季節のテーブル  
>>暮らしの歳時記
実りの秋に 春は卒業、入学、就職など人生の節目を迎える季節。木々は芽吹き、花が咲き、命の躍動に溢れる頃、新しい一歩を踏み出すというのは心まで弾みます。世界的な標準は9月新学期かも知れませんが、春の新年度というのも気分的には捨てがたいものがあるようです。
 新しい環境へと進む人を祝うテーブルにはやはり華やかさを演出したいものです。春らしい淡い色の花を揃え、庭にあるグリーンを添えてみました。テーブルに合わせて、形を整えますが気をつけたいのは花の高さ。高すぎると向かい側に座る人の顔を邪魔してしまいます。四方どの角度からも正面になるように挿しましょう。それから、食卓の花にはあまり香りの強いものは避けるようにします。いくらいい香りでも料理の香りよりも勝ってはマイナスですから。

 今回は食卓でお花見を楽しみながら、お祝いの膳を囲むことにしました。桜の枝を横長にして、テーブル全体を華やかに。桜やラナンチュラスの淡いピンク、スイートピーの濃いピンクと全体が花の山になるようにしてみました。グリーンは庭の玉シダ、オカメラン、ゴットセなどの利用です。花はできるだけ中心部分に集めるようにするのがいいでしょう。食卓の花はあくまでも脇役、主役の料理を中心に考えましょう。お花を中心にというのはもし触ったとしてもお料理に散らないためです。
 今回花器として使ったのはお菓子器。ガラスや重箱などの食器も使い方によってはお洒落な花器になりますから、工夫してみては如何でしょう。淡いピンクが今回のテーマカラーですから、テーブルクロスもピンク。生成りの麻に桜模様をプリントしたティーマットを並べて、テーブルライナーに使いました。箸置きは桜の枝をとも思ったのですが、テーブルの花の主役が生の桜ですから、ここは桜の花びら形の陶器を使いました。さて、取り皿ですが、春らしい淡い色のざっくりとして織部釉のお皿を合わせましたら、思いのほかにしっくりとしました。全体が淡々としていますから、この緑色が全体を引き締めてくれるのです。
お祝いの散らし寿司は春慶塗の蓋付のお重です。側面に寿や福の文字が描かれた縁起物。一升枡になっていて"一升益々福寿"という次第。これなら、さまざまなお祝い事に登場してくれそうです。お箸もついているのですが、きっかり納まるような仕上がりはさすが春慶塗の技の伝統でしょうか。こんな器があれば、親や子供へお料理のおすそ分けもしたくなってしまいそう。
特別な準備ではなくても、お花と手作りの料理で新しい出発を祝ってあげたら、きっと心に刻まれることでしょう。

春慶塗お重 奈良市三条通「荒井漆器店」
 
Special Thanks
熊谷賀代子「花工房 KIKI」
ページトップへ▲
Copyright(C) KCN-Netpress All rights reserved.