食器用プラスティックについて
E002
ご質問
いろんな食器の材質表示を見たのですが、いくつか質問があります。
ポリエチレンとポリプロピレンは同じようなものですか?
メチルペンテンポリマーとはどのようなものですか?
メラミン樹脂とはどのようなものですか?
ポリ塩化ビニリデン製の食品包装用ラップは使っても大丈夫ですか?
塩ビ製品中のフタル酸エステルは、脂肪に溶解した場合、脂肪中への残留性が高いとのことですが、油もの(てんぷらとか,エビフライとか)にラップをして、レンジでチンをした場合、危険なのでは?
回答
1,ポリエチレンとポリプロピレンについて
ポリエチレンは、ポリプロピレンとよく似た構造の物質で、ポリエチレンの方が熱に弱い性質を持っています。ポリエチレンは、ポリプロピレンと同様に、環境ホルモンが溶出しないと考えられています。
2,メチルペンテンポリマー
ポリ-4-メチルペンテン-1(PMPと略します)と呼ばれる樹脂で、結晶性ポリオレフィンに属します。PMPは、ポリエチレン、ポリプロピレンと同様にポリオレフィンに属します。原料もポリエチレンと類似した原料を用います。ポリエチレンやポリプロピレンと比べて耐熱性が高く、透明性が高いことが特徴です。この樹脂も、ポリエチレンやポリプロピレンと同様に、環境ホルモンは含まれていないと考えられます。
3,メラミン樹脂
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドを反応させて作られます。耐水性、耐熱性が優れ、硬い樹脂なので傷が付きにくい特徴を持っています。メラミン樹脂の最大の用途は接着剤で、住宅に用いる合板の接着に用いた場合、ホルムアルデヒドが放散し、化学物質過敏症などの室内空気汚染の原因となる可能性が指摘されています。そこで、低ホルムアルデヒド化の検討などが行われています。
4,ポリ塩化ビニリデン製の食品包装用ラップ
ポリ塩化ビニリデンは、ポリ塩化ビニル(通称:塩ビ)と類似した構造を持ちます。透明性と優れたガスバリヤー性(水分や空気などのガスを遮断)があるため、食品包装用に広く使われています。食品包装用ラップに用いられる場合、可塑剤(ラップの柔軟性を出すために用いられる軟化剤)が含まれていますが、国内大手メーカー2社は、フタル酸エステルなどの環境ホルモンにリストアップされている物質は使用していないとコメントしています。しかし、廃棄物として焼却した場合、塩ビと同様に、焼却条件によってはダイオキシンが発生する可能性があります。そのため、塩ビ樹脂と同様にできるだけ使用しないようにする方が良いと思われます。
5,塩ビ製品中のフタル酸エステルと食品包装用ラップ
塩ビ製品中のフタル酸エステルは、脂溶性(油に溶けやすい性質)をもっているので、フタル酸エステルを含んだ塩ビをラップして暖めると、接触している食品中にフタル酸エステルが溶出する可能性が十分あります。
1998年5月に、Consumers Unionによって出版された報告書によると、ポリ塩化ビニルで包装されたチーズ中に含まれている化学物質を調査した結果、フタル酸エステルの1つであるDEHAが平均153ppm検出されました。(欧州連合の食品包装用ラップから移行するDEHAの規制値は18ppm)
フタル酸エステルは、可塑剤(柔軟性を持たせるために用いられる軟化剤)として塩ビ中にブレンド(混合)しているだけなので、条件によっては溶出すると考えられます。しかし日本国内では、国内大手2社のコメントなどからラップにフタル酸エステルを用いていないと思われます。ポリエチレン製のラップが市販されていますので、現在のところは、ポリエチレン製のラップを使用するのがベターだと思います。
少しずつできるところから順番に変えていくことが大切です。また、慌てたり心配しすぎないようにすることが一番大切なことです。