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マスター:久宗貴則(マウンテン生駒)
「工夫は美味しさへ」〜コーヒーメーカー〜

 コーヒーメーカーとハンドドリップを比較される方、非常に多いです。しかし大抵の方は、ハンドドリップの方がもちろん美味しいと感じているし、美味しいはずと思っています。では、その違いは何なのでしょうか?そして、本当にコーヒーメーカーは「美味しくない」のでしょうか?今回はその辺を調べてみたいと思います。
  まず、お互いの共通点といえば「ドリップ式」。
  コーヒーメーカーもハンドドリップもコーヒーの粉に上からお湯を掛け、ろ過しながらコーヒーを抽出する「ドリップ式」になります。同じ抽出方法だとすれば、何が違うのか?
1.お湯の温度   2.お湯の注ぎ方   3.抽出時間
  大きく分けて、この3つが挙げられます。

「お湯の温度」とは…
コーヒーの味わいや個性を引き出す為にお湯の温度はとても重要です。一般的には
90℃前後が理想的とされています。コーヒーメーカーの場合も、80〜90℃前後のお湯が出るように設定されているのですが、商品の多くが徐徐にお湯の温度が上がる構造になっている為、理想的な高温に達するのは抽出の最後の方、なんて事になってしまうのです。しっかりとした味や風味そして香りを引き出すには、はじめの「蒸らし」の段階で高温であることがとても重要な要素になります。数年前からこの「温度」や「蒸らし」を明確にアピールしたコーヒーメーカーがチラホラ出始めています。ハンドドリップに近いコーヒーの味わいを求めるのであれば、その辺りを注目してコーヒーメーカーを選ぶ事をおすすめします。
ちなみに、最初の「蒸らし」を自分でするという方法(コーヒーメーカーに紙と粉をセットし、やかん又はドリップポットで「蒸らし」として少量のお湯を注ぐ。その後に電源を入れてスタート!)もあるらしいです。興味のある方はお試し下さい。

「お湯の注ぎ方」とは…
以前ハンドドリップの場合、お湯を注ぐ時「の」の字または「一」の字を描く様に注ぎましょうとお話ししました。その理由として「まんべんなく」「均等に」そして「丁寧に」注ぐ事で、味も香りもバランスよく、口当たりの味わいや印象を強く表現する事が出来るからです。では、コーヒーメーカーでその様な抽出がされているのか?というと、残念ながら「されていません」とお答えするしかありません。どうしても、抽出が「一点集中」してしまい、同じ所ばかりにお湯が当たり、「苦味」「渋味」「雑味」といった成分の目立つアクのある味わいになってしまいます。しかしメーカーによっては、抽出口のシャワーをワイドにしたり、広い範囲でお湯が当る様に工夫されていたりと意識して改善させた商品も出ていますので、その辺をチェックして選ぶ事をおすすめします。

「抽出時間」とは…
コーヒーの抽出には、理想的な抽出時間というものがあります。以前「温度と時間の関係」でお話しさせて頂いたようにドリップ式(主にペーパー)の場合、2〜3分もしくは3分前後で抽出完了が望ましいとされ、この時間に合わせる事で量感のある口当たりはもちろん、そこにはコクと甘味があり、尚且つ後口のキレを良くします。つまり味のバランスがとても良くなると言う事です。
では、コーヒーメーカーはと言うと、4〜5杯分以上の抽出には8分前後要します。
先程の「3分前後」から考えると約3倍近く時間が掛かっている事になります。スタートから最初のお湯が出てくる間(1分前後)を考慮してもちょっと掛かり過ぎと感じます。やはりこの点に関してもメーカーまたは機種によっては、4〜5分位で抽出を完了させてしまう商品を出していますので、パンフレット等に記載されていれば、そこもチェックしてみて下さい。

<まとめ>
  1.「お湯の温度」・・・85〜95℃
  2.「お湯の注ぎ方」・・・「一点集中」にならないよう「まんべんなく」「均等に」そして「丁寧に」抽出。
  3.「抽出時間」・・・2~3分(主にペーパードリップ)

  これら3点から「コーヒーメーカー」と「ハンドドリップ」の「違い」というものが何となく見えて来たのではないでしょうか。「ハンドドリップ」が美味しいと言われるのは、やはりこの3点をこなす事が出来るからですね。
  しかし最近は「工夫」を凝らしたコーヒーメーカーが数多く出ています。選ぶ時もこの3点を重要なポイントとしてチェックして頂くと、理想的なコーヒーの味わいに近づけるかと思います。

  では、今お持ちのコーヒーメーカーに「特に目立った特長がない!」とおっしゃる方に「美味しく作るコツ!」を伝授!!
  まずは、「コーヒーの粉の量」です。コーヒーメーカーで作ったコーヒーの味わいの特徴のひとつに、「後口の重さ」があります。この「重さ」、ミルクや砂糖を入れる方には逆にないといけない特徴なのですが、粉の量ひとつで余計な酸味を出したり、何とも言えない不快感があったりと大きく変化してしまいます。そこで「おもいきってコーヒーの粉を減らす」事が重要になってくるのです。多少口当たりの量感は減りますが、全体的に心地よくなります。ちなみに、3杯分のコーヒーを作る場合、一般的なメジャースプーン(約10g前後)で、すりきり1杯半〜2杯、あとはお好みで前後して下さい。
  続いては「コーヒー豆の選択」。コーヒー豆は「焙煎」の強弱で理想的なお湯の温度が違います。浅煎りのコーヒー豆だと温度は「高め」、深煎りのコーヒー豆だと温度は「低め」。
そして、抽出時間も異なります。浅いと早く、深いと遅く。といった感じです。これを見た時「あれ?」と感じませんか?深煎りコーヒーに理想的な内容が、最新のコーヒーメーカーと全く逆である事を。多少のアクはあるにせよ、低温(約80℃)でゆっくり時間を掛けて抽出するので、苦さをマイルドにします。そして、先程の「粉の量」を逆に少し多めにしてあげると、余計な酸味を感じるどころか、元々少ない酸味が濃縮され甘味を含んだ濃厚な「豆」の味がしっかり感じるコーヒーが出来上がります。濃いめのコーヒーがお好みの方におすすめです。あまり濃いのが苦手な方は粉の量を少なめにして頂くと、芳ばしいコーヒーらしい香りがありながら苦さもマイルドで後口良く飲んで頂けます。
  そして最後3つめに「全体的なバランス」を重要視してコーヒーの味わいを作る。ちょっと難しく感じるかもしれませんが、コーヒーは「はじめの一口」が全て、と言う訳ではありません。コーヒーはアツアツの状態だと、あまり味わいを感じません。むしろ本来の味は低温になってからです。70℃前後になると甘味やコクが増し、味わいも感じやすくなります。これが「はじめの一口」に焦点を合わせて味を濃く作ってしまうと、この70℃前後またはそれ以下の温度になったときに不快な味の濃さが出たり、渋さがとても強く感じたりと、決して「美味しい深み」ではない状態になってしまいます。「全体的なバランス」とは、熱い状態から完全に冷めて、そして更に再加熱した後の味わいまで考える事。「美味しい」から「意外といける」この幅で考えるコーヒーの味は、アツアツの時「ちょっと軽め」と感じる位がベスト!これはコーヒーメーカーの内容やハンドドリップに関係なく、共通して言える事です。
 
  基本的に良い「コーヒーメーカー」は、「ハンドドリップ」に近づける工夫をしています。それは「ハンドドリップ」でしか出せない口当たりの量感や滑らかさ、そしてふくよかな味わいと香りがあるからです。しかしテクニックにどうしても左右される「ハンドドリップ」は「一定の抽出」が最大のテーマになります。それに対して「コーヒーメーカー」は一定の抽出をするのが目的の商品です。そこで「合体!!」なんて簡単に出来れば良いのですが、こだわりは全て値段に反映されます。

 今お手持ちのコーヒーメーカーで出来る「工夫」。自分なりに考える為のアドバイスになれば幸いです。機械の特徴を知り如何に「ハンドドリップ」の様な感覚を味わうか?ちょっとした「工夫」でコーヒーメーカーも捨てたもんじゃないと感じるかも?

 

今回のおすすめコーヒー 「キリマンジャロ モンデュール」




 今回ご紹介するコーヒー豆は、皆さんよくご存知の「キリマンジャロ」です。
  タンザニア最大の生産地であるアルーシャ地区。キリマンジャロの裾野、標高1650m〜1840mに広がる「モンデュール農園」のご紹介です。
  イタリア人オーナーが経営するこの農園は、近代的な精製システムと効率の良い生産手法により精度の高いコーヒー豆作りをしています。更に「品種の限定」にこだわりティピカ種とブルボン種の交配種である「ケント種」のみを栽培。この品種の特徴はコーヒーの大敵である「サビ病」に強く、そしてカップクオリティーが優れている点です。
  その成果が実り、1999年と2001年に「タンザニアコーヒー協会」が主催するコンクールでみごと金賞を受賞いたしました。
  キリマンジャロコーヒー特有の甘酸っぱい濃厚なコクはもちろん、口当たりの滑らかさや透明度、カカオ、ナッツ、完熟フルーツを思わせるフレーバーに芳ばしいアロマが広がります。そして味わいのアクセントになっている柑橘類の皮の様な、かすかな渋みと香りが口に含んだ一瞬だけ感じます。
  この土地の開拓者でもある先代の父の言葉「特別なコーヒーを飲みたい人に供することのできる良質なコーヒーを作る」。この遺志を継いで育まれた「特別なコーヒー」を味わえる喜びを是非実感して下さい。
  ちなみにキリマ「山」、ンジャロ「輝く」です。

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