英国医師会が遺伝子組み替え作物栽培停止を呼びかけ


1999年5月22日

CSN #054

遺伝子組み替え(GM)作物に関する新しいニュースが発表されています。英国医師会(BMAThe British Medical Association)がGM作物栽培の無期限停止を呼びかけたものです。英国医学雑誌や英国Yahooで取り上げられています。

 

<情報源>

英国医学雑誌(British Medical Journal: BMJ BMJ 1999; 318:1371 ( 22 May )

URL: http://www.bmj.com/cgi/content/full/318/7195/1371/a

英国Yahoo Headlines Top Stories (Monday, May 17, 10:08 PM)

URL: http://www.yahoo.co.uk/headlines/19990517/news/926975300-3-1.html

英国Yahoo Headlines The Independent (Tuesday May 18, 1:40 PM)

URL: http://www.yahoo.co.uk/headlines/19990518/independent/1805901.html

英国Yahoo Headlines The Daily Record (Monday May 17, 1:00 PM)

URL: http://www.yahoo.co.uk/headlines/19990517/drecord/a1705907.html

 

以下に内容を概説しますのでご参考下さい。

英国医師会は、遺伝子組み替え作物の商業ベースでの栽培を無期限停止するよう呼びかけた。なぜなら、長期にわたる潜在的な環境影響に関する科学的コンセンサスがなされていないからである。医師会は遺伝子組み替え食品が食品のコスト低減、長期保存食品開発、栄養価値の改良などに有益であるとは認めている。しかし将来、健康や環境に影響があるとわかっても手遅れになるだけだ。英国医師会はこのような考えを持っている。 

確かに、PCB汚染、女性合成ホルモンDESシンドローム、農薬DDT汚染など、販売当時は安全と宣言されていたが、後になって人体に大きな影響を及ぼすことが判明し、製造販売を中止するという過去を産業界は繰り返してきている。遺伝子組み替え作物がこのような過去の過ちを繰り返してはならないのは言うまでもないことである。 

今回、英国医師会の科学教育委員会(The BMA's Board of Science and Education)は、下記の遺伝子組み替え作物に関する暫定措置声明を発表している。

「農作物試験及び他の試験の影響評価と厳密規制」

Strict regulation and assessment of crop trials and other tests

 

全16ページになるこの声明には19の勧告があります。勧告も含め紹介されている声明の内容を下記にまとめてみました。

 

英国医師会(BMA)の科学教育委員会ウィリアム・アッシャー会長が述べているコメントを下記にまとめてみました。

 

「フランケンシュタイン食品と呼ばれる遺伝子組み替え食品の健康と環境への影響をさらに調査する必要がある。

「遺伝子組み替え魔神はいったん瓶の外へ出ると、環境に与えた強い影響は元には戻らないだろう。そのことが、この問題においては予備的(事前警戒的)原理が特に重要な理由である。この問題は、薬物認可よりもさらに深刻な問題である。必要があれば、薬物認可は取り消すことができるのだ。

「そのため、BMAは、遺伝子組み替え作物のリスクと恩恵に関するさらなる科学的確信が得られるまで、遺伝子組み替え作物栽培の無制限停止を呼びかけている。」


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