な付き合い方の話になるわけですが、以前「保存」についての話の最後に「コーヒーは保存法に頼るのではなく、鮮度の良い状態で飲みきる短いサイクル(2〜3週間)をつくりましょう。」という提案を致しました。もし、そのサイクルを実行して頂ければ、お店で粉にしてもらっても良いのではないかと考えます。極端な劣化なく飲んで頂けますし、大抵のお店は高性能な業務用コーヒーミルを使用していますので、微粉も少なく粒も揃っていて味のバランスも良くなります。それにまとめて沢山のコーヒー豆を挽いた時の何とも言えない豊かな香りが広がる瞬間といったら!!私のお店でもお客様がその香りに酔ってしまう様な光景(オーバーに言わせて!)によく遭遇します。「い〜香り!」と言って頂いた時はちょっと優越感を感じます。その後、車でお帰りのお客様は更に車の中でその香りを堪能して頂き、そして次の日も車内に残った残り香で癒されて頂く、「そんなあほなっ!」と思った方、是非当店で体感してみて下さい(ちょっと宣伝)。
お店、特に自家焙煎コーヒーのお店で挽くとこんな特典もある訳ですが、ハンドドリップ(ドリップポットを使用して抽出する方法)をされている方は、お家でコーヒーミルの使用をおすすめします。なぜハンドドリップだけなのか?と言うと、視覚的に劣化しいてる状態が「はっきり」と分かってしまうからです。コーヒーは作る工程も美味しさのうちなので、ハンドドリップの様にお湯を注いだ瞬間の粉の膨らみが「はっきり」してしまうと抽出のイメージを崩しかねないのです。「粉が膨らまない!」と思った瞬間「美味しそうでない!」と感じてしまい、工程の丁寧さに大きな影響を与えてしまいます。もちろんサイフォンなどの方法でも鮮度による豆の膨らみの違いはある訳ですが、ドリップ式ほど顕著に出ないので、ある程度一定のリズムで作業が行えます。安定した美味しいコーヒー作りにはこの視覚的要素がとても重要なのです。とは言うものの、やはり「コーヒーミルは面倒くさい」、「続きそうにない」、「時間がない」とお考えの方は、お店で挽いた粉を出来るだけ短いサイクルをつくり、その中で「保存場所」を選択頂ければ良いのではと思います。何と言っても挽いた粉を使うと楽ですし。それは否定できません。
では、コーヒーミルをおすすめするとすれば、
(1)「ハンドドリップ」をされている方
(2)コーヒーに豊かな香りと風味を求める方
(3)コーヒーを作る作業を楽しむ方
(4)日持ちさせたい方
(5)いつの間にか習慣になっている方
これらの一つでも当てはまる方はコーヒーミルの効果と必要性を実感して頂ける事でしょう。

ここからはコーヒーミルの「選ぶポイント」をご紹介致します。
まず、コーヒーミルには「手挽きミル」と「電動ミル」がございます。どちらを選ぶか?結構悩む所です。「どっちがいいの?」これはとにかくよく聞かれます。ここで「どっちでも同じです」なんて答えはお客様も望んでいない訳です。車で言うと 「マニュアル」か「オートマ」か、と言ったところでしょうか。コーヒーミルの場合「手挽き」と「電動」では摩擦熱による影響の違いがあります。例えば「電動ミル」で挽くと強い力で勢いよく粉にするので摩擦熱が多く発生します。これによりコーヒーの香り、風味が損なわれると言われています。手挽きのミルでも摩擦熱の発生を抑制するために、「刃」に熱を吸収するステンレスを採用しているメーカーもあるぐらいです。それぐらい影響力のある「摩擦熱」、重要なキーワードです。
続いて「手挽きミル」の良さ。先程の摩擦熱の発生は少なくなります。これはどれも基本的には人間が低速でゆっくり回しますから熱も帯びにくい。電動ミルより微粉が少ない。使用後の掃除も簡単。そして何と言っても楽しい!コーヒー豆が砕けている「ゴリゴリ」という音やその時に立ち込める香りは最高です。ただマイナス面で「手間と時間が掛かる」「多人数分は結構しんどい」と言った点があるので、1〜3人分位のコーヒーを作る事が主な方は「手挽きミル」おすすめです。
「電動ミル」はどうか?家庭用「電動ミル」は大きく分けて2タイプあります。プロペラの様なカッターでカットするタイプ。これはボタンを押している間、「刃」が回転し豆を粉にしますが、粗いのから細かいのまで不均一になりやすく、一定の味を出す事がほぼ不可能な機器です。しかし簡易的で場所も取らず価格も安いので一般的によく使われています。ミル付コーヒーメーカーもこのタイプが主です。お母さんの体調によって味噌汁の味が日々変化する様に、コーヒーも日々の変化の中で「今日は美味しい!」と感じる日があると、気持ちの面でいつも新鮮さを感じる事が出来るのかな?とも思います。
もう1つは、上下または前後の2つの「歯(刃)」で砕いたり、すり合わせたりしながら粉にするタイプです。このタイプですと、ちょっと高額にはなりますが、プロペラ式より安定した挽き具合と味で、中には「摩擦熱」対策を施しているコーヒーミルなんかもありますが、やはり欠点はあります。「思ってた以上に微粉が出て、しかもこびり付く」「粉を出す時、周りに飛び散る事が多い」「普通に使っているはずなのに凄く汚れている様に見える」と言った感じです。ですからこのタイプを使用するに当たっては「こんなもんだ」と理解し、まめに掃除(専用の刷毛でこびり付きを取る、外側を拭く)をするか、ほっとくかで解決します。「これでは最悪やないか!」と怒られそうですが、使ってみるとプロペラ式より便利です。最近のモデルは、10段階以上の挽き目調節は出来るし、挽き終われば自動的に止まるし、安全装置が付いているタイプもあります。ですから掃除、メンテナンスの面で「こんなもんだ」と割り切りがあれば、おすすめの機器です。
しかし、何だかんだ言っても「電動ミル」の利点は「楽」に尽きます。せっかく手に入れた「楽」が、「思うような味にならない」とか「掃除などで面倒」と思う危険性があれば、止めたほうがよいでしょう。
ホビーの要素の強い「手挽きミル」、実用性が主の「電動ミル」。自分の思考がどちらに向いているのかで、まず判断して頂き(1)〜(5)に当てはまる方であれば楽しく当たり前にコーヒーミルをご使用頂けると思います。

私の考えとしてコーヒーミルとは、「香り」「風味」そして「気分」を満たすアイテムである。その中でも「気分」が最も重要で、「コーヒーミルを持っている、または使っている」から「コーヒーを飲む」ところまで全てにおいて楽しみと安心感にも似た満足を与えてくれます。ドリップポットなどのコーヒー器具全てに共通して言える事かもしれませんが、ほんの少し自分の生活に満足感をプラス出来るところにこそ価値があるのではないかと感じます

今回のおすすめコーヒー 「ハード ブレンド」






今回ご紹介するコーヒー豆は、季節限定コーヒー「はなみブレンド」です。
通常当店では、このコーヒー豆を「桜」の開花に合わせて販売を開始しておりましだが、この暖冬、カエルも間違えたぐらい。最近ご紹介するコーヒーが、「ブレンドコーヒー」で続いていたので、今回は「ストレートコーヒー」で、と考えていたのですが、このコーヒーの紹介を来月に回すとプレゼントをお渡しする頃には、恐らく「桜」も散っているだろうと思い、早めさせて頂きました。このコーヒーの「はなみ」とは、お花見の「はなみ」ではなく、華味(はなみ)の「はなみ」なのです。華やかな味わいと「桜」をイメージして名付けました。暖かな風を待ちわびたかの様に勢いよく咲いた桜の花は、見た人の余韻すらも置き去りにしてその季節を通り過ぎ、また新たな芽生ええと歩み始めます。そんな桜の勢いや華やかさをイメージして「はなみブレンド」を作りました。華やかで芳ばしい香りと程よい苦味が口当たりに広がり、適度なマイルド感のある後口の好い味わいに仕上げました。「春」=「柔らか」だけでなく、「桜」の様な「はかなさ」の中にある力強い存在感をこのコーヒーで味わい、感じて頂けると思います。
「春」だけの特別なコーヒーを是非ご賞味下さい。

今回のおすすめコーヒー 「ハード ブレンド」配合豆・・・・ブルボン サントス(ブラジル有機・無農薬)<シティロースト>
        ブラジル ムンドノーボ(有機・無農薬)<フルシティロースト>
        コロンビア スプレモ(コロンビア)<シティロースト>

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