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「特殊」で「複雑」な韓国人の対日感情

 朝日新聞で9月9日から9月15日にかけて5回にわたり、韓国の日本文化解禁が近いことを報じる「日本が来る! 韓国文化事情」という連載記事がありました。

日本のアニメを改竄
 日本のアニメが韓国の子どもたちの間で大人気だそうですが、独特の検閲制度により、日本のアニメが改竄されている様子が報じられています。たとえば、「食事の時に茶碗を持ち上げる行為はカットの対象になる。韓国の作法では食卓においたまま食べるからだ。畳や下駄など日本式の生活を連想させるものもだめ。日の丸は万国旗の一つならいいが、アップはダメ。日本企業の『HONDA』の字体も変形させる。人名や地名は韓国式に直し、看板もハングルに換える」などが実際に行われているそうです。

 この検閲の目的はいったい何なのでしょう。日本の食事作法が韓国と異なることを知らせては何か都合が悪いことがあるのでしょうか。(インドのアニメ映画に手づかみで食事をする場面があったら、カットするのでしょうか)それともそのアニメが日本製であることを隠そうとしているのでしょうか。きわめて陰湿でクレージーな著作権侵害行為だと思います。韓国では検閲を禁止するとか、外国人の著作権を保護するという法律はないのでしょうか。もし、日本が韓国アニメの輸入に際して「キムチが出てくる場面は気分が悪くなるからカットする」とか、「チマ、チョゴリは下品だから洋服に直す」としたら、韓国人は何というのでしょうか。韓国人が日本に対して、こういうことをして平気なのは、結局韓国と日本が対等だとは思っていないからだと思います。大人と子どものような関係で自分達の行為はいつも大目に見てもらえるという甘えが根底に感じられます。

韓国人の決まり文句
 韓国人は日本人がこれらの点を追及すると必ず「日韓の特殊な歴史」、「韓国人の複雑な対日感情」という答えが返ってきます。これは大変便利な言葉です。この一言で韓国人はすべてが片づいてしまいます。そして、たいていの日本人はそこで追及をうち切ってしまいます。韓国人の思考もそこで止まってしまいます。

 日韓の歴史とはどの辺を指していっているのか定かではありませんが、日韓併合を指しているのでしょうか。日韓併合の歴史は世界史的に見て、そんなに特殊なものなのではありません。隣国を征服したり、併合したり、同化を強要したりと言うことは歴史上決して珍しくも、特殊でもないと思います。それではそのような歴史を持つ隣国同士は、互いに文化交流を禁止しあっているのでしょうか。隣の国の映画を上映は禁止し、アニメを公開するに当たってはその国のものであることが分からないように改竄したりするものなのでしょうか。

 台湾や中国も日本との関係はかつて植民地であったり、戦争相手であったりと決して単純ではありませんが、現在では日本の映画、アニメ、音楽をテレビで放映するに当たり改竄したり、日本の作品であることを隠そうとしていると言う話しは聞いたことがありません。
 もし、本当に隣国を嫌悪しているのであれば、その国の映画、アニメなど誰も見ないと思います。従って、国家が禁止したり、その国のものであることが分からないように改竄したりする必要はないのだと思います。そして、嫌悪していない国では当然規制したりする必要はないのです。結局どちらの場合でも国家が隣国の文化を規制したりする必要はないのです。それが世界の常識だと思います。韓国が他の国のケースと違うのは、嫌悪していない国なのに規制をしようとしていることです。そこが何とも異常なところなのです。

 韓国人はこれを「複雑な国民感情」と言っているのです。国民感情といっても決して一つに決まったものではないと思います。見たいというのも国民感情の一つのはずです。しかし、韓国人が「国民感情」と言うときは、そういう人は国民のうちには数えられていないようです。文化を「高級文化」と「大衆文化」に分けて高級文化は既に解禁し、大衆文化を目の敵にするという点にも異常さが感じられます。
 日韓併合の歴史だけで韓国の行動を説明するのは不十分です。私は日韓併合の歴史がなくても韓国人が日本文化の大流行を阻止しようとする可能性はあると思います。韓国の日本文化の禁止をもたらしたものは「日韓の歴史の特殊性」ではなくて「韓国の特殊性」と考えるべきだと思います。

 「結果的に日本の文化を規制したために韓国の作家が安易に陥って韓国の独創性が育たなかった」という主張は「日韓併合がなければ韓国はもっと進んだ国になっていたはずだ」という主張と相通じるものがあります。確かに韓国の独創性が育った可能性が全くなかったとは言いませんが、規制をしなければ日本文化の大流行で、日本の書籍やレコードが新発売と同時に韓国でも発売され日本の流行がそのまま韓国の流行になるという可能性の方がずっと大きいと思います。
 ただ、違うのは規制がなければ日本の作家や、作曲家の懐にはいるはずだったお金が、規制のために入らず、そのかわりに韓国人の盗作家の懐に入ってしまったという違いがあるだけです。

日本文化を禁止する理由
 朝日新聞の記者の質問(追及)に対して、アニメに対する検閲の基準は「国民感情」の他に明文化した基準はなく「恣意的でないとは言い切れない」と検閲担当の局長が言い、なぜ日本色を警戒するのかと言う問いに対しては「『・・・子どもが日本文化に取り込まれないように』としか語らなかった」とあるのを見ると、韓国側が答えに窮している様子がうかがえます。
 この検閲は単に日本が嫌いだと言う意志表示をしているに過ぎないと思います。韓国人は絶えず「日本は嫌いだ!」と言っていないと不安なのです。日本が好きになってしまいそうで不安でたまらないのです。そこで日本は嫌いだと自分に言い聞かせているのです。日本文化の禁止はそれを象徴する確認の作業なのです。

 韓国人は日本の大衆文化を解禁することを金大中大統領の訪日の際の手みやげと考えているようですが、この感覚は理解できません。一国の文化の禁止はそれ自体が非友好的で異常なことですが、韓国の場合はそれに加えて海賊版や盗作の横行という窃盗行為が現実に行われているわけです。これをようやく中止することを手土産というのは、盗んだものを返すのを手土産というようなものです。あきれてものが言えません。

平成10年9月11日      ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      D目次へ