シックハウスの定義


I012

ご質問

「シックハウス」の言葉の定義と関連組織について教えて下さい。

 

回答

シックハウスの言葉の定義ですが、おおやけに定義されておりません。ですからきっと、よくわからないまま、様々な捉え方をされているのだと思います。おおやけに定義されたものとしては、シックビルディング症候群(SBS)またはビル関連病(BRI)があります。

欧米では1940年代ごろからシックビルディング症候群が発生しはじめ、1980年代に大きな問題に発展しました。日本ではビル管理法などのため、ビルではあまり大きな問題とならず、シックビルディング症候群という言葉が定着しませんでした。しかし近年一般住宅で大きな問題となり、シックハウス症候群と呼ばれています。私自身は、シックハウス症候群もシックビルディング症候群も、発生する場所の違いはありますが、発生する症状の定義は同じでよいと考えています。最近の専門書のいくつかは、そのように捉えています。WHO(世界保健機関)が定義したシックビルディング症候群の定義は次のようになります。

1)      目、特に眼球結膜、鼻粘膜、および、のどの粘膜への刺激。
2)      唇などの粘膜が乾燥する。
3)      皮膚の紅斑、じんま疹、湿疹がでる。
4)      疲労を感じやすい。
5)      頭痛、気道の病気に感染しやすい。
6)      息が詰まる感じや気道がぜいぜい音を出す。
7)      非特異的な過敏症になる。
8)      めまい、吐き気、嘔吐を繰り返す。

これらの症状が単独、あるいは複合して示す病気を示す。

出典:World Health Organization Regional Office for Europe Copenhagen: Indoor air pollutants: exposure and health effects, EURO Report and Studies 78, Report on a WHO meeting, 1982

組織についてはどうでしょう。これらの症状は、温湿度・音振動・電磁波などの物理的因子、ホルムアルデヒドやたばこの煙などの化学的因子、カビ・ダニなどの生物的因子が関係します。これら全てを網羅してとらえている組織はないかもしれません。

現在の日本では、化学的因子と生物的因子、特に化学的因子について関心が高くなっています。それに関わる研究機関や団体はいくつかあります。例えば日本建築学会が1998年に発足した、室内化学物質空気汚染調査研究委員会などは、産官学共同のプロジェクトです。


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