化学物質の安全性と環境との調和

−21世紀を迎えて−


化学物質が引き起こす環境問題

・大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などの環境汚染
・ホルムアルデヒドなど揮発性有機化合物による室内空気汚染
・ごみなどの廃棄物による土壌や水質などの汚染問題
・プラスチック類から排出される化学物質による環境・健康影響リスク
・二酸化炭素による地球温暖化問題
・農薬、殺虫剤散布による環境汚染

化学物質によってもたらされた恩恵

・石油精製物によるエネルギー革命
・軽量、壊れにくい、加工しやすいといった特徴をもつプラスチック製品
・病気の治療に用いられる薬
・高度情報化社会をもたらした半導体技術
・コンクリートなどの新しい建材による土木建築革命

 20世紀における高度な産業の発達は、そのほどんどが原油や鉱石などの地球資源から生まれた化学物質が寄与しています。そのため私たちの生活環境は、それまでとは大きく変わってしまいました。さまざまな新しい技術が開発されることによって、便利で快適な生活が送れるようになりました。

 しかしながら、同時に数多くの環境問題を引き起こしたことも事実です。そして近年、化学物質によってもたらされる環境・健康影響問題には、非常に懸念すべき事項が含まれています。21世紀を迎えても、解決できずに積み残した課題がたくさんあります。

 私たちにとって大切なことは、化学物質をこわがらすによく理解することです。これだけ化学物質による環境汚染問題が社会問題化すれば、身の回りにあるもの、どれもこれもが危険に思えてきます。そうなると頭の中が混乱し、安定した生活が送れなくなります。過剰な反応は慎むべきで、冷静に対処できるように情報をよく理解することが大切です。私たちの身の回りにどのような製品があって、どのような化学物質が使われているか、そしてそれがどのようなリスクを持つかをできる限り理解することによって、何から対処すべきか冷静に考えなければなりません

 そして次に大切なことは、「化学物質の安全性と環境との調和」を考えていくことです。化学物質にはたくさんの種類があり、それぞれさまざまなレベルの毒性を持っていますが、まだ明らかになっていないことがたくさんあります。今後もさらに研究を行うことによって、化学物質の安全性を見直していかねばなりません。そして私たちは、これからも化学物質と付き合っていかねばなりません。以前の生活に後戻りすることは、困難となっています。そのため、化学物質が私たちの環境と調和するように、社会を変えていかねばなりません。21世紀は化学物質の安全性と環境との調和が築かれた社会となるように、産官学民が一体となって協力していくことが求められています

2001年 1月 1日

住まいの科学情報センター    
(旧称:住まいにおける化学物質)
 東 賢一


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