化学物質過敏症とは

 「化学物質過敏症」とは、「特定の化学物質に接触し続けていると、あとでわずかなその化学物質
に接触するだけで、頭痛などのいろいろの症状が出てくる状態」である。これはアメリカ・シカゴの開
業医であるセロン・G・ランドルフ博士が命名したもので、日本国内では、北里大学医学部眼科石川
教授、同 宮田教授らが問題提起している。
 その原因は、「微量の化学物質の長期間における体内摂取により、体の耐性の限界を越えてしま
ったこと」としている。化学物質の曝露は、大気汚染や室内空気汚染、食品の残留農薬などであり、
体の耐性の限界を越えることによって、その後は微量の化学物質に曝露するだけで過剰なほどに敏
感となり、アレルギーに似た症状や、情緒不安、神経症、行動過多を引き起こす。
 環境ホルモンとは異なり、この症状は、動物が体調の異常を言葉で示すことができないため、動物
実験で客観的に証明することが困難である。そのため、世界的にも「化学物質過敏症」の存在あるい
は化学物質との関連を裏付ける証拠がないとされている。
 しかし、最近マスコミでも取り上げられているように、ある時期より急に、微量の化学物質に曝露す
るだけで、体調異常の症状を引き起こす人々が増えています。

化学物質過敏症の症状

  障害    症状
自律神経症害 発汗異常、手足の冷え、易疲労性
精神障害 不眠、不安、うつ状態、不安愁訴
末梢神経症害 のどの痛み、渇き
消化器症害 下痢、便秘、悪心
眼科的障害 結膜の刺激的症状
循環器障害 心悸亢進
免疫障害  皮膚炎、喘息、自己免疫疾患

 ※ 引用 : 北里大学 医学部 講師 難波龍人:建築雑誌、26-27(1998)


化学物質過敏症の原因物質
 

化学薬品 殺虫剤、除草剤、抗菌剤、可塑剤など
有機溶剤 塗料、クリーナー、シンナー、芳香剤など
衣料 絨毯、カーテンに含まれる防炎・可塑剤
金属 貴金属、重金属
その他 タバコ煙、家庭用ガス、排気ガス、大気汚染物質、医薬品

  ※ 引用 : 北里大学 医学部 講師 難波龍人:建築雑誌、26-27(1998)



化学物質過敏症への対策

・ 化学物質をできるだけ含まない材料を選択する
  自然素材、無垢材の使用
  合板の使用は避ける
  内装材に塩ビクロスの使用は避ける
  有機溶剤を使用した接着剤や塗料の使用は避ける 

・ 室内換気回数を増やす

Author: Kenichi Azuma


「住まいの科学情報センター」のメインサイトへ