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子供の権利条約

 1月29日の朝日新聞は、「『日の丸強制卒業式』は人権侵害 所沢高校問題で日弁連」という見出しで、 次のように報じていました。

 埼玉県立所沢高校で生徒と校長が式のあり方をめぐって対立し、卒業・入学行事が2つに分裂した問題で、日本弁護士連合会は29日までに、校長(当時)と県教育委員会が生徒の人権(意見表明権・参加権)を侵害したと認めた。・・・
  要望書などによると、同校では1998年と99年、校長が、生徒と教職員の話し合いを無視して「日の丸・君が代」を式に導入。反発した生徒の大半が欠席する事態になった。さらに校長と県教委は「入学式に出ないと入学を認めない」とも受け取れる文書を新入生に送り、混乱を広げていた。これに対し、生徒・卒業生計188人が「生徒の意見が反映されず、子どもの権利条約に違反している」などとして98年10月、日弁連に人権救済を申し立てていた。


 本来、子供にもその年齢を問わず、大人と同じ権利があると思います。わが国の憲法でも基本的人権に年齢制限はありません。しかし、子供にはその権利を適切に行使する能力がありません。従って子供の権利は誰かが代わって行使する必要があります。代わって行使する人は、通常、親権者つまり両親です。学校の教師や弁護士ではありません。

 子供の権利条約は、権利を行使する能力を欠く者(子供)の権利を謳うものですが、本人に代わって権利を行使する者に関して何の言及もしていません。条約の第5条で、「保護者の指導の尊重」という条項がありますが、親の指導はあくまで「尊重」であって、子供の権利を代わって行使する者という位置づけではありません。

 それでは一体誰が子供の権利を行使するのでしょうか。権利を行使する能力を欠く者に権利の行使をさせることは、本人の利益を損なうおそれがあります。放置しておけば子供の身辺にいる教師や弁護士らのなすがままになりかねません。この条約は結果として親から親としての権利を奪い、子供から親の保護を奪うことになると思います。


平成13年2月6日   ご意見・ご感想は    メールはこちらへ    トップへ戻る      目次へ