ホルムアルデヒドのガイドライン値について


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ご質問

厚生省のホルムアルデヒドに関するガイドライン値0.08ppm以下でも化学物質過敏症は起こるのでしょうか。

 

回答

短期間曝露後のホルムアルデヒドの人体への影響に関しては、次のように定義されています。

影響

ホルムアルデヒド濃度(ppm)

におい検知閾値

0.08

目への刺激閾値

0.4

のどの炎症閾値

0.5

鼻・目への刺激 

2.6

催涙(30分なら耐えられる)

4.6

強度の催涙(1時間続く)

15

生命の危険、浮腫、炎症、肺炎

31

死亡

104

0.08ppmを下回ったらどうなるのかについてのご質問ですが、0.08ppmという数値は、においの検知閾値から設定されたガイドラインです。アメリカ連邦政府やスペインなどでは、ガイドライン値として0.4ppmを採用しているところもあります。(但し、アメリカ環境保護庁は、0.1pmを採用しています。) 

しかし、ヒトには感受性の相違があります。0.08ppmを下回ったとしても、化学物質過敏症の症状が発症するのであれば、化学物質過敏症と考えられます。0.08ppmというガイドラインは、においや刺激に対して、ヒトが感知し得るレベルですので、この数値以下なら化学物質過敏症が発症しないという数値ではありません。0.08ppm以下でも、そのような住居に住めない方がおられます。室内の壁を全てアルミで覆って生活せざるを得ない方が現におられます。 

化学物質過敏症の原因化学物質は、完全に明らかにされているわけではありません。室内空気中に検出される揮発性有機化合物は1989年時点で900種に及んでいます。これらの化学物質は、室内空間を形成する建築物及びその部材、エアコン、コピー機、暖房器具家具、家庭用品などの消費財、農薬など室内空間を取り巻くほとんどの製品から放散されます。 

ホルムアルデヒド濃度が0.08ppm以下であっても、他のトルエンやキシレンなどの揮発性有機化合物が多ければ、それらの物質で発症する可能性も否定できません。また屋外でも発症するのであれば、自動車の排出ガスなどの影響も否定できません。 

化学物質過敏症の恐ろしさは、化学物質の短期間または長期間の曝露によって感作され、しかもいったん感作すると、その原因となった化学物質、あるいは他の微量化学物質の曝露でも、それが引き金となって発症することにあります。しかしながら、発症の原因物質、曝露量、頻度、濃度、期間、憎悪原因について、ほとんど明らかになっていません。 

これまでの報告や今後の研究結果などから、今後少しずつ明らかにされていくこととされています。 


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