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被爆者援護法判決に見る、裁判所の脱線、暴走 −韓国人の“タカリ行為”を許すな−


 10月25日の読売新聞は、「在外被爆者の医療費を認定 初の判断…大阪地裁」という見出しで、次のように報じていました。
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在外被爆者の医療費を認定 初の判断…大阪地裁

 海外に住んでいることを理由に被爆者援護法に基づく医療費を支給しないのは違法として、韓国在住の在外被爆者ら3人が大阪府と国を相手に支給申請の却下処分取り消しなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は24日、府の処分を取り消した。田中健治裁判長は「援護法は在外被爆者を支給対象から
除外していない」と述べた。在外被爆者に対し、援護法に基づく医療費支給を認めた司法判断は初めて。同様の訴訟は長崎、広島両地裁でも係争中。

 原告は、広島市で胎内被爆した韓国在住の李洪鉉イホンヒョンさん(67)と、同市で被爆した後に帰国した韓国籍の男性2人の遺族。

 判決によると、李さんらは2006〜10年に韓国の病院で心不全や肝がんなどの治療を受け、計約120万円(1人約20万〜約70万円)の医療費を負担。11年1月、被爆者健康手帳を交付した大阪府に支給を申請したが、府は「援護法に在外被爆者への支給を認める
規定がない」と却下した。

 海外在住の被爆者は4000人以上おり、国は援護法とは別に04年度から居住国での医療費を年十数万円の範囲で助成。原告らは、これらでは足りない自己負担分の支給を求めた。

 田中裁判長は判決で、援護法は社会保障と国家補償の性格を併せ持ち、医療費などの援護の規定は在外被爆者にも適用されると指摘。居住国での受診は、同法が支給対象とする「緊急時などにやむを得ず指定医療機関以外で医療を受けた場合」にあたると判断した。

 国と府は「海外で受けた医療の費用が適正かどうか確認できない」と反論したが、田中裁判長は、現在でも国内の被爆者が海外旅行などで一時出国した際の医療費支給を認めていることから、「在外被爆者にも自己負担分を限度に支給することは可能」とした。原告による計330万円の国家賠償請求は棄却した。

 大阪府健康医療部の話「内容を精査して厚生労働省など関係機関と協議し、控訴の是非を検討する」

被爆者援護法 被爆者健康手帳の交付のほか、医療費や医療特別手当、健康管理手当などの支給を定める。医療費では、放射線に起因すると認められたがんなどの原爆症は国が全額負担。一般的な病気やけがは健康保険などを差し引いた個人負担分を国が支払う。医療特別手当や健康管理手当は在外被爆者にも支給される。

(2013年10月25日 読売新聞)
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 今回のケースは、裁判所が日頃、脱線・暴走を正当化する切り札として使っている、得意の“憲法違反”の問題ではありません。国を相手取っての損害賠償(国賠請求は棄却されました)でもありません。純粋に行政の問題です。外国に住む外国人が日本国に対して請求する根拠は何か、彼等に日本国政府に対する行政訴訟が可能か、そういう観点で判断する必要があります。

 まず言えることは日本国の法令は韓国には及ばないと言うことです。自明のことです。日本の国内法の対象者が韓国に居住する韓国人に及ばないのは当たり前のことなので法律に書いてないだけのことで、被爆者援護法とて例外ではありません。それを逆手にとって「法律が除外していないから対象になる」という
屁理屈で、韓国人の請求を認めるのであれば、今後、法律に“韓国人は除外する”書いていない限り、すべて韓国人にも「権利(義務も?)」が生じることになりかねません。

 次に言えることは、日本国の行政権も韓国には及びません。従って
韓国に居住する韓国人が日本政府を相手取って行政訴訟を起こすことはできないはずです。もし、それを認めるなら日本国の行政権が韓国に及んでいることになります。韓国人、韓国政府はそれを認めるのでしょうか。

 韓国人が権利を主張するなら、当然義務がある事も認めなければなりません。日本の法律が被爆者援護に関して国民に何らかの負担(支払い義務)を課したときに、韓国人は支払い義務を認めるのでしょうか。決して認めることはないでしょう。そういうときには、韓国人は「日本国の法令は韓国には及ばない」と言うでしょう。(もし、韓国人が権利も義務も認めるのであれば、韓国はもはや独立国家とは言えません)

 被爆者援護の費用は税金によってまかなわれています。なぜ
日本国民の血税を使って、韓国に住む韓国人の治療費を負担しなければならないのでしょうか。税金を負担していない韓国人が給付の対象でないことは明白なことです。

 
被爆者援護の給付は行政上の給付で有り、損害賠償ではないのです。裁判所は「援護法は社会保障と国家補償の性格を併せ持ち」などと、曖昧な認定をしていますが、社会保障(行政上の給付)であれば外国に住む外国人が対象外である事は明白です。

 
一方、もし損害賠償あるいは国家補償(曖昧な言葉ですが)であるとすれば、日韓請求権協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)」によって、すべて解決済みである事は言うまでもありません。

 裁判所は
“社会保障と国家補償の性格を併せ持ち”と言っていますが、上記のように社会保障、国家補償(国家賠償)のいずれであっても韓国人には請求権はないのですから、被爆者援護法が両者の性格を併せ持つのであれば、どう考えても韓国人には請求権はないと結論づける以外にありません。いい加減な屁理屈で韓国人の“タカリ行為”を正当化してはいけません。
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日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)(抜粋)

第二条

1 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。

3 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
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平成25年10月25日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ