炭の燃焼と一酸化炭素


I029

ご質問

実家を改築し、茶室を建築することになりました。お茶を沸かすために炭を燃やすため、一酸化炭素の発生が心配されます。そこで建築業者に相談したところ、内壁に酸化チタン系の光触媒珪藻土を塗るよう勧められました。しかし効果を問うと、はっきりとしたことがわかりません。また、かなり高価な壁材です。酸化チタン系の光触媒珪藻土の効果と、他の化学物質の発生も含め、その対策について教えてください。

 

回答

酸化チタン系の光触媒珪藻土で一酸化炭素を酸化し、一酸化炭素よりも毒性が低い二酸化炭素に変化させる反応は考えられますが、実際の居室でそのような反応が起こって一酸化炭素濃度が減少するかどうかは、実験で確認しないとわかりません。また、触媒効果は永続的ではないので、例えば数ヶ月や数年で効果が減少することが考えられます。

ですから、酸化チタン系の光触媒珪藻土を壁に塗ったことによる、一酸化炭素濃度の減少効果に関するデータがないのであれば、今は買い控えた方が良いのではないかと思います。

また、火鉢の炭火や七厘の練炭などで最も気を付けなければならないのは、一酸化炭素です。その他にも二酸化炭素や窒素酸化物が発生しますが、一酸化炭素が最も重要です。火鉢の炭火、七厘の練炭などは、石油ストーブなどよりも多くの一酸化炭素が発生します。

昨今の住宅は、戦前の住宅と比べて、気密性が10倍近く向上しています。つまり、昔からの日本の住宅は、閉め切っていても隙間によって空気が入れ替わっていたので、火鉢の炭火や七厘の練炭を室内で使用しても、一酸化炭素による中毒事故はあまり起こりませんでした。しかし、最近の住宅では、省エネルギーの観点から、断熱化、気密化が主流になってきています。

しかし健康的な室内空気を得るためには、空気の入れ換え、つまり換気が重要です。発生源を抑えることが基本ではありますが、建築される茶室の場合、発生源である炭の燃焼は、避けることができないと思われます。ですから、換気システム、空気が流れるように窓を開けるか通気口を設置するなどによって、空気を入れ換えることが大切です。


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