ポリ塩化ビニルとガンの関係


1999年4月23日

CSN #038

Iida Kouji

PVC業界で働くことによって睾丸ガンの危険性が増大するというレポートがInternational Jornal of Cancer, December (1997)に掲載されている。これはスエーデンの腫瘍学科のLennart Hardellによってまとめられた論文で「症例-対照例比較調査に基づくポリ塩化ビニルの職業的な暴露による睾丸ガンの危険性」というタイトルである。これからも引き続き調査対象を広げていく必要があるがPVCに暴露されると睾丸ガンになりやすくなるという結論を提出している。

Hardellの研究は自分で質問に答えていく自己申告の解答のデータをもとに行われた。解答は睾丸ガンにかかっている148人とガンのない315人から得た。質問は労働歴および他のポリマーへの暴露が雇い主からのたすけを得て評価された。プラスチックに暴露されたものは44人であることがわかった。これらのうち多いのはスチレンに暴露するケースであるがスチレンの暴露と睾丸ガンとの間に関係は見られなかった。 PVCに暴露していたとされるガン患者は7人おり、同様に暴露しているがガンを疾病していない患者は2人であった。この結果は、統計的に重要ではあるのだが、暴露された患者の数が少ないとしている。レポートの最終的な結論によると自己申告に基づく調査ではPVCと睾丸ガンの関係について誤った結論を引き出す可能性があるが、現在のところ驚くほど高い確率で関係があると結論できるという。仮説の検証を広く検討すべき段階にきているという。

 ビニルポリマー製造業界のヨーロッパCouncilPVCの製造および加工が睾丸ガンを労働者にひき起こすことについては信じられないと見解を述べているが早急に共同で調査する必要があると述べている。

 

European Plastics News, 25 (4), 12 (1998)


[HOME]