いわゆるシックハウス症候群


近年、シックハウス症候群という言葉が聞かれます。シックハウス症候群の言葉の定義ですが、おおやけに定義されておりません。ですからきっと、よくわからないまま、様々な捉え方をされているのだと思います。おおやけに定義されたものとしては、シックビルディング症候群(SBS)またはビル関連病(BRI)があります。  

欧米では1940年代ごろからシックビルディング症候群が発生しはじめ、1980年代に大きな問題に発展しました。日本ではビル管理法などのため、ビルではあまり大きな問題とならず、シックビルディング症候群という言葉が定着しませんでした。しかし近年一般住宅で大きな問題となり、いわゆるシックハウス症候群と呼ばれています。WHO(世界保健機関)によるシックビルディング症候群の定義は、次のようになります

  1. 目、特に眼球結膜、鼻粘膜、および、のどの粘膜への刺激。
  1. 唇などの粘膜が乾燥する。
  1. 皮膚の紅斑、じんま疹、湿疹がでる。
  1. 疲労を感じやすい。
  1. 頭痛、気道の病気に感染しやすい。
  1. 息が詰まる感じや気道がぜいぜい音を出す。
  1. 非特異的な過敏症になる。
  1. めまい、吐き気、嘔吐を繰り返す。 これらの症状が単独、あるいは複合して示す病気を示す。

  

このような症状が発生する要因として、欧米などでは空気の質を問題としています。日本ではあまり馴染みがないですが、IAQ (Indoor Air Quality:室内空気質)という言葉が使われます。

国連の専門家委員会は、1996年に「建材と健康」を作成し、室内空気質(Indoor Air Quality: IAQ)に影響し、健康に影響を及ぼす可能性のある因子として、次の汚染源を挙げています。 

環境因子 汚染源
化学的因子 二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物、二硫化硫黄、オゾン、塩素、鉱物繊維、鉛粉塵、粒子状物質(ばい煙、たばこの煙)揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、有機溶剤、殺虫剤など)
生物的因子 細菌(カビ、ウィルス、菌類、バクテリア)、原生動物(寄生虫)植物花粉、ダニ、虫、ラットやマウス、ペット(皮膚片、毛)
物理的因子 高熱、ストレス、湿度(粘膜乾燥)、光、音(騒音)、電磁波電離放射線(ラドン)

 

日本の厚生省は、シックハウス/シックハウス症候群/シックビルディング症候群について、2000年6月29日の「室内空気汚染問題に関する検討会の中間報告書(第1回−第3回)で、次のように暫定的な理解を求めています。

○ シックハウス/シックハウス症候群/シックビルディング症候群

 住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築・改築後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれる。


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