新築住宅の室内ホルムアルデヒド濃度の推移


I003

ご質問

新築の家で子供の目に異常が現れ、対処を模索中です。この夏は窓を開けて暑いのをがまんして暮らしていますが、冬が心配です。子供のアレルギーの血液検査(花粉等23種類の物質が対象)をしてもらっ たところ、すべて正常値でした。子供を家内の実家で2週間生活させたところ、薬を使わなくてもほとんど症状が見られなくなったため、新築の家に戻しました。換気に努めているせいか、その後症状はほとんど出ていません。今は眼科への通院もしていません。ホルムアルデヒドの測定を行ったところ、厚生省の指針値(ホルムアルデヒド 0.08ppm以下:30分平均値)の約2倍でした。 

 

回答

新築住宅室内の揮発性有機化合物の実態について、大手プレハブメーカーが今年報告したデータがあります。このデータは自社の商品を実験棟として用いて測定しています。 

−以下実験内容と実験結果− 

<実験棟の内装仕上げ>

部位

内装仕上げ材

天井・壁

石膏ボード+紙クロス+ゼロホルマリン接着剤

パーチクルボード(E2)+フローリング(F2)+変性シリコン接着剤

床(畳)

パーチクルボード(E2)+建材畳

ドア

MDF(中質繊維板)+(紙+オレフィン樹脂)+エチレン酢酸ビニル接着剤

 

<居間のホルムアルデヒド濃度の経時変化>

時期 

室内濃度(ppm) 

室内温度(度)

竣工直後

0.24 

27

3ヶ月後

0.05

17

6ヶ月後

0.02 

 9

1年半後

0.04

13

*厚生省の指針値

ホルムアルデヒド:0.1mgm3以下(30分平均値)

この数値は、通常の室温20-25℃で、約0.08ppm

 

この数値の傾向は、和室、あるいはトルエン、キシレン、TVOC(トルエン換算)でも同じとなっています。つまり、竣工直後は厚生省の指針値以上の室内濃度であり、3ヶ月あるいは6ヶ月目から指針値以下の濃度に低下しています。また、主な部位別に放散量を測定した結果、もっともホルムアルデヒド放散量が多いのは、床材(フローリング)であり、F2合板の影響であると考察されています。 

気温、換気、冷暖房器具などの使用状況によって変化しますが、Aさんの住宅も同じ傾向になる可能性があります。最近の調査データによると、約4年でホルムアルデヒド濃度が約80%減少しています。しかしその後は日用品など住宅内に新たにホルムアルデヒドを発生するものを持ち込むこともあり、あまり減少しないと考えられています。 

Aさんの住宅でも、竣工後間もない時期の濃度が指針値0.1mgm3を越えています。この夏に化学物質を放散することで、秋頃には濃度がかなり低下している可能性がありますので、仮にお子さんの症状が化学物質起因であり、換気により症状が軽減されているのであれば、この冬に再発しない可能性はあります。できることなら再度測定して、症状がでていない時の濃度と同じであることを確認するのが良いのですが。


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