室内空気汚染について
最近の住宅の特徴
・省エネルギー対策のために、気密性が向上している。 → 換気量の減少
・ビニル壁紙、合板製フローリング、ビニルシートなどの素材が多く用いられる。 → 発生量の増大
住宅環境内は、換気されていなければ密閉された空間です。日常の大半を過ごす住宅内での空気
環境は、私たちの生活にとって非常に大切です。しかし万が一、室内空気に有害な化学物質があると、
呼吸によって体内に取り込まれ、私たちの健康に重大な障害をもたらします。
最近の住宅環境は気密性が増大し、住宅内に様々な化学物質を含んだ材料が使用されたり、持ち
込まれています。それらのうち、揮発性の高いものは空気中にはなたれ、室内空気が汚染されている
のです。
住宅における室内空気汚染源
室内空気汚染の発生源 ( ● は因果関係 )
発生源 | 安定剤/鉛など重金属/ | 難燃剤/有機化合物/ | 可塑剤/有機化合物/ | 接着剤/有機化合物/ | 溶剤/有機化合物/ | 農薬類/有機化合物/ | 抗菌剤/有機化合物/ | 着色剤/有機化合物/ | オゾン | 電磁波 | CO | CO2 | 細菌 | ダニ | カビ | 発泡剤/フロン/ | 粉塵 | ラドン | 鉱物繊維 | アスベスト | 窒素/硫黄酸化物 | |
内装仕上げ | ・ビニールクロス | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
・合板 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
・フローリング(合板) | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
・化学系接着剤 | ● | |||||||||||||||||||||
・化学系塗料 | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
・パーティクルボード | ● | |||||||||||||||||||||
・カーペット | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||||||||
・畳 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||
・カーテン | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
・塩ビ製品 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||
・断熱材 | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
建築設備 | ・ガス、石油式開放型燃焼器具 | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
・石炭式開放型燃焼器具 | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
・コピー機 | ● | |||||||||||||||||||||
・加湿器 | ● | |||||||||||||||||||||
・電気機器 | ● | |||||||||||||||||||||
・エアコン | ● | ● | ||||||||||||||||||||
建築屋外 | ・地中 | ● | ||||||||||||||||||||
・スレート版 | ● | |||||||||||||||||||||
・外壁吹き付け材 | ● | |||||||||||||||||||||
・塗装材 | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||||
・農薬、除草剤の散布 | ● | |||||||||||||||||||||
居住者の活動 | ・掃除機 | ● | ● | |||||||||||||||||||
・洗剤 | ||||||||||||||||||||||
・殺虫剤 | ● | |||||||||||||||||||||
・喫煙 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
・趣味、工作 | ● | ● | ||||||||||||||||||||
・人、動物の代謝 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
健康障害 | 化学物質過敏症 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
アレルギー症状 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||||||||||
中毒 急性 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
慢性 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
発ガン性 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||||||||
催奇形性 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
生殖毒性 | ● | ● | ● | |||||||||||||||||||
遺伝毒性 | ● | ● |
※ 資料 : 高橋 元、建築技術、117−123、1997
健康への影響
汚染物質 | 健康への影響 |
ラドン | 肺ガン |
ホルムアルデヒド | 発ガン性、アレルギー喘息、粘膜刺激、頭痛、疲労感、物忘れ、睡眠障害 |
二酸化炭素(CO2) | 喘息などの呼吸器系疾患、肺機能低下、感染抵抗性の減弱、免疫能低下、気道障害 |
一酸化炭素(CO) | 酸素運搬障害による酸素欠乏症、運動能力や認知力低下 |
揮発性有機化合物(VOCなど) | 900種類以上の化学物質が室内で検出。 粘膜刺激、神経毒性(麻酔、食欲不振、興奮と抑制、疲労、記憶障害、めまいなど) 肝臓毒性、発ガン性、変異原性 |
多環式芳香族炭化水素 | 発ガン性物質が大半。変異原性、心血管系への影響 |
殺虫剤 | 神経系、肝臓、生殖器に影響 |
タバコ煙 | ガン、呼吸器系、心血管系への影響、感染抵抗性の減弱 |
生物学的因子 | 感染性疾患(結核、レジオネラ菌)、アレルギー(鼻炎、喘息、加湿器病など)、中毒 |
非電離放射線 | ガン(神経系)、流産 |
※ 資料 :香川 順、ビルメンテナンス、47−51、1997
対策
・ 化学物質をできるだけ含まない材料を選択する
自然素材、無垢材の使用
合板の使用は避ける
内装材に塩ビクロスの使用は避ける
有機溶剤を使用した接着剤や塗料の使用は避ける
・ 室内換気回数を増やす
Author: Kenichi Azuma