B24
弁護士法と職業選択の自由

 2月11日の産経新聞は、評判の『示談屋』逮捕 元プロボクサー、弁護士資格なく報酬」という見出しで、次のように伝えていました。

 
「弁護士資格がないのに示談交渉で報酬を受け取ったとして、警視庁少年事件課は十日、弁護士法違反の疑いで、東京都杉並区高円寺南、自称探偵業、三沢淳一容疑者(四〇)を逮捕した。・・・口コミで客を集め、三年間で約一億円の報酬を得ており、『金にきれいな示談屋』と人気があったという」

 職業選択の自由は国民の基本的権利であり、最大の尊重を要するとされています。依頼人(消費者)に人気があり、金にきれいな「示談屋」がなぜ逮捕されなければならないのでしょうか。交渉相手に対して詐欺や恐喝に類する行為があったとすればそれは論外ですが、新聞記事を見る限りそのようなことはなかったようです。

 弁護士法を厳格に解釈すれば、人の代理となって報酬を得る職業はすべて弁護士法違反になりかねません。あらゆる交渉ごとのすべてに弁護士法の網をかけ、弁護士業界の独占を保護することは、職業選択の自由に反し、サービス業の発展を阻害し消費者の利益を損なうものであると思います。

 世間で示談屋やそれに類する者の活動が後を絶たないのは、現在の弁護士業界のサービス・価格が消費者の要求に応えておらず、示談屋に対する一定の需要があるからに他なりません。
 すべての交渉に「弁護士資格」が不可欠であるとは限りません。法の目的は業界・業者の保護ではなく、消費者の保護であることを忘れてはなりません。

平成16年2月11日   ご意見・ご感想は   メールはこちらへ     トップへ戻る   目次へ