ベルギーダイオキシン汚染問題−ベルギー農業省の報告書(第1報)−


1999年6月10日

CSN #062

ベルギー産の鶏肉と鶏卵の一部がダイオキシンに汚染されていることが発表されて以来、関係諸国で大きな問題となっています。ベルギー産の家畜飼料にダイオキシンが混入した疑いがあるため、米国では6月3日にEU産の鶏肉、豚肉、全ての輸入販売を禁止し、6月4日に欧州委員会がこの飼料を使った疑いのある鶏肉、鶏卵、豚肉、牛肉、酪農製品のEU(欧州連合)内での販売を禁止しました。 

日本国内でも厚生省が、安全が確認されるまではベルギー産の鶏肉、鶏卵、豚肉、乳製品の輸入手続きを保留し、販売自粛するよう指導しています。 

この問題は、私が参加しているDioxin-Lメーリングリストでも活発に討論されており、様々な情報が飛び交っています。汚染の原因は、今年1月中旬に配合飼料に使う油脂の生産過程で機械油が混入したためと想定されており、ベルギーの油脂メーカーであるフェルケスト社(Verkest)が汚染源だと推定されています。しかし、まだ断定されたのではなく、さらに上流に汚染源があるという見方もあるようです。 

Dioxin-Lメーリングリストに参加しているベルギー市民の方によると、ベルギー政府が鶏肉、鶏卵、豚肉、牛肉の販売を禁止するだけでなく、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品まで販売禁止にしているが、ダイオキシン濃度に関する信頼できるデータが欠乏しているため、ベルギー内ではかなり混乱しているということです。また、汚染源はオランダの油脂供給メーカーであるという疑いもあるようです。ダイオキシンの分析には3週間以上かかるため、必要とされる全ての分析を行い結論を導き出すには、まだまだ時間が掛かると思われます。 

ベルギー政府のホームページでもこの問題が取り上げられており、最近、農業省から報告書が発表されましたので概要を紹介します。また、このサイトでは、ダイオキシン問題に関するFAQ(よくある質問)コーナーもあるのでご参考下さい。 

1999年6月10日

東 賢一 

1999年5月28日

ベルギー農業省報告書(第1報)

Report of the Minister of Agriculture

URL: http://belgium.fgov.be/pa/ena_frame.htm

<概要>

農業省に、ある家畜飼料メーカーの問題について連絡を受けたのは3月19日で、その時はダイオキシン問題であるとはわからなかった。ベルギーでダイオキシン分析を行うのに3ヶ月かかるため、分析はオランダの研究所に委託され、4月26日に問題がダイオキシン汚染であることを確認した。この家畜飼料メーカー( Verkest 社)が1月中旬から飼料として供給していた鶏肉会社を直ちに調査し、5月3日に10社の鶏肉会社の生産を中止した。また、Verkest社油脂を用いている他の家畜飼料メーカー8社も後に生産を中止した。 

1月中旬にVerkest社において、ある油脂が高濃度ダイオキシンを含む化学物質に汚染されていたことが発見された。この油脂は家畜飼料生産に一般的に用いられる原料で、その時に生産中止されている。この油脂汚染は鶏肉汚染を引き起こし、鶏卵汚染を引き起こした。 

5月26日(水曜日)に報告された分析結果では、鶏卵がダイオキシンにひどく汚染されていた。また汚染問題は、1つの家畜飼料メーカーに限定されたものではなかった。 

5月27日、全417の家畜飼料メーカーが潜在的に汚染飼料を供給していたと疑われた。該当製品(食肉、鶏卵)は、流通ルートをたどり回収された。5月28日、一時的な事前警戒として、ベルギー産の鶏卵や食肉を食べないように販売禁止を発令した。


「住まいの科学情報センター」のメインサイトへ