アンチモンの許容濃度


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ご質問   

「ペットボトルの組成について」のページを見させていただきました。許容濃度に対し、どれくらいの量が人体に取り込まれるかによって作用が異なるとのことですが、アンチモンの許容濃度は、どれくらいでしょうか? 日本国内と、他国(例えばアメリカなど)では許容濃度が違うのですか?  

回答   

アンチモンは、銀白色で光沢があり、硬くて脆い金属の粉末です。そのため通常は、飛散したアンチモンの吸入や経口摂取によって、体内に取り込まれます。また人体への影響としては、反復または長期の皮膚への接触によって皮膚炎を起こすことがあり、眼、気道、肺に影響を与え、じん肺症を生じることがあるとされています。アメリカと日本で定められているアンチモンの許容濃度は、労働環境上のもので、次の通りです。 

<米国産業衛生専門家会議(ACGIH)>

TWA-TLV時間加重平均許容濃度)(Sb)0.5mgm3

1日8時間、週40時間の労働時間中の時間加重平均濃度で、ほとんどすべての労働者が毎日繰り返し暴露を受けても、健康障害を起こさない濃度を示します。 

<日本産業衛生学会>

経皮吸収:0.1mgm3

労働者が1日8時間、週40時間 程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度を示します。

日本の方が、アメリカよりも厳しい許容濃度ですが、いずれも労働環境上でのことです。日本の食品衛生法では、「器具及び包装容器に関して、有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着して人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包装、又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより、人の健康を害う虞がある器具若しくは容器包装は、これを販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない。」と定められており、器具や包装容器からアンチモンなどの重金属が溶出して飲食物から検出されないように、通常は事前に評価しているはずです。 

国内の法規制としては、水道法の監視項目として、0.002mg/lとなっています。 


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