モンサント社のrBGHミルクについて 


1999年3月26日

CSN #019

国際科学委員会からの警告:

モンサント社が開発した遺伝子操作ホルモンが入ったミルクの摂取によって、乳癌や前立腺癌が発生する深刻な危険性がある。

 

情報源:

ニュースリリース

1999年 3月21日

CNW、シカゴ

 

イリノイ大学の環境薬学部教授であり、癌予防連合の会長であるSamuel S. Epstein博士が本日発表したレポートを以下に概説する。

欧州連合(EC)は、権威ある16人の国際科学委員会のメンバーによる報告書を発表した。その報告は、モンサント社の遺伝子操作ホルモン(rBGH)を注射された雌牛から得られたミルクに、IGF−1(インシュリンのような成長ファクター)が自然に過剰発生することが確認されたという内容であった。このrBGHは、通常の牛よりも10%多くミルクを生み出す薬である。その報告書には、過剰にIGF−1を摂取すると、乳癌や前立腺癌の発生率が向上する危険性があるといった内容が含まれている。

IGF−1と乳癌や前立腺癌との関連性についての実験検証は、最近出版されたコーホート研究(同時出生集団などの群の研究)による疫学的研究によっても支持されている。その報告書も、過剰にIGF―1を摂取すると、癌細胞の自己破壊(apoptosis;プログラムされた細胞死による) を抑制するため、ある種の癌が成長するのを促進し、また正常な細胞内に癌細胞が侵入してくるのを促進するかもしれないと警告している。また、rBGHを注射された雌牛に乳腺炎が発生し、それを治療するために抗生物質が投与された場合、その抗生物質の残物によって汚染されたミルクは、一般大衆の抗生物質への感染を広げる可能性がある。

最終的に欧州連合(EC)の報告は、rBGHミルクが他にも潜在的に健康を害する危険性を有しているかどうかについて、追加調査が必要であると指摘した。また、これと並行した欧州連合の別の報告書においても、rBGHが家畜の病気に関して重大な危険性を有しているという警告を発している。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、過去10年にわたって科学者らが出版した論文中に詳細に記載されている実験検証を、無視してきたということことになるだろう。欧州連合(EC)の警告は、アメリカ食品医薬品局(FDA)の方針と厳しく対立しているが、FDAの方針は、rBGHミルクは安全だというモンサント社の機密にされた要求に基づいているのだ。

またこの報告は、国際的な食物の安全性基準の決定責任権を有する、WHOの組織Codexの権限と能力に対して深刻な疑問が生じる。その機関がrBGHミルクに対して与えた承認は不適切なものだったのだ。FDA幹部からの天下りや産業コンサルタントがCodexのメンバーである。彼らは密会し、安全性に関して一般には公表されない産業上における確信といったものを信頼しているのだ。

アメリカとカナダの公的承認機関の幹部とCodex間の絡み合った関係は、アメリカの消費者や世界中の食物の安全性に対して大きな懸念を抱かせる。

回避可能な公衆健康障害は別として、乳癌と前立腺癌の発生率が年々増加していることに直面して、FDAは直ちにrBGHミルクの認可を取り消すべきである。アメリカ合衆国全国民に対する健康の危険性を提起している間に、rBGHを販売することで、モンサント社だけはどんどん利益を得るのである。

FDAはCodexへの食物の安全性に関する責任と信頼を放棄したが、そのことを米国国会が調査しても今となってはもう遅い。8年間にわたる科学的検討を行った結果、1999年1月14日にカナダ政府は、モンサント社が要望していた遺伝子操作ミルクホルモンrBGHの認可を見合わせる決定を下した(文献1)。

さらに詳しい情報は、イリノイ大学環境薬学部教授であり、癌予防連合の会長であるSamuel S. Epstein博士, 312-996-2297までご連絡下さい。

参考文献:

[1]「世界中の作物が遺伝子組み替えに」レイチェルの環境と健康#639, February 25, 1999.


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