塩ビパイプから浸出するPCEで癌発生率が増加


1999年4月6日

CSN #028

上水道の塩ビパイプから浸出したテトラクロロエチレンによって、肺癌、結腸癌、直腸癌の発生率が増加することを関連づける疫学記事が、環境衛生展望の最新号に掲載されています。以下のアドレスに概要があります。

http://ehpnet1.niehs.nih.gov/docs/1999/107p265-271paulu/abstract.html

もしこれが本当に意味のある結果を示しているならば、ドライクリーニングの職人が潜在的に同様のリスクを持っているということになる。

<要約文>

結腸−直腸癌(n=326)、肺ガン(n=252)、脳癌(n=37)、膵臓癌(n=37)と公共上水道(飲料水)から浸出するPCE(テトラクロロエチレン)との関係についての研究を、人口を基準とした算出法を用いて行った。この研究の主たる目的は、飲料水に用いられているパイプの塩ビ被覆材から浸出するPCEへの暴露に関するものであった。PCEの浸出量は、住居の場所、住宅の築年数、水の流れ、パイプの特性を考慮したモデルを用いて概算した。肺癌の発生確率(ORs)は、いずれの潜伏期間においても高い値を示した。また、95%信頼区間(Cls)とともに計算結果を以下に示す。

表−肺癌の計算結果

潜伏期間

発生確率

95%信頼区間

0年

3.7

1.0−11.7

5年

3.3

0.6−13.4

7年

6.2

1.1−31.6

9年

19.3

2.5−141.7

結腸−直腸癌でも同様の傾向となり、95%信頼区間と発生確率は以下のようになった。

表−結腸−直腸癌の計算結果

潜伏期間

発生確率

95%信頼区間

11年

1.7

0.8−3.8

13年

2.0

0.6−5.8

これらの高い発生確率は、直腸癌と関連するものが大きかった。

表−直腸癌の計算結果

潜伏期間

発生確率

95%信頼区間

11年

2.6

0.8−6.7

13年

3.1

0.7−10.9

表−結腸癌の計算結果

潜伏期間

発生確率

95%信頼区間

11年

1.3

0.5−3.5

13年

1.5

0.3−5.8

これらの結果より、公共飲料水のPCE汚染と肺ガン、結腸−直腸癌との間に相関があるという確証が得られる。

出典:環境健康展望vol. P265-271, 1999

情報源:1999年3月5日環境健康展望オンラインニュース


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