B18
裁判官を任命する権利
 

 7月8日の読売新聞は、「裁判官への弁護士任官 協議会方式で初の推薦」、「市民交え選考」という見出しで、次のように報じていました。

 「近畿弁護士会連合会(近弁連)は7日までに、市民を交えた新しい協議会方式で選んだ大阪弁護十会所属の弁護土(34)を最高裁に推薦することを決めた。・・・推薦を最高裁が拒否した場合、理由の開示や撒回を求めていく」
 「・・・選考したのは、弁護士16人と大学教員、消費者団体代表など市民代表8人の計24人で構成する『下級裁判所裁判官候補者調査評価に関する協議会』」
 「中本和洋・近弁連常務理事(大阪弁護士会)は『司法改革推進のためにも、最高裁だけの基準ではなく、市民の厳しいチェックを経た弁誕士を継続的に裁判官にするシステムをこの協議で作り上げたい』と話している」


 「最高裁が拒否した場合、理由の開示や撤回を求めていく」、とありますから、近弁連は単なる推薦ではなく、実質的な任命権獲得を意図していると考えられますが、このようなことは許されるのでしょうか。

 記事のなかに「市民代表」とありますが、この「市民代表」とは一体どのような手続きで選任されたのでしょうか。全市民(全国民)で選挙をしたのでしょうか。そう言う話は聞きませんし、記事にも書いていないので、多分、近弁連が「市民代表」を指名したものと考えられます。

 近弁連に所属する16人の弁護士と近弁連の指名した8人の「市民代表」が裁判官を指名推薦するというのは、実質的に弁護士業界が裁判官を任命すると言うに等しく、どう考えても民主主義国家にふさわしくない制度だと思います。裁判官は言うまでもなく公務員です。公務員を任免するのは憲法にも謳われている国民の権利です。弁護士業界が裁判官の任命権を掌握するなどと言うことはあってはならないことです。司法の改革とは何の関係もありません。こういう厚かましいことを臆面もなく発表する近弁連、弁護士業界は、民主政治に相反する存在だと思います。

平成13年8月10日   ご意見・ご感想は  メールはこちらへ     トップへ戻る      目次へ