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防衛論議に見る韓国の身勝手

 9月13日産経新聞の「斜断機」で「北朝鮮ミサイルと韓国の反応」と題して、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したことについて韓国民が他人事のように見ていることが指摘されていました。そして、そのような態度をとる一方で、日本に対して経済援助や天皇陛下の韓国訪問を招請する韓国を身勝手と批判しています。

 韓国の身勝手は今に始まったことではありません。私はこれを読んで二つのことを思い出しました。一つは韓国の全斗換大統領の時代の「安保経協」の問題です。当時、韓国は経済的に苦境に陥り、行き詰まったため日本に経済援助を求めてきたのですが、その時、韓国は「韓国は北と対峙して国防に多大な負担がかかっている。日本の平和安全が保たれているのは第一線で共産勢力を防いでいる韓国のお陰である。従って韓国に対して、経済支援をするのは当然である。要求額の100億ドルは絶対に譲れない」と言って結局90億ドルの援助をせしめていきました。韓国がこのような主張をするのなら、我々もまた主張すべきことは主張しなければならないと、その当時思いました。

 日本が日米安保条約により米軍の駐留を認め、在日米軍が、日本の安全保障の為だけでなく「極東の安全を維持するため」に存在することによって韓国の安全保障は維持されているのです。在日米軍の存在なしに在韓米軍は展開し得ません。在日米軍が存在し、日本の官民が物資の供給、サービスの提供をしなければ米軍の韓国防衛は非常に困難なものになることは明白です。在韓米軍は引き上げを検討するかもしれませんし、それを思いとどまらせるためには韓国民は重い経済的負担を迫られることになるかもしれません。在日米軍のために日本国民は広大な基地の提供をはじめ直接的な費用の負担を含め、多大な負担をしています。韓国が日本の安全保障に寄与していてその対価が100億ドルの経済援助なら、日本が韓国の安全保障に寄与している対価はその何倍にもなると思います。

 韓国軍の中には北朝鮮の潜水艦侵入よって対潜能力の不備が露呈するや、日本の海上自衛隊に協力(援助)を求める動きがありました。自分が困ったときはすぐ助けを求めるくせに、日本が困ったときは傍観(と言うよりも非協力、場合によっては足を引っ張る)と言うのが韓国の今までの行動パターンです。彼らの言う「日韓友好」とか「日韓協力」というのは所詮何かを日本からもらうときか、韓国が得するときだけのもので、それ以外の時は手のひらを返したように「日本と韓国は対等」、「韓国は日本に追従せず自主外交」が全面に出てくるのです。韓国政府は日本の外交が韓国の国益を尊重し、韓国外交と同一歩調をとることをいつも求めていますが、反対に韓国の外交が日本外交に対して協力的であったことはほとんどありません(国連の場などで足を引っ張ることはしばしばあります)。たまに日本が協力を要請すると非常に恩着せがましい態度です。これ以上身勝手な国、国民はありません。

 もう一つは今から6年前の平成4年の天皇陛下の訪中です。私の手元には平成4年7月17日の産経新聞の全面意見広告「日本政府が今秋実現しようとしている天皇陛下御訪中に反対します」の切り抜きがあります。今ではそんな議論があったことすら忘れ去られようとしていますが、多くの心ある人たちの反対を押し切って天皇陛下の訪中が強行されました。振り返って考えるとやはり天皇陛下の訪中はすべきでなかったと強く思います。今年6月のアメリカのクリントン大統領の訪中に当たって、中国がクリントン大統領が帰途日本に立ち寄ることを妨害したことは広く知られています。また、中国は9月に予定されていた江沢民主席の日本訪問を直前になって水害対策を理由にキャンセルしました。一方的に通告するきわめて失礼な態度です。中国の言う「日中友好」などは所詮必要なときに日本を利用するというにすぎないことがよく分かります。天皇陛下の訪中は中国に利用されただけだと思います。過ちを繰り返してはいけません。韓国が「反日」を改めない限り「天皇訪韓」など絶対してはならないと思います。

平成10年9月13日      ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      D目次へ