木材への加圧注入法による白蟻駆除剤の使用
I017
ご質問
白蟻駆除剤のことですが、この蟻害も木造住宅にとって致命的損傷となります。(たとえ一部分であっても 耐震上の重大な弱点となります。)
従来の防蟻措置は、
1. 土壌への薬剤散布
2. 土台への薬剤現場散布
3. 薬剤処理剤(加圧注入法が多い)の使用
があり、薬剤については、処理業者によってずいぶんちがいます。 現在もほとんどの工事業者は、上の何らかの処理を行っています。(その多くは1と2か3の併用)金融公庫の共通仕様書によるとこれらの措置をとるか、桧(ひのき)、ひば等の耐不朽性及び耐蟻性の大きい樹種の心材若しくは芯持ち材を用いる、となっており、融資条件のひとつとなっています。
私どもは土台のほか1階部分のほとんどの材木を桧にして、一切薬剤処理はしておりません。それと床下の通気や防湿処理などに配慮していますが、やはり、防腐防蟻という観点からは、薬剤の使用が最も効果的なのでしょう。
蟻害の補修工事の相談にも何度かのり、また解体現場でその被害を見るたび、やはり最善の方法に迷います。安易に白蟻駆除剤を使用しようとは思いませんが、如何なものでしょう。
いわゆる健康住宅に関する本では、ほとんどが自然素材による措置(塩水を塗る、柿渋を塗る、銅板をひくなど)で充分の如く書いてありますが、やはり説得力を持ったものに出会えません。
回答
加圧注入法による薬剤処理は、薬剤が粉末なので、希釈剤(アミンやアンモニアなど)で数%濃度に希釈してペースト状や液状にしてから加圧注入するようです。希釈剤は工場出荷時には揮発しているので、注入した薬剤が後に放散するかどうかがポイントとなります。
通常一般的に考えると、固体の薬剤が木材の中に封入されているので放散することは考えにくいと思われます。実際に、加圧注入法によって薬剤処理した木材の試験片に対して加熱などの促進試験を行っても、放散が確認されていないようです。
しかし実際には、微量の薬剤が室内空気中から検出された事例があり、加圧注入法で薬剤処理した木材を使って室内空気中に放散するかどうか実験を行っているようですが、でていないようです。
もし仮に、室内空気中に放散する可能性があるとすれば、現場で加圧注入法によって薬剤処理した木材を加工した時に発生した木粉が残留し、それが飛散して室内空気中から検出された可能性が考えられます。
現在のところ、加圧注入法による薬剤処理は、室内空気への影響に関してはリスクが少ないと私は考えます。