ペットボトルのケミカルリサイクル


C015

ご質問

ペットボトルのケミカルリサイクルが実際に行われないのはなぜでしょうか? 食品衛生法が原因でしょうか?

回答

PETボトルのケミカルリサイクル法は、現在2種類採用されています。1つは、溶融したPETボトルとメタノールを混合し、200度前後で加水分解するメタノリス法です。もう1つは、過剰のエチレングリコールで分解するグリコリシス法です。 

メタノリス法は原料の99%が回収できる高回収率法であり、アメリカではDu Pont社、Eastman社、Hoechst Celanese社が実証プラントから商業プラントへ進んでいます。またGoodyear社はグリコシス法で商業化しています。

またコカ・コーラ社、ペプシ・コーラ社は、それぞれHoechst Celanese社、Goodyear社の技術でケミカルリサイクルを行っています。ケミカルリサイクルによる再生PET25%使用したPETボトルは、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を得ています。コカ・コーラ社ではHoechst Celanese社のリサイクルペットを25%使用した2リットルPETボトル入りのコーラの販売を始め、現在2リットル入りコーラの80%に使用されています。

このようにアメリカでは急速にPETボトルのケミカルリサイクルが進行しています。ヨーロッパでも同じ様な傾向ではないでしょうか。

日本は、まだ回収が始まったばかりで、1999年度で回収率が18%前後でしょうか。再生処理工場が十分に整備されておらず、回収されたPETの行き場がなくて困っています。ケミカルリサイクルがほとんど行われていないのは、技術的な問題や食品衛生法の問題というよりも、まだ商業プラントが整っていないということだと思われます。

早急に商業プラントを建設し、あふれかえる回収PETボトルを再生化する施設を拡充する必要があると思います。


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