新しいリユース連合


1999年5月29日

CSN #057

飲料容器のリターナブルはリユースの手法の1つで、使用済み容器を回収、洗浄、充填して何回も再利用する。また、最終的に使えなくなった容器は販売ルートを逆流して原料樹脂メーカーに送られる。ペットボトル、瓶などの飲料容器は欧州でリターナブル化が進んでおり、預り金制度(デポジット制度:購入時に一定のデポジット金額を上乗せして販売し、使用済み容器を返却するときに払い戻すシステム)を導入している。特にドイツでは、1986年に制定した廃棄物処理法を、1994年に循環型経済廃棄物法に改訂し、循環型経済社会を目指している。また、1991年に包装廃棄物政令が制定され、1993年1月からは事業者までその適用範囲が拡大された。 

この中で、包装廃棄物発生防止に最も貢献しているリターナブル飲料容器については、リターナブル容器の市場占有率が72%を達成しない場合、ワンウェイ容器(使い捨て)に対してもデポジットを課す制度が導入された。このようにドイツでは、包装廃棄物に関してかなり厳しい制度が導入されている。 

下記の記事では、リユースシステムを促進し、包装廃棄物削減を行うために、ヨーロッパレベルでのEU(欧州連合)包装廃棄物政令の改訂と、飲料容器へ包装税導入を要求する新しいリユース連合について概説している。またこのリユース連合は、生産者、労働組合、労働環境機構の3社で構成されている。以下にその概要を説明します。 

 

欧州環境局プレスリリース

1999年4月20日、ブリュッセル、ベルギー

http://www.eeb.org/press/new_coalition_for_reuse.htm

 

ブリュッセルで労働環境機構と生産者と労働組合の3者は、リユースシステムの保護と促進に関して密接な協力を行うことで合意した。彼らは「ヨーロッパリユース要綱」として、EU包装廃棄物政令(EU Packaging Directive)を共同で改訂したいと考えている。彼らの目的は、飲料容器1リッターあたり50ユーロ(約65円)といった、ヨーロッパレベルで統一した包装税を導入することである。またその場合、税金の徴収は飲料容器出荷段階に行われることになる。 

ヨーロッパリユース網領への参加者は下記の通り。

<フィンランド>

the Finnish refiller "A Pullo Ltd.",

<イタリア>

the Italian beverage dealers "organisation ITALGROB",

<ノルウェー>

the Norwegian trade union "Norsk Naerings",

<オーストリア>

the Austrian beverage wholesalers unions "Getrankeforumetr System",

<ドイツ>

the federal unions of the German beverage wholesalers,

the German federal union of middle size private breweries,

the German Sudglas eG,

the German organisation "Pro Mehrweg",

the German Foundation "Initiative Mehrweg",

the European environment federation "European Environmental Bureau" (EEB),

the "Bund fur Umwelt und Naturschutz Deutschland" (BUND - Friends of the Earth Germany),

the Dutch environment federation "Stichting Natuur en Milieu".

<アイルランド>

the Irish environment federation "Coastwatch Ireland" and the "Naturschutzbund Deutschland" (NABU - German Branch of Birdlife International),

 

共同宣言の中で彼らは、飲料容器システムを経済的及びエコロジー的に有益なリユースシステムへ移行するためには、ヨーロッパレベルでの包装税導入が経済への有効な刺激になるとみなしている。このシステムがすでに明確に機能している例として、フィンランド、ノルウェー、デンマークを挙げている。 

彼らは経済に刺激を与えるためには、現在ヨーロッパで氾濫しているワンウェイ包装の量を削減する必要があると述べている。リユースは、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、オーストリア、ポルトガル、ギリシャ、ドイツといった国々ではかなりのシェアーに達した。しかしそれらの国々でさえ、リユースシェアは市場でのワンウェイ包装によって部分的に脅かされた状態にある。前述のように、ドイツではリターナブル容器の市場占有率によって、ワンウェイ飲料容器にもデポジットを掛けている程である。 

また、雇用市場におけるリユースシステムの重要性を考慮する必要があるとしている。ワンウェイ包装の分野で1つの新しい仕事が生まれると、リユースの分野では9つの仕事がなくなるという。特にリオ・プロセスの枠組みにおいて将来展望を提供する持続可能な開発が、経済、エコロジー、ヨーロッパレベルでは無視できない社会面との間でバランスが取れている必要があると彼らは考えている。 

さらにリユース連合は、EU包装廃棄物政令で明確に定義されていない「予防」という用語を明確に定義するよう要求している。 

包装をどう考えていくかについて彼らは下記のように優先順位を付けている。

  1. 目的が明確な段階には「予防」を確立すること。(1)包装材料削減、(2)生産工程での危険物質使用削減
  2. 包装材料のリユース
  3. リサイクル(つまり材料の再利用)

(最後の選択肢)焼却処分

 

追加情報は下記に問い合わせできます。

・Dr. Christian Hey, EEB Policy Director, Tel: +32 - 2 - 289 10 90 

・Roland Demleitner, Manager of the German federal union of middle size private breweries, Tel: +49 - 64 31 - 5 20 48 

・Stein Stugu, Norwegian Food and Allied Workers Union, Tel: +47 - 22 06 93 63


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