KCN-Netpressアーカイブス

もの創りの心と手

自然の中で遊びながら生産の場を知ってもらえたら

有機農業 都祁村・吐山 塚原省一さん


土づくりの日々

 千葉県出身の塚原さんはもともと会社員。
勤め先が自然食品関係だったことから有機栽培に触れる機会が多く、自らも土地を耕し、野菜を育てる道を歩むことになったそうです。

 「自然食って、本来はいい材料といい調味料を使って家で作ればそうなるはずですよね。その簡単なことがなかなか難しい。野菜は化学肥料と農薬に関係ないものが手に入りにくいし、料理に時間がかけられなくなっているし。原点である農業に憧れて新規就農を希望したんです。なぜ奈良に来たかというと本当に偶然。各県の農業会議に問い合わせたら、奈良県が紹介してくれたここが気に入ったんです」


かつては石だらけの土地だった。 今は見違えるような美しい畑

 都祁村だけで10カ所ほど見てここ以外にはないと思ったそうです。
『ここ』とはスズランの群落地として知られる吐山。スズランに隣接する農園は、都祁村南端、貝ケ平山麓の高台に広がり、吐山の集落が一望できます。農園より上は山の木立だけですから、自然農法を実践しても、他の田畑に影響を与える心配がありません。
 「農薬を散布しませんから、万一害虫が大発生した場合、他の田畑へ被害を与えると大変でしょ。素晴らしい風景と立地を考えて決めたんです」ところが、大きな問題があったのです。基本となる土地が石だらけで、塚原さんは栽培どころか石を掘り出す日々が続きました。手作業で掘り出す石は一日汗を流してたった一つ。
 「テコで動かして土から掘るでしょ、土の中に石があるのではなくで、石の中に土があるという感じ。石を取ったら土が無くなるのでは、と思いました」 石との戦いは1年、手作業では埒があかないと重機を入れてさらに1年。この時出た石は農園の石垣になっています。その後、客土をダンプ400台分入れて敷きなおしました。今度はその土質と格闘だったそうです。


元気に育った野菜を見ると顔もほころぶ

堆肥をすきこみ、土作りしている時、山が崩れかかりました。その山を削った土が真砂土だったのでこれを利用、ようやく土作りに光明が見えてきたのだそうです。


採れたての野菜はみずみずしく見るからにおいしそう

10年前に来て、作物が穫れるようになったのはほんの2〜3年前。

 「牛糞とモミ殻を混ぜたもの、鶏糞、それに時折の油粕が肥料です。農薬は使いませんから、とにかく虫取りに追われていました。今は細かいネットを被せて卵を産ませないようにしています。草は引くしかありません」

一緒に「農」を遊びましょう


つかはら農園で研修を受け脱サラ就農する河原宏吉さん(左) と池田六三四さん(右) 真ん中は塚原さん。

 ほうれん草、小松菜、大根、人参など年間50〜60種の旬の野菜を栽培しますが、作物は直接消費者へ渡ります。会員のグループへ毎週7〜8種の季節の野菜を届けるのです。
「生産の場も遊びがてらに来てもらって、自分たちの食べ物がどんな所で、どんな人に、どうやって作られるのか見ていただきたいんです。それで『自遊農園』と名付けました」

 秋には収穫祭が行われ、穫れたての野菜をメインにバーベキューをしたり、年末には餅つきをしたり。そのための建物も手作りで建てました。土や台風、最近ではイノシシと闘いながらの野菜作り。それだけに、消費者からの喜びの感声が何よりの喜びで励みになる。
 子供たちに農園で遊ばせることは、万巻の書よりも大きな影響を与えるようです。好き嫌いが無くなったり、残さなくなったり、平気で捨てなくなったり。人は食べ物で癒されるといいます。まして新鮮なおいしい野菜ならいかばかり。


産卵所のくらがりには生みたての卵

 そうそう、ここには鶏小屋もあって、ハイラインブラウン種の元気な鶏が歩き回り、産卵所の暗がりでは赤玉 の卵がころがっていました。人なつっこい鶏で、入ると寄って来るし、おとなしく抱かれてくれるのです。

 

 

 

「つかはら自遊農園」
TEL
0743-82-1021
携帯 090-2281-7059

野菜購入希望の方は「なら食べもの学校」まで。
生産者代表/水越さん、
または、消費者代表 後藤さん
TEL 0742-61-8344



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