B21
弁護士業界に、私立大学を「ぼったくり」と批判する資格があるのか

 4月6日の産経新聞は「『ぼったくり入学金』110番」、「大阪弁護士会開設」と題して、次のように報じていました。

 入学しない私立大学に納めた入学金や授業料が返還されないのは違法と、大阪弁護士会が結成した『ぼったくり入学金・授業料返還弁護団』が、6日『入学金・授業料110番』実施、受験生の親などからの相談に応じた」
 「・・・昨年4月施行の消費者契約法9条1では『消費者契約の解除に伴う損害賠償の予定または違約金を定める条項中、事業者側に生ずべき平均的な損害額を超えるものは、その超える部分につき無効』とされた」


 私立学校が入学を辞退した学生に、入学金や授業料を一切返還しないと言うのは、悪しき慣行だと思いますが、学生と大学の関係が、消費者契約法に言うような「消費者」と「事業者」の関係に当てはまるというのは、従来の常識ではなかったと思います。
 今後は、両者の関係は「消費者」と「事業者」の関係になるのだというのなら、学校以外の、患者と医師の関係や、依頼人と弁護士の関係なども「消費者」と「事業者」の関係であると明確に認識すべきであると思います。

 そもそも、弁護士に依頼(発注)するに際して、その契約内容は明確になっているのでしょうか。弁護士は受任するに際して、事業者として重要事項を消費者である依頼者に説明しているでしょうか。料金(着手金・報酬)について、明確な説明をしているのでしょうか。弁護士会が報酬の基準を作るカルテル行為は、消費者に不利益を押し付けていないでしょうか。弁護士が一方的に「辞任」したときは着手金は返してくれるのでしょうか。

 弁護士に依頼するときは、消費者である依頼者が、一方的に白紙委任状に近い委任状を書くだけで、受任する弁護士の義務はどこにも明記されていません。消費者にとっては非常に不利な一方的な契約関係になっています。

 弁護士業界が、私立大学が入学辞退者の入学金や授業料を返さないことを、「ぼったくり」と批判するのなら、弁護士業界自身の消費者軽視も改めるべきであると思います。

平成14年4月7日   ご意見・ご感想は   メールはこちらへ     トップへ戻る      目次へ