合板と無垢材/ウレタン塗装とアミノアルキド塗装の安全性


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ご質問

私は1年ほど前に化学物質過敏症を発症しました。以来、様々なものに反応し、日常生活にも支障をきたしています。そんな中、どうしても子どもの2段ベッドが必要になりました。新品は無理だろうと思うので、中古のものを探しています。

そこで質問なのですが、以下のことを教えて下さい。
1)
合板は良くないとの事ですが、天然木なら安全ですか
(接着剤などは使われていませんか)
2)
無垢材と天然木の違い
3)
ウレタン塗装、アミノアルキド塗装の安全性

 

回答

1.無垢材、合板、天然木について

ご存じのように、基本的に木は全て天然素材です。自然そのままに生えて育った木、人工的に植林して育てた木の2つがありますが、いずれも自然の営みで育った生き物です。しかしそのままでは使えないので、さまざまな加工を行います。ですから木は全て天然木が出発点になります。「無垢」は、純粋で混じり気のないもののことを意味します。そのため天然木をそのまま切り出して加工したものは、無垢材として用いられます。

しかし、天然木をそのまま切り出して加工した無垢材以外にも、加工後の残りの端材などがたくさん残ります。木は大変貴重な天然資源なので、そのような端材も有効に活用しなければなりません。また、無垢材といっても、広い板が必要な場合には、無垢材だけでは足らないので、足し合わせて大きな板にする必要があります。必ずしも端材を用いるわけではなく、最初から天然木を薄板や平板や小角材に切り出して使用する場合もありますが、これらの材料をさまざまな方法でつなぎ合わせて材木とする場合があります。それが集成材や合板です。

集成材とは、小さな角材や平板を繊維方向にほぼ平行にしてつなぎ合わせた材料を言います。このつなぎ合わせの部分には、一般的には接着剤が用いられます。また集成材では、化粧板といって、表面に薄板を貼り付けて化粧したものがあります。その際にも接着剤が用いられます。

また、集成材とは異なり、繊維方向が直交するように奇数枚の薄板(丸太をかつらむきのように薄くむいた板)を交互に張り合わせて1枚にしたものを合板といいます。その際にも、接着剤が使用されます。化粧合板というものがありますが、これも集成材の場合と同じように、接着剤を用いて化粧板を合板の表面に貼り合わせています。

合板は、集成材よりも接着する枚数が一般的には多く、木材の重さあたりで考えると、たくさんの接着剤を使用します。また、一般的に尿素ホルムアルデヒド樹脂系の接着剤などが用いられますので、ホルムアルデヒドが放散する問題を抱えているのです。

無垢材ですが、このような接着剤などによって表面に化粧板を貼ったり、集成材や合板のように貼り合わせたものではございません。純粋な単一の材料のことを意味します。つまり天然木をそのまま切り出して何も貼り合わせずに加工したものです。

化学物質に敏感に反応されるのであれば、集成材や合板は使用されないほうがよいと思います。ただ、集成材の場合、大きく切り分けてつなぎ合わせることによって、接着剤を可能か限り減らしてつなぎ合わせたものなどは、比較的問題が少ないと思われます。また、使用する接着剤に有害性の高い化学物質を使用しない場合も問題が少ないと思われます。

ただ無垢材を使用した場合でも、釘やビスでつなぎ合わせて家具、床、壁にしたものであれば化学物質の放散はほとんど心配ないのですが、接着剤で組み立てたものでは、せっかく無垢材を使用しても、その接着剤の部分から化学物質が放散する可能性があります。ですからできるだけ接着剤を使用しない、あるいは極力減らして組み立てたものを使用されることをおすすめいたします。

また、無垢材を使用していても、表面の塗装に有機溶剤系の塗料を用いたのであれば、その塗料から有機溶剤が放散する可能性があります。

このように、材料が無垢であるかどうか、組み立てる際や塗装する際に有害性の高い化学物質を含む接着剤や塗料が使用されていないかどうかが重要です。

天然木ですが、天然木にもピネンやリモネンなどのやや刺激性のある化学物質が含まれています。そのため、年数が新しい木材であれば、それらの化学物質が放散します。化学物質に敏感に反応される方の場合、個人差があって簡単には判断できないのですが、重度の方であればそれらの化学物質に反応する場合もあります。例えば化学物質に敏感な人たちの多くは、松や松製品に反応する可能性があると言われています。

ですから購入する際には、触れたり臭いをかぐことによって、ご自身の体の変化をみられることが最も重要です。また通信販売などで購入される場合は、サンプル片を事前に送っていただき確認することも大切だと思います。カタログに無垢材を使用していると記載されていても、塗料やワックスがどうかということも考えねばなりません。 

 

2.ウレタン塗装とアミノアルキド塗装

化学物質に敏感に反応されるのであれば、いずれの塗装もあまり適しているとはいえません。ウレタン塗装とアミノアルキド塗装は、ウレタン樹脂とアミノアルキド樹脂が主成分です。心配な点は2つあります。塗料は塗装する際に塗装しやすいように、有機溶剤や水にこれらの樹脂を溶かしています。有機溶剤が使用された場合、その有機溶剤がわずかではありますが残ります。また、ウレタン樹脂やアミノアルキド樹脂は、それぞれ合成化学物質をもとに作られています。そのため、原料がわずかではありますが残っている場合があります。

化学物質に敏感な方の場合、わずかではありますが残っている原料や有機溶剤に反応する場合があります。ですから、ウレタン塗装やアミノアルキド塗装であっても注意が必要です。中古で年数が経過している場合、ほとんど残っていないレベルにまで放散している可能性がありますので、やはりこの場合でも、触れたり臭いをかぐことによって、ご自身の体の変化をみられることが最も重要です。

また、化学物質に敏感な方が使用される目的で、無垢材を購入し、塗装を行うのであれば、ウレタン塗装やアミノアルキド塗装ではなく、自然素材で作られた塗料やワックスを使用されるほうがよいと思います。ただこの中には、自然素材で作られているとはいっても、柑橘系の比較的強い臭いがするものもありますので、化学物質に敏感に反応される方の場合、注意が必要です。


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