厚生省のホルムアルデヒド濃度の指針値と室内温度の関連性
I010
ご質問
厚生省の室内ホルムアルデヒド濃度の指針値である、23度で0.08ppmという数値に疑問を持っています。
23度くらいから急速に放出濃度が上がり、30度を超えると数倍になる可能性があるのにどうして23度でクリアしていると安全なのか?
回答
厚生省の室内ホルムアルデヒド濃度の指針値に関して、少し誤解があるのではないかと思われます。
世界保健機構(WHO)のガイドラインを採用した厚生省のホルムアルデヒドの室内濃度指針値は、30分平均値で0.1mg/立方メートル以下です。つまり温度が何度であっても0.1mg/立方メートル以下です。
厚生省は、この数値をわかりやすくするために、室温23度に換算すると約0.08ppmと説明しています。さらに小数点を小さいところまで計算すると、約0.0802ppmです。これを30度に換算しますと、約0.0830ppmになります。
実際の室内環境では温度が上がると建材からの揮発量が増加します。そのため23度の室内でホルムアルデヒド濃度が0.08ppmであっても、30度になれば約0.18ppmになる場合があります。これは、温度が1度上がるごとに、1.12−1.13倍濃度が上がるという試算式に基づいています。実際の実験でもそのようなレベルになると報告されています。しかし、厚生省は30度においては約0.18ppmを指針値とするとは言っておりません。
あくまで、30分平均値として0.1mg/立方メートルが指針値です。ですからたとえ30度であっても、1立方メートルの容積の室内では、ホルムアルデヒド濃度が0.1mg以下であるということになります。
室温23度で0.08ppmでも、30度になれば約0.18ppmになる可能性があります。ですから夏場の温度を考えて、目標値を定める必要があります。室温23度で0.08ppmであることに安心していると、夏場は厚生省の指針値を達していない可能性が高いと考えられます。