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初めから結論ありきの、韓国世論調査


 5月8日の読売新聞は、「韓国『日本に悪印象』76% 共同世論調査」と言う見出しで、次のように報じていました。
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 日本の「言論NPO」と韓国の調査研究機関「東アジア研究院」は7日、3〜4月に行った「第1回日韓共同世論調査」の結果を発表した。韓国人の日本に対する印象は「良くない」が76・6%に上り、「良い」は12・2%にとどまった。日本人の韓国への印象も「良くない」が37・3%で、「良い」の31・1%を上回った。
 印象が良くない理由について、島根県・竹島の領有権問題を挙げたのが日本側で50・1%、韓国側は84・5%だった。言論NPOの工藤泰志代表は「互いに感情的になっている。交流不足が表れた結果だ」と指摘した。
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 韓国人が反日であると言うことは遙か以前より、日本国民が周知のことで、耳新しいことではありません。反日の割合が100%を超えたと言うことでもない限り、報道に値することではありません。
 それにこの種の韓国相手の日本の世論調査は、質問が「親しみを感じるか」とか、今回の「印象が良いか」とか、婉曲・曖昧な質問が常で、日本人が否定的な回答をしにくいような細工がされています。

 日本側の回答が、「良い」と「良くない」あわせて68.4%にとどまり、韓国側の88.8%を大きく下回ったのは、日本人にとって関心が低いかあるいは答えにくい設問であったと考えられます。

 言論NPOの工藤泰志代表は「互いに感情的になっている。交流不足が表れた結果だ」と結論づけていますが、その理由がはっきりしません。調査の詳細は下記の通りですが、よく見ると、調査者の分析や解説のコメントばかりで、肝心の
質問内容が公表されていません。日本側、韓国側それぞれ別の団体が、調査対象者に対してどのように質問をしたのかが明らかではありません。
 「互いに感情的になっている。交流不足が表れた結果だ」というのは調査結果から得られた結論のようには見えません。
最初から結論ありきの世論調査ではないのでしょうか。

 また、「互いに感情的になっている」と結論づけている点について、
「互いに」というのは日韓の間で何か問題が起きたときに韓国人が日本人に対してよく使う表現ですが、常に感情を爆発させて問題を起こしているのは韓国人の方であって、日本の対韓感情はそれに対する反射的な悪感情です。原因と結果、前後関係があるものを、単に「お互いに」と同列に論じるのは誤解を招く間違った表現です。

第1回日韓共同世論調査 日韓世論比較分析結果

http://www.genron-npo.net/world/genre/cat212/post-229.html#2
〈調査内容の項目〉
国民間の直接交流の経験、情報源・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
    日韓両国民の直接交流の度合い
    相手国の情報への関心度や情報源
相手国に対する印象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
    日韓両国民の相手国に対する印象
    この一年間の相手国に対する印象の変化
    相手国に対する印象の理由
相手国に対する基礎的理解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
    基礎理解の現状
    相手国の「社会・政治体制」の認識
    相手国の国民性をどう見ているか
日韓関係の現在と将来に対する認識・・・・・・・・・・・・・・・・・4
    現在と今後の日韓関係をどう見ているか
    日韓関係の発展を妨げるものとは
    日韓関係の重要性をどう見ているか
    中国と比較した場合の日韓関係の「重要性」と「親近感」
首脳会談と民間交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
    日韓首脳会談の評価と議論テーマについて
    相手国への訪問についての認識
    民間交流に関する日韓の世論の意識
日韓両国の歴史に関する意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
    歴史問題に関する日韓両国民の認識は
    首相の靖国神社参拝問題
世界・アジアや日韓両国の将来に関する両国民の意識・・・・・・・・・7
    世界をリードする国・地域
    2030年の相手国の影響力について
    日韓の経済関係
    アジアは1つの経済圏となるか
    10年後の朝鮮半島について
領土紛争と東アジアの軍事・安全保障について・・・・・・・・・・・・8
    日韓間の領土紛争について  軍事的脅威と東アジアでの軍事紛争に関する認識
メディア報道・インターネット世論に関する意識・・・・・・・・9
    日韓に報道や言論の自由は保障されているのか
    自国のメディア報道は客観的で公平か
    インターネット上の世論は日本、韓国の適切な民意なのか

平成25年5月9日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ