世界中の作物が遺伝子組み替えに……


1999年3月5日

CSN #011

レイチェルの環境と健康(レイチェルニュース)#639より

By Rachel-Weekly, ---February 25, 1999---

8年間にわたる科学的検討を行った結果、1/14カナダ政府は、モンサント社が要望していた遺伝子組み替え技術が行われたミルクホルモンrBGHの認可を見合わせる決定を下した。このrBGHは、通常の牛よりも10%多くミルクを生み出す薬である(文献1)。このことは、モンサント社にとって深刻な出来事である。モンサント社にとってrBGHは、最初に開発した遺伝子組み替え製品であり、綿花、トマト、ジャガイモ、米、とうもろこし、大豆などの他の作物にこの技術をスムーズに導入したいと考えている。そのため、rBGHがカナダで認可されれば、国際的に認可されたことになったのである。

カナダでは政治的な働きかけが失敗し、rBGHの認可が見合わされた。カナダ政府の保健衛生関係筋の話によると、モンサント社は保健衛生関係者にわいろを送ろうとした。また政府の科学者は、rBGHを認可するように権力によって圧力をかけられていたと証言した。(REHW#621)

最終的にカナダ政府は、遺伝子組み替え技術が行われた牛において、乳房汚染や、足の筋肉の萎縮、短命化などが発生する可能性があるためにrBGHの認可を見合わせた。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、動物への影響を考慮せずにアメリカ合衆国でのrBGHの使用を1993年11月に認可した。モンサント社は、どのくらいアメリカ合衆国の農家にrBGHの使用が広まっているか公表しないだろう。

モンサント社は、アメリカでrBGHが使用されているという事実がカナダ政府に対してPRになるだろうと言っている。しかし最も重要なことは、モンサント社がこの夏に開催されるCodex会議でrBGHの安全性を宣言するようにWHOの機関に要求することである。もし、Codexが世界貿易機構の規則にのっとって、モンサント社の要求を認める声明を出せば、カナダ政府はrBGHの使用を認めざるを得なくなるだろう。そうなれば、モンサント社は自分の目標に対して1ステップ近づくことになる。

最近カナダ政府がrBGHの認可を見合わしたにも関わらず、モンサント社は遺伝子組み替え技術を販売することで、世界農業を支配する計画を立てている。また、アメリカ政府の支援も受けている。

アメリカ合衆国内外においてもモンサント社は、2つの遺伝子組み替え技術を販売している。1つは、「Round Ready」であり、それはモンサント社の最主力製品である除草剤が作物へ侵入するのを防ぐ遺伝子組み替え技術である。その遺伝子には、植物細胞中に殺虫性の毒素を生み出すBt遺伝子が組み込まれている。そのような植物を食べた芋虫は、Bt毒素に対する抵抗力ができるまでは、その多くが死んでしまうだろう。(REHW#637、#638)

アメリカ合衆国では遺伝子組み替え作物が急速に拡大している。1995年には商業ベースでの販売はほとんど見られなかった。しかし3年後の1998年には、アメリカ国内で5000万エーカー。全世界では7300万エーカーにまで広がった。消費者からの抵抗をできるだけ最小限にして遺伝子組み替え作物を拡大するために、FDAは遺伝子組み替えが作物には、その表示の必要性がないとという発表を行った。そのため消費者は、食料品店でそれらの選択ができない。つまり、消費者は遺伝子組み替え食品を買わないようにはできない。アメリカ合衆国における食料品店の3万もの商品が、遺伝子組み替え技術が行われた有機物を含んでいると試算されている。

モンサントは2000年までに100%の大豆(6000万エーカー)を遺伝子組み替え品にすると発表した。


100%といっても実際には99.9%になるだろう。というのは、有機農業による従来の大豆が0.1%に含まれているからでる。しかし、それでもモンサントは100%と捉えるだろう。また、モンサントの思惑が実現すれば、食料品店において有機農業で作られた大豆が遺伝子組み替え品か従来品かの区別ができなくなる。昨年、アメリカ農務省(USDA)が「有機農業」の定義についての国家基準を提案したが、モンサントとUSDAは、農薬を使わずに有機農業で作られた遺伝子組み替え作物も有機農業のラベルを貼ることを許可するよう提案した(RHEW#583)。怒った国民からの30万通もの反対の手紙を受け取った後、モンサントとUSDAは提案を取り下げた。しかし今後3年にわたりモンサントは、アメリカ政府に対して再び有機農業品のラベルを貼る許可について、議会で討論するよう求めていくだろう。もしUSDAがモンサントの計画に追従するならば、有機農業品のラベルは意味をなくし、消費者は食料品店が遺伝子組み替えを食品を販売していないよう信用するしかない。しかしほとんどの食料品店はその方法がわからない。

「ST.LOUIS POST−DISPATCH」というの雑誌の中で、ビル・ランブレット(Bill Lambrecht)が報告したところによると、モンサントは密かにヨーロッパで遺伝子組み替え作物の認可を得る計画を立てている。それが実現すれば、ヨーロッパでの認可をもとに、アフリカ、アジア、南アメリカにある旧ヨーロッパ植民地の国々にその技術を売ろうと計画している。

しかしそれは容易なことではない。アイルランド、イギリス、フランス、インドで農民主導の暴動が起きており、モンサント社のテスト計画を燃やしている。しかし、モンサント社は、インドにおいて防弾樹脂でできたビニールハウス内で遺伝子組み替え作物を栽培している。

特に懸念されることは、技術保護システムと呼ばれるモンサント社の最新の遺伝子組み替え技術である。一般的には「ターミネータ・テクノロジー」として知られている。それは我々の税金を使ってアメリカ農務省が開発した。しかし、モンサント社が最近買収したミシシッピという会社が特許権を持っている。ターミネータ・テクノロジーは、1〜2年後に食物の種子が生殖能力をなくすようにする遺伝子技術である。

モンサントの遺伝子組み替え技術を主に使用している人たちは、ターミネータ・テクノロジーによって、毎年モンサントの種子を買わざるを得なくなる。このことは、モンサント社が自社の遺伝子技術を全世界に広く認めるように、食物供給をコントロールする方法を実質的に得ることを示している。モンサントの目標は、まさしく全世界の食物供給をコントロールすることである。

アメリカ政府は、モンサント社の計画を支持することにメリットがあると考えている。ビル・ランブレットが以下のことを報告している。「アイルランドの首相バーティー・アーン(Bertie Ahern)が1998年にアメリカを訪問した時、彼はアメリカ国家安全保障会議のサンディー・バーガー(Sandy Berger)に会った。昼食中の会議の議題はアイルランドの平和問題ではなく、モンサントの遺伝子組み替え技術が行われたトウモロコシに関するEC(ヨーロッパ共同体)での審議において、アイルランド代表の投票をどうするかであった(文献3)。」ビル・ランブレットの報告によると、モンサントは、遺伝子組み替え食品に関する審議の事前準備をするために、アメリカへアイルランドのジャーナリストグループを空輸したときに、ホワイトハウスの大統領執務室に立ち寄るようにしたのである。大統領執務室といえば、一般人にはめったにおけにかかれないワシントンの場所である。

フランスはモンサント社に対して、フランス国土におけるモンサント社の遺伝子組み替え種子の使用を拒否した。その後、マデリン・オルブライト国務長官とアメリカの下院議員のシャーレーン・バーシェフスキーは、モンサントの代理としてフランスとモンサント社との間に入った。フランスが未だに拒否するのであれば、クリントン大統領が個人的にフランス首相ライオネル・ジョスピン氏に対してこの問題を提議すると伝言を送った。ビル・ランブレットの報告によると、それでもフランスが拒否したため、ゴア副大統領がフランス首相に直接電話して強く要望した。そしてフランスはアメリカ高官の圧力に屈服したのである。

「モンサントが種をまこうとするところは、どこであってもアメリカ政府がその農耕地を整備する。」このようにビル・ランブレットは、アメリカ政府のことをモンサントの共謀者だと言っている。

「ホワイトハウスや国家安全保障会議なんて信用できない。1998年に、アメリカ政府の組織はバイオテクノロジーの発展ために寄与した。このことはモンサント社にとって、数人のマイケル・ジョーダンを率いるバスケットボールチームを持つようなものである(文献3)。

我々は予測します。アメリカ政府はアメリカ外交の新たな基幹政策として、遺伝子組み替え技術を捉えている。まるでアメリカがおのれの意のままに世界中を見ているかのように、世界の国々の主要食品は、アメリカの会社の種子から作られた作物からなっており、その種子は毎年アメリカの会社から買わなければならない。そして食物供給がコントロールされて、自分たちの意志ではどうにもできなくなる。
新しい世界はもうすでに始まっている。


もしあなたが遺伝子組み替え食品を避けたいのであれば、有機農業で作られていないトマト、ジャガイモ、トウモロコシ、醤油、果汁飲料を避けて下さい。また、トウモロコシのシロップや糖類を避けて下さい。それらはほとんど全ての飲み物(健康食品の表示があっても)や、ヨーグルトなどの甘系統の製品に含まれています。有機農業作物でないコーン油、コーンスターチ、コーンフーズ、重曹、ベーキングパウダー、シロップ、醤油を避けて下さい。火の通った商品であるピザ、クッキー、ケーキ、パスタ、肉製品(例えばビッグマック)や、健康食品(例えば豆腐、豆腐のハンバーガー、豆腐のホットドッグ)、ベビーフード、ダイエット食品、チョコレート、キャンディ、マーガリン、アイスクリーム、ペットフード、サラダドレッシング、スナック菓子など全部で30,000以上の遺伝子組み替え食品がある。

人工甘味料や有機農業品でないチーズは遺伝子組み替えが行われた酵素を含んでいます。アミラーゼ(パン、パン粉、小麦粉、スターチなどを作るときに使用される)、キャタラーゼ(ソフトドリンク、生クリームを作るときに使用される)、ラクターゼは遺伝子組み替えされた成分を含んでいます。

家畜や養殖魚の大半は、遺伝子組み替え作物を餌として与えられている。養豚場の豚から得た豚肉は、人間によって遺伝子操作によりDNAに変更が加えられた。


この問題に関する最新の出版物を読みたい人は以下の書物を読んで下さい。

「MONSANRT MONITOR」
出版社:Netherlands、オランダ

問い合わせ先

E-mail: biotech@aseed.antenna.nl.
電話番号: +31-20-468 2626;  Fax番号:+31-20-468 2275.
URL: www.antenna.nl/aseed.

また他の情報は以下から入手して下さい。
1) Canada's Rural Advancement Foundation International (RAFI) atwww.rafi.org; In North Carolina, phone (919) 542-1396; fax: (919)542-0069; e-mail: www@rafi.org. In Canada, phone (204) 453-5259;fax: (204) 925-8034; e-mail: rafi@rafi.org. 

2) Physicians and Scientists Against Genetically Engineered Foodat www.psagef.org/sitemap.htm.

3) The Campaign for Food Safety at www.purefood.org; telephone(218) 226-4164; e-mail alliance@mr.net.

4) Food & Water, 389 Vermont Route 215, Walden, VT 05873; phone:(802) 563-3300; fax: (802) 563-3310. Their FOOD & WATER JOURNALis must reading.


<文中の参考文献>

[1] Kelly Morris, "Bovine somatotropin--who's crying over spilt
milk?" LANCET Vol. 353 (January 23, 1999), pg. 306. For moredetail on this story, see Brewster and Cathleen Kneen, "rbGH--forthe last time?" RAM'S HORN No. 166 (February 1999), pg. 1. TheRAM'S HORN [ISSN 0827-4053]: S-12, C-11, R.R. #1, Sorrento, B.C.V0E 2W0, Canada, is $20 (U.S.) per year (11 issues). E-mail:ramshorn@jetstream.net; or phone (250) 835-8561. Well worth theprice.

[2] These big-name products include genetically modifiedingredients: Coca-Cola (corn syrup and/or Aspartame), Fritos(corn), Green Giant Harvest Burgers (soy), McDonald's frenchfries (potatoes), Nestle's chocolate (soy), Karo corn syrup(corn), NutraSweet (Aspartame), Kraft salad dressings (canolaoil), Fleishmann's margarine (soy), Similac infant formula (soy),Land o' Lakes butter (rBGH), Cabot Creamery Butter (rBGH). 

[3] Bill Lambrecht, "World Recoils at Monsanto's Brave NewCrops," ST. LOUIS POST-DISPATCH December 27, 1998, pg. A1. 


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