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『残 像:MF文庫版』 H12.5.2発売!

『残 像:文庫版』メディアファクトリーより 発売中!書店へGO!!

地球を周る月。地球を見続けてきた月が垣間見せた、男と女の愛の残像。
〜表代作ほか、太古から、現代・未来宇宙までを描く珠玉の短編集〜


☆★☆★  『 初出情報 』  ☆★☆★

 
 ・ 「美神曲」APHRODITE INFERNO 前編
               (カラー1P)26P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.7
 ・ 「美神曲」APHRODITE INFERNO 後編
               (カラー1P)25P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.10
 ・ 「残 像」AN AFTER IMAGE
             (2色カラー4P)25P「ヤングジャンプ」集英社 '80 No.17
 ・ 「世界樹」第1話 火星の北極冠の謎
             (2色カラー4P)23P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.41
 ・ 「世界樹」第2話 北極冠の凍れる世界樹
                     21P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.42
 ・ 「世界樹」第3話 オリンポス火山・謎の閃光
                     21P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.43
 ・ 「世界樹」第4話 ヴァイキング基地SOS!
                     22P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.44
 ・ 「世界樹」最終話 ナツコの世界樹
                     21P「ヤングジャンプ」集英社 '81/No.45
 ・ 「遠い呼び声」
                    31P「少年ジャンプ」集英社 '78/9/15増刊
 ・ 「海の牙」
                    62P「少年ジャンプ」集英社 '79/1/25増刊
 ・ 「暁の狩人」
             (カラー1P)46P「週刊少年ジャンプ」集英社 '76/No.28
  

※ 上記青文字で記したものは新書版「残 像」より。その他は新書版「海の牙」よりのカップリング再録版です。 特に「残 像」は新書版の絶版から実に12年振りの再発となります。
また、「美神曲」は単行本化に際し加筆改稿が施されています。


○『 残 像:文庫版 』 ○ \590(税別)メディアファクトリー ISBN4-8401-0074-8
残 像:文庫

作品紹介
  • 資源採掘コンピューターは恋人を求めていた!金星を舞台に星野氏がダンテの「神曲」に挑む!「美神曲」
  • 21世紀、月で太古の地球写真が発見された。調査の為、月へと向かう惑星カメラマンの日下が見たものは・・・。「残 像」
  • ナツコは火星の氷河に眠る太古の木の存在を知る。だが火山活動の影響で今その"世界樹"が開花する!「世界樹」
  • 事故により過去にしか存在できなくなったテストパイロットのレイは、それでも恋人のジョディを暖かく見守って行く。「遠い呼び声」
  • イエルマーク艦長は沈没した潜水艦アクエリアス号の救助に向かう。その時現れた巨大生物の正体は!?「海の牙」
  • 有史以前、地球上には原人を越えた先行原生人が居た。彼らは暖かな希望の土地を目指し旅立って行く。「暁の狩人」

加筆改稿

「美神曲」は、単行本収録時に加筆改稿されており、人物設定などに変更が見受けられます。
大きな違いは、
  • 初出時、司令官は男の司令官だった事。
  • 単行本の女司令官は、初出時は元々その男の司令官の現在進行形の単なる愛人として描かれていた事。
  • 女司令官とタキとは、単行本とは違い初出時には過去に愛人関係にあった事。
  • タキの右目損傷の説明が、初出時にはなされていた事など。
そしてその女性が、初出時にはまるで娼婦のようなひとくせ有る過去の愛人としてのものが、 単行本ではタキの現愛人と司令官の立場としてラストのベアトリーチェのイメージモデルとなる事。 改稿の大きなポイントはここにありそうだ。
なぜ改稿されたのか、いつか星野氏にお訊きしたい所ですが、先生たぶん「もう忘れました」とか言われるんだろうなァ。^^

ま、それにしても、相棒のコーベットがタキに訊ねるシーンで言った「あの女とおまえはいったい、ありゃあ今はハゲのコレだぜ」と小指を立てるシーンが俗っぽくて好きだったんだけど、 改稿によりカットされてしまったのは残念でならない。(笑)
余談ながら、この'80〜'81にかけて発表された作品には加筆改稿が多く、星野先生の作家活動の中での特徴の一つといえるでしょう。 ディープなコレクターなら、これらの初出誌はぜひとも手に入れたいところ。


珠玉の短編

「残像」を読んだ時「ハッ」とした感覚を覚えている。
ごく希に有る体験だが、それは現実に引き戻される時に体感するものなのかもしれない。

当時、「砂漠の女王」からこちら、少しエアポケットに入ったような時期を過ごしていた。就職で何かと気ぜわしかったせいもあるだろう、 星野漫画の存在を忘れていたのかもしれない。ようやく仕事にも慣れ余裕が出来てきた八月に職場で偶然「残像」を読んだ。 何と言えばいいのだろうこれは。しばらくの間次の漫画に移れず、この世界に浸りたくってもう一度読み返した覚えがある。 この感覚。そうだ、昔に読んだウェルズやハインラインと同列のSFマインド溢れる情景と人間ドラマだ。 しかも星野氏の手により、女性の弱さ・強さ、人生の儚さ・切なさが見事なまでに描かれ、鏡子への感情移入がごく自然と行われてしまうのだ。 私の場合、それは今までの星野作品全体をも包み込んでしまった。 「やっぱり星野作品が好きなんだ」。 この認識を再確認させられてしまった。自分自身の第二次星野ブームの到来だ。 これを機に星野作品の初出誌を全て手元に残しておくようになった事からも、そう言っていいだろう。

今ここにこうして再発された『残像』を手にした時、昨年、皆で星野先生に再発を懇願した事や、 個人的な想いだが新作表紙の事など、色んな想いが次々と交錯して浮かんでくる。 そして、何よりも一つの「星」をずっと追い続けてきた自分がここにいる事を改めて思い起こし、 とても感慨深いものがあります。奇しくも作中で日下が言った「なにしろ20年が過ぎ去ったのだ」の言葉と同じく、 作品発表より20年にあたるこの年に再発された事は偶然なのだろうか。 ともあれファンとして何よりも嬉しくSF界にとってもこれは福音となろう。願わくば今までの絶版状態を文字通り揶揄された"残像"ではなく、 "実像"としていつまでもSF界で輝いていて欲しい。

思えば私自身のターニングポイントな作品だった「残像」。
20年前に職場の同僚から譲り受けたそのヤンジャンは、今も大切に私の本棚に立ててある。
これからもずっと、永遠に。



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