食用肉に関する懸念事項


1999年4月21日

CSN #036

 

情報源:Natural Health Village

http://www.naturalhealthvillage.com/newsletter/990301/meat.htm

 

By Peter Barry Chowka,

 

私たちの食用肉に潜む危険について指摘する論文が、1999年2月27日のイギリス医学雑誌ランセット(Lancet)の調査レターに掲載された。 

感染症患者の治療に一般的に使用される最も強力な抗生物質バンコマイシンに耐性を持つバクテリアがアメリカ合衆国の鶏飼料で発見された。その論文は、家畜飼料添加物として抗生物質使用が拡大していることに警告を発している。 

ボルチモアにあるメリーランド大学のグレン・モリス・Jr.(J. Glenn Morris, Jr.)医学博士らによると、そのバクテリアは、それ自身は人々の健康に危険を及ぼさないが、最も強力な抗生物質バンコマイシンに耐性を持つ能力をもつので、公衆衛生に対して驚異である可能性がある。ニューヨーク・タイムズ紙によると、「人間がそのバクテリアに汚染された鶏を食べたり触ったりすることでバクテリアに感染した時、人間に対しては無害ではあるが抗生物質の効力を失わせる作用をする。そして、エイズによる免疫低下治療、癌治療、臓器移植が行われる患者にとっては、直ちに危険なものになるだろう。抗生物質耐性をもつバクテリアによって生じた病気は致命的であり、数種類の薬物を使って治療する必要性が出てくる。そのような感染がアメリカやヨーロッパで増大している。」 

ニューヨーク・タイムズ紙(以下タイムズ紙)に対するモリスのコメントによれば、「鶏飼料で発見されたバクテリアは、危険感染に対して切り札的な最強の薬であるバンコマイシンに対する耐性を示した。バンコマイシン耐性を持つバクテリアによる有害感染が、最近アメリカ合衆国に現れた。」 

これまでこのバクテリアはアメリカ合衆国の鶏肉では発見されなかったが、今回飼料で発見された。しかし飼料にあるということは、その後鶏に取り込まれ、それを摂取した人間にも取り込まれるだろう。1997年11月20日、警告を発する論文がイギリス医学雑誌「the New England Journal of Medicine (NEJM)」に掲載された。その内容は、家畜への感染耐性及び感染食肉を摂取する人々への感染耐性のために使用される、家畜飼料中の強力抗生物質に関するものであった。オランダのマーストリヒト大学の研究者らによる論文で、彼らは七面鳥や七面鳥飼育者や七面鳥飼育場の近くに住む人々から、バンコマイシン耐性の増加に関連するバクテリア腸球菌を発見した。また研究者らは、七面鳥飼料に成長促進用添加物として使用されている、バンコマイシン類似蛋白質であるアボパルシン(avoparcin)との統計的関連性を公開した。

バクテリアが耐性力強化や治療用抗生物質耐性を有する原因は、私たちの医療や農業において抗生物質を過度に使用することにある。全世界で生産されている5000万ポンドの抗生物質の約半分はアメリカで生産され、飼料用添加物としてほとんどの家畜飼料に用いられている。 

1997年、NEJMの研究論評において、この研究の主査であるアンソニー・E.ヴァン・デン・ボガード(Anthony E. van den Bogaard,)は以下のように述べている。「この発見は、豚、七面鳥、鶏、雌牛の飼育において全世界的な緊急課題である。抗生物質を用いることは、抗生物質耐性が付与されたバクテリアの遺伝子増殖をさらに加速する。またいかに短期間でこれらの遺伝子に置換されるか誰も知りはしないだろう。しかし確かにそうなる可能性がある。私たちの体がこれらのバクテリアに多量に感染すると危険である。抗生物質耐性の遺伝子情報が核外遺伝子(プラスミド)DNA鎖の近傍に存在する情報をさらに私たち持っている。つまり耐性が拡大する危険性を秘めている。」 

ヴァン・デン・ボガードはオランダのために以下のように主張している。「直ちに抗生物質の使用を半減して下さい。私はこの問題が世界中に拡大するのではないかと思っている。食品添加物政策検討委員会は方針を変えてもいい時期に来ている。治療用に使用される抗生物質と成長促進剤として使用される抗生物質との根本的な区別を取り払うべきだ。もはや最近の抗生物質はビタミンのように取り扱うべきではない。抗生物質耐性腸球菌濃度が低いということは、家畜の品質区別及び安全印として考えるべきだ。 

ランセットでの新しい研究報告に対して、アメリカ保険健康省食品医薬品局(FDA)の獣医学センター(VM)のディレクターであるステファン F. スンドルフ(Stephen F. Sundlof)化学博士はタイムズ紙で以下のように述べている。「バクテリアが生存できないような高温高圧下で飼料ペレットが生産されているので困惑した。つまり、そのような条件下でもこのバクテリアは死滅しないのである。汚染された飼料を摂取し家畜がバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の貯蔵庫になるならば、私たちの体は潜在的な危険を有することになるだろう。」 

日本における関連情報が下記サイトにありますのでご参照下さい。

  1. 鶏肉より分離されたバンコマイシン耐性腸球菌について
    (厚生省生活衛生局乳肉衛生課)
    http://www.mhw.go.jp/topics/kyukin/tp0706-1.html

  2. バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の出現 -要約-
    (京都府立医科大学臨床検査部)
    http://www.kpu-m.ac.jp/shourei/shugi/CDCs.html

  3. 食肉より分離された腸球菌の高度バンコマイシン耐性に関する調査、研究報告
    (国立感染症研究所、感染症情報センター)
    http://idsc.nih.go.jp/ddrug/dd2281.html

  4. バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に関する総合情報(電子顕微鏡写真付き)
    (国立感染症研究所、感染症情報センター)
    http://idsc.nih.go.jp/others/vre-index.html

 

<追加情報>

  1. solation of vancomycin-resistant enterococci from animal feed in USA Richard S Schwalbe, Angela C McIntosh, Sadaf Qaiyumi, Judith A Johnson, J Glenn Morris Jr The Lancet Volume 353, Number 9154 27 February 1999

  2. Vancomycin-Resistant Enterococci in Turkeys and Farmers The New England Journal of Medicine Vol. 337, No. 21 November 20, 1997.
    http://www.nejm.org/content/1997/0337/0021/1558.asp

  3. Article: Chicken: is it a healthier meat? by Silvia Wilson, HealthLink -- Health Awareness Directory for Vancouver, BC.
    http://www.selene.com/healthlink/chicken.html

  4. Interview with FDA's Stephen Sundlof, DVM, PhD by International Food Information Council.http://ificinfo.health.org/insight/antibiot.htm

  5. Mad animal disease information and toxic and contaminated food information from the Campaign for Food Safety.
    http://www.purefood.org/meatlink.html
    http://www.purefood.org/toxiclink.html


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