柿渋によるホルムアルデヒドの分解


I034

ご質問

柿渋にホルムアルデヒドを分解する効果があるという新聞記事を見ました。柿渋がこのような用途に使えるのかどうか、ご意見をお聞かせ下さい。

 

回答

可能性としては、柿渋のタンパク質が原因であろうと思われます。タンパク質のアミンがホルムアルデヒドと反応し、ホルムアルデヒドが分解されるという反応は考えられます。もともとホルムアルデヒドは、DNAやタンパク質と反応し、その修復過程のミスによって発がんを引き起こすと考えられています。

ただし塗料として使用した場合や、壁紙として使用した場合に、ホルムアルデヒドの室内濃度が低減するほどの効果が得られるかどうかは別問題です。また、タンパク質だとすると、塗った直後は効果があっても、タンパク質が変性を生じ、すぐに効果がなくなる可能性もあります。つまり、これらの反応による効果がどこまで持続するかも重要なポイントです。一時的な効果であっては、建材から数年経過しても放散されるホルムアルデヒドに対して、有効な手段とは言えません。

これらのことを考慮し、実際の柿渋使用量とホルムアルデヒド気中濃度において、どれほどの濃度低減効果があるのか、その効果はどれほどの持続性があるのかについて、実験を行う必要があると思います。実際の室内空気中のホルムアルデヒドは、数年経過しても建材から放散され続けます。つまり、ホルムアルデヒドの供給量と分解量とのバランスがどうなるかが、このような分解効果に対する重要なポイントです。


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