発泡スチロールの揮発物について


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ご質問

冷蔵食品が入ってくる発泡スチロールの箱を暑い時期に開けると、つんと刺激臭がします。あの匂いは有機溶剤系の匂いとよく似ているように思います。 

この発泡スチロールを掃除機などと一緒に扉の付いた棚に入れておいたら、掃除機についていたビニールのメーカーシールが溶けてなくなってしまいました。発泡スチロールの揮発成分が関係していないでしょうか? 

 

回答 

発泡スチロールは、別名発泡ポリスチレンと呼ばれ、ポリスチレンと呼ばれる樹脂を発泡剤で発泡させたものです。また、ポリスチレンの原料であるスチレンは、エチルベンゼンから製造されます。 

食品衛生法第10条(昭和546月)に基づく規格基準では、一般の食品容器における材質中の揮発性物質が、5,000ppm0.5%)以下となっています。その中で、発泡ポリスチレン(熱湯を用いる物に限る)は、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n-プロピルベンゼンの濃度の合計が2,000ppm以下、かつ、スチレン及びエチルベンゼンの濃度がそれぞれ1,000ppm以下 となっています。 

つまり、発泡ポリスチレン中には、ポリスチレンの原料であるスチレン、スチレンの原料であるエチルベンゼン、その他トルエン、イソプロピルベンゼン、n-プロピルベンゼンが残留している可能性が十分あるということです。その他の化学物質は、製造工程中で使用されたのか、副産物として生成されたのか、どちらかわかりませんが、基準に含まれているということは、残存している可能性が充分にあるということです。 

発泡スチロールを掃除機などと一緒に扉の付いた棚に入れておくと、掃除機についていたビニールのメーカーシールが溶けてなくなったということですが、これらトルエン、スチレン、エチルベンゼンなどの化学物質は、ビニールのメーカーシールを溶解する可能性が十分あります。 

使用された発泡スチロール中の、これら揮発性化学物質の残存量と、夏場の暑い時期での揮発量がどれくらいであったかわかりませんが、揮発したこれら化学物質の濃度と曝露した時間及び雰囲気温度によっては、掃除機のビニール製シールを溶解した可能性は考えられると思います。 


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