カラメル色素に含まれる化学物質


1999年7月20日

CSN #079

Dioxin-Lメーリングリストの参加者から、茶褐色着色剤として用いられる、カラメル色素に含まれる化学物質に関する投稿がありましたので紹介します。その化学物質は、2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール2-acetyl-4-tetrahydroxybutylimidazoleTHI)で、アンモニア・カラメル化合物として飲食物の着色に用いられています。 

<情報の概要>

コーラ飲料や茶色に着色された加工食品のほとんどがTHIで着色されています。例えば、地ビールのボトルのラベルを見たとき、カラメル色素の成分リストに気づきます。このカラメル色素は、比較的無害な焼砂糖のカラメル色素ではありません。 

コカ・コーラ社はTHIの特許を持っています。THIは免疫抑制剤です。この化学物質は、臓器移植患者にとっては有用です。しかし一般大衆には安心できないものです。THIは、皮膚癌を引き起こす可能性が疑われています。 

オーストラリア人の研究者、Vivienne Reeve博士は、THI摂取量が増加するにしたがって、免疫システムが抑制されることを見出しました。皮膚癌発生率は、免疫システムの増加によって抑制されます。

 

<参考文献>

THIの免疫抑制作用について、以下の論文に掲載されていますのでご参考下さい。

 

1)米臨床栄養学雑誌

http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/61/3/571

The American Journal of Clinical Nutrition, 1995 Mar;61(3):571-6

VE Reeve, M Bosnic, C Boehm-Wilcox and RB Cope

シドニー大学、獣医病理学部

THIは、マウスに対してリンパ球減少症を引き起こすことが知られている。この化学物質は、マウスに対して免疫機能を抑制するため、通常の皮膚接触過敏反応を示せなくなる。本研究は、THIによってビタミンB6が抑制され、リンパ球減少症を誘発することを証明している。ビタミンB6は、皮膚炎、口内炎などに効果があるとされ、 バナナ、カツオ、イワシ、まぐろ、くるみ、豚肉、焼のり、いか、セロリなどに含まれている。

 

2)食品化学毒性学雑誌

Food and Chemical Toxicology 1992 May;30(5):417-25

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=1644383&form=6&db=m&Dopt=b

MacKenzie KM, Boysen BG, Field WE, Petsel SR, Chappel CI, Emerson JL, Stanley J

アメリカ・ヘーズルトン研究所

THIを投与されていないラットに比べて、THIを投与されたラット(雌雄両方とも)は食欲が減退し、飲食量が減少した。また、体重減少が確認された。

 

3)アレルギーと免疫に関する国際記録

International Archives of Allergy and Immunology 1993;102(1):101-6

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/Entrez/query?uid=8400881&form=6&db=m&Dopt=b

Reeve VE, Boehm-Wilcox C, Bosnic M, Rozinova E

シドニー大学、獣医病理学部

アンモニア・カラメル色素化合物であるTHIは、ラットやマウスにおいてリンパ球減少症や免疫機能低下を引き起こすことが示されてきた。本研究では、毛のないマウスにおいて、局部投与及び経口投与のどちらにおいても、THIによる免疫抑制によって、皮膚接触過敏反応が低下することを示している。THI投与したマウスの膵臓細胞を、未投与マウスに移植したとき、そのマウスで通常の皮膚接触過敏反応が見られなくなった。つまりTHI投与によって、接触による皮膚反応が鈍くなっていることを示している。


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