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渡り鳥

 毎年4月に入ると必ず来店するお客さんがいます。
 シンガポール?インドネシア?もしかしてオーストラリア?
 どこまで南下するのやら・・・。長い距離を旅しながら、また今年もやって来ました。
 その正体は「ツバメ」。
 店に「ツバメ」が飛来したのは6年前。初めの年の「物色」をきっかけに2年目に巣を作りました。近所のお店が毎年「ツバメ」と戦っている姿を見ていたので、巣作りを始めた時はちょっと複雑な気持ちで、ややブルーな気分で戦いを覚悟しました。しかし、益鳥と呼ばれるツバメが「巣を作るとその家は栄える」と言われるし、「巣を壊すと可愛そう」と言われるし、「壊す」「残す」でちょっとした葛藤の末、とりあえず見守る事にしました。

 マンションの管理人さんや掃除のおばさん達と「うまいこと作るなぁ〜」と感心しながら見守っているすぐ下には、うまいこと付かなかった土や草がボロボロ落ちている状態。
案の定「糞」の被害は相当なもので、いろいろ考え「コーヒー屋らしいもの」と言う事でコーヒー豆の麻袋をハンモックのように使い「糞避け」を作りました。
 これでもう怖いものはない!と思っていた矢先、とんでもないものが発生していたのです。目で確認するのが困難なぐらい小さい「ダニ」のような虫でした。驚きと困惑で愕然としました。
「しまった!」。
コーヒー屋らしいものと思って糞避けに吊り下げたコーヒー豆の麻袋が、かえって仇になってしまったのです。真下ではなかったのですが、陳列用に置いてあったバスケットにその虫が大量に付着しており、その虫を駆除する時にどうも体に移ったようで、後から腕や頭がかゆくなるやら散々な思いをしました。
そんなこんなで、巣立ちの日。
昼間は体の半分ぐらいが巣の外に出ている状態でひしめき合っている子供たちが、巣から落ちそうになるのを堪えるように羽をばたつかせ、今にも飛び立とうという様子。
結構いろいろな体験をさせてもらった初年度。やはり「巣立ち」はメインイベント!です。心のどこかに苦労の代償と言わんばかりに「元を取る」ような気持ちがあったのは事実だし、それに一度も見たことがない。それだけに「巣立ち」はとても楽しみにしていました。お客さん、管理人さん、掃除のおばちゃん達も「純粋な気持ち」で楽しみにしています。今か今かとじらせれて数日が経ちました。
そして、朝、店に来たら、誰もいませんでした・・・。ざ〜んねん!!
ただ、店の周りを旋回する数匹の「ツバメ」を見た時は、安堵感とほんのちょっとの幸せを感じる事が出来た気がします。戦わなくてよかった・・・。
次の年、もちろんやって来ました。
1年目の教訓を活かし、今度こそ準備万端!
虫の心配もクリアー!、糞の心配もクリアー!
そして、後は「巣立ち」を待つばかり。ただ、2年目はここからが大変でした。
ある時、営業中に「バサッ!」と音がしました。「何かな?」と思ったその次の瞬間、「バサバサバサッ!」。ハンモックの様に吊り下げた麻袋の上に雛が落ちてしまったのです。しかも全員。おぼつかない羽ではまともに飛ぶ事が出来ず、そのまま地面に着地するのがやっとのようで、地面にうろうろする雛を親が鳴きながら必死に飛ばそうとけしかけている様子が続きます。何とも営業どころではない状態。放って置くわけにもいかず、何とか「巣」に戻す方法は? ただ人間の臭いが付いてしまうと、その後親鳥は雛に餌を与えないようになると聞いていたので、触って良いのか悪いのか?とりあえず嫁さんに獣医に電話してもらう事にしました。
その間も親鳥は必死!
電話の結果、軍手をした状態であればOK!との事、早速軍手をはめて救出作戦開始!!

まずは、脚立を用意。「巣」までの高さが約2m50cm。脚立を巣の真横に立て掛け、準備はOK!落ちてから1時間ほど経過していたでしょうか、やや慣れた様子の雛達が2〜3m位の高さまで飛べるようになり方々に散り始めたのです。
今に思えばこの時「ツバメ」の事は放って置いてよかったのかもしれません。しかし「救出作戦開始!」と意気込んで、テンションMAXな状態の私がそんな事に気付くはずもなくお客さんそっちのけで「ツバメ」を追いかけていました。ただその時、店内に入り込んだ最初に捕獲した一羽の印象が今でも脳裏に焼付いています。このファーストコンタクトは、とても感動的な出来事でした。なんせ「ツバメ」を間近で見ることなんかなかったし、野鳥に触れる事も想像しなかったし、それにどんな行動をするのかも予想出来ないし、とないないないづくしで、とりあえず「そ〜っと」近づき、人差し指をゆっくりと近づけてみました。すると、小さなツバメの雛は、その人差し指に何の抵抗もなく「ちょこん!」と乗っかって来ました。
まさに「手乗りツバメ」状態。
も〜その時のツバメの愛らしさときたら、最高に「かわいい〜!」とただただ感動の瞬間でした。逃げないように「そ〜」っと脚立の階段を登り「巣」に近づけてやると、何事もなかったかのように、ここでも「ちょこん!」と巣に帰っていきました。
同じ要領で他のツバメも無事「救出」する事が出来ました。
ミッションコンプリート!!
ただ、その救出劇も空しく、終わった頃には「ツバメ」も相当慣れていた様子で、その後また「巣」から飛び出し、今度は自力で「巣」に戻れる様に成長していたのです。
その時やっと気付きました。  
「放って置けばよかった」と・・・。

その後も毎年何らかの形で苦労を掛けてくれる彼らに振り回されております。

そして今年も雛がかえろうとしています。
何気ないお茶の時間を豊かで穏やかな空間に変えてくれる可愛らしい雛たちの鳴き声が、もうすぐ店内に響き渡ります。
ここには、鳥の囀りを聞きながらお茶を楽しむ事が出来る、春だけの特別な時間が流れます。

今月のおすすめコーヒー 限定ブレンドコーヒー「H・D ライダーズ」
どこまでも続く道を「ぶっ飛ばした〜い!!」なんて衝動に駆られた経験ありませんか?そんな気持ちの象徴とも言うべき存在「アメリカンバイク H・D」。
このH・Dをこよなく愛するオーナーさんが経営するCAFÉ にとご提案したオリジナルブレンドコーヒーを、今回当店の「夏」のブレンドコーヒーとしてご紹介いたします。
その名も「H・D ライダーズ」。
アメリカンタイプのコーヒーと聞くと「軽い」という印象だと思います。大手コーヒーチェーンS・Bの展開前のアメリカでは、コーヒーと言えば「軽い」「薄い」いわゆるアメリカンコーヒーのイメージ通りのコーヒーが主流だったようで、展開後は嗜好の変化もありヨーロピアンテイストの深煎りコーヒーやグルメコーヒーといった「旨味」のあるコーヒーへとニーズが変わっています。
しかし、新大陸発見後のヨーロッパからの人や文化が流れ込んだ時代は、深煎りのヨーロピアンスタイルが普通で、その深煎りコーヒーを軽めにたっぷり作っていたとも言われています。後に商売上の理由で目減りの少ない「浅煎り」に代わっていったと考えられており、今のアメリカンコーヒースタイルは単なる歩留りをよくするために考えた商品であるという事です。
今回ご紹介するブレンドコーヒー「H・D ライダーズ」は「深煎りコーヒー」です。
古き良き時代?のアメリカンティストを楽しむもよし、コクと香り、そして「旨味」を味わう現在のアメリカンティストを味わうもよし、そしてこれからの季節には「アイスコーヒー」なんかにも使って頂けます。
きりっとした輪郭と存在感ある味わい、芳ばしい香りと苦味は後引く美味しさ!
「遊び心」を忘れない大人にピッタリ?のコーヒーです。
幅広く使って頂けるコーヒーとしてのご提案です。是非ご賞味下さい。

今回ご紹介しましたコーヒー豆「H・D ライダーズ」を抽選で3名様にプレゼントいたします。
プレゼント応募はこちら  ※応募締切 6月27日(金)まで

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