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韓国人・朝鮮人への罵声は“差別”でも“ヘイトスピーチ”でもない正当な抗議行動である。−許されない“人種差別”の拡大解釈−

 10月8日の読売新聞と朝日新聞は、それぞれ「ヘイトスピーチ差し止め訴訟 京都地裁判決『人種差別に該当』」、「ヘイトスピーチ指弾 差別と認定、賠償・禁止命令 京都地裁判決」と言う見出しで、次のように報じていました。
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ヘイトスピーチ差し止め訴訟 京都地裁判決「
人種差別に該当」 (10月8日読売)

 朝鮮学校の周辺で3回にわたって街頭宣伝活動をし、民族差別などのヘイトスピーチ国(憎悪表現)を繰り返して授業を妨害したなどとして、学校を運営する京都朝鮮学園(京都市)が、市民団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」や同会メンバーら9人を相手取り、学校の半径200b以内での街宣の差し止めと計3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、京都地裁であった。橋詰均裁判長は、同会などに街宣の差し止めと計約1200万円の支払いを命じた。

 1200万円賠償も命じる
 橋詰裁判長は「街宣などは原告に対する名誉毀損。在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴えるのが目的で、人種差別撤廃条約が禁じる
人種差別に該当する」と述べた。
 判決によると、同会メンバーらは、
京都市南区の京都朝鮮第一初級学校(当時)が近くにある市管理の公園を校庭として不法に占拠しているとして、2009年12月と10年1、3月、拡声機などを使って「キムチ臭い」 「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと連呼し、その様子をインターネットで公開した。

 
同校は別の学校と統合後、同市伏見区に京都朝鮮初級学校として移転しており、移転先で街宣を受けたことはない。原告側によると、過去に被害を受けていない場所での行為を禁ずる判決は極めて異例という。
 被告側は、街宣での発言は
公園の不法占拠という事実に基づいており、表現が辛辣でも違法性が否定される「公正な論評」にあたると反論。社会的信用の低下などの損害はなく、授業変更などは同校が招いたとしていた。
 09年12月の街宣について、京都府警は10年8月、今回の訴訟の被告9人のうち4人を逮捕し、威力業務妨害罪や侮辱罪で有罪判決が確定している。

ヘイトスピーチ
 人種や国籍、宗教など特定の属性を有する集団を差別でおとしめたり、憎しみをかき立てたりするような言動。国連の人種差別撤廃条約で各国に処罰などを求めており、規制する国もある。日本も同条約を締約したが、規制はない。

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ヘイトスピーチ指弾 差別と認定、賠償・禁止命令 京都地裁判決 (10月8日朝日)

ヘイトスピーチを巡る主な動き
 京都の朝鮮学校前で街宣活動を行った在日特権を許さない市民の会(在特会)側に新たな街宣活動の差し止めと高額賠償(1226万円)を命じた7日の京都地裁判決は、ヘイトスピーチに民事的な責任を問う道を開いた。過激さを増す差別的な表現の抑制につながると期待される一方、法規制には慎重な声もある。▼社会面=判決要旨

 判決によると、在特会の会員らは2009年12月〜10年3月、京都市の第一初級学校周辺で「犯罪者に教育された子ども」「朝鮮半島へ帰れ」などと3回にわたり演説した。判決は内容が、日本も批准する人種差別撤廃条約に照らして「人種差別」にあたると判断。名誉毀損(きそん)の成立を認め、演説などに公益目的はないとして、違法と結論付けた。

 また同校は今年4月、新校舎に移転したが、「在特会と会員らが、新校舎付近で同様の示威活動を行うおそれがある」として、新校舎の校門を起点に、半径200メートル以内での街宣活動などを差し止めた。

 東京有数のコリアンタウン、新大久保(東京都新宿区)周辺では週末のたび、ヘイトスピーチが繰り返されてきた。焼き肉店の在日韓国人の男性従業員(27)は判決を受け、「街宣のたびにうつむいて耐えてきた。これからは顔を上げて歩ける」。

 7日の判決は、民法上の不法行為が成立し、それが
人種差別によるなら、賠償額は高額にすべきだとの画期的判断も示した。

 一方で今回は学校に、教育業務の妨害やその後の悪影響など、有形無形の具体的損害があると認めた。日弁連国際人権問題委員会副委員長の武村二三夫弁護士(大阪弁護士会)は「不特定多数が標的になる、街中のヘイトスピーチにあてはめるのは難しい」と話す。ただ、キムチや韓流ドラマグッズなどを「売るな」と叫ぶなど、特定の個人や店が対象になれば、「業務妨害などが成立する可能性はある」とも指摘する。

 ■規制か表現の自由か、難問

 欧州で、外国人を敵視する「ネオナチ」が台頭したのを背景に、国連が人種差別撤廃条約を採択したのは1965年。各国にヘイトスピーチを犯罪と定めるよう求め、欧州などで差別禁止の法制化が広がった。

 米国は公民権法などで差別を禁じ、人種や宗教、性的指向などを理由とする暴力や殺人などをヘイトクライム(憎悪犯罪)と規定するが、言論の自由を重んじる観点から、条約でヘイトスピーチの処罰を求めた条項は留保。92年の連邦最高裁判決もヘイトスピーチ規制を「違憲」と判断した。

 日本も95年に条約を批准したが、ヘイトスピーチ処罰条項は「立法措置が必要なほど人種差別思想の流布や扇動が行われていない」と留保している。内野正幸・中央大大学院教授(憲法)は「差別的表現とはいえ、不特定多数に向けられたものなら、表現の自由を優先せざるを得ない」と立法には慎重姿勢。「ヘイトスピーチを抑えるのは法律でなく、世論の力。在特会のような主張が受け入れられる社会状況を変える方法を考えるべきだ」と話す。

 法務省幹部も「罰則を設けるには、表現の自由を制約してまで守る利益は何か、ヘイトスピーチにあたる表現をどう定義するかなど、越えるべき課題が多い」と説明している。

 ヘイトスピーチ問題に詳しい神原元(かんばらはじめ)弁護士(横浜弁護士会)は「将来の街宣活動まで差し止めた今回の京都地裁判決は、現行法の範囲内でもまだまだヘイトスピーチを阻止できると示した先例になる」と評価。そのうえで「限界もあるので、立法措置についても並行して議論していくべきだ」と話す。

 ■在特会「活動続ける」
 「判決は判決として、在日特権を廃止する活動は今後も続けていく」。在特会の八木康洋副会長は判決後、京都地裁前で報道陣に明言した。

 在特会は2006年末に結成。在日韓国・朝鮮人は経済的便宜などの様々な「在日特権」を不当に得ていると非難、09年ごろから街頭での活動を活発化させた。HPによると、外国人でありながら日本人と変わらない生活を保障した特別永住資格▽生活保護優遇▽通名の使用――を「特権」の代表例としている。

 ただ、特別永住資格は、戦前や戦中に日本に移住した旧植民地(朝鮮半島・台湾)の人たちに戦後、入管特例法によって与えられた在留資格だ。生活保護は「在日を優遇する」という法制度にはなっておらず、通名の使用は民族差別が今も社会に残っていることなどが背景にある。

 神戸大大学院の木村幹教授(朝鮮半島地域研究)は「歴史的経緯を考えると、いずれも『特権』と騒ぐ理由は見あたらない。在日特権とは、検証のないネットの情報を都合よくつなぎ合わせたもの」と話す。

 ジャーナリストの安田浩一さんによると、デモ参加者に共通するのは「自分たちは在日によって様々なものを奪われてきた被害者で、奪われたものを取り戻す正義の闘いをしている」と強く意識していることという。

 「彼らも、自分たちの表現そのものが高額賠償の対象となると裁判所が初めて判断したことに、衝撃を受けているはずだ。ただ、ネット上には早くも、在特会の支持者たちが『不当判決』『高裁判決でひっくり返る』と気勢を上げており、これで彼らの活動が収束に向かうと考えるのは早計だ」と話す。

 ■ヘイトスピーチや差別行為に対する各国の法規制

<日本>
法規制なし
<米国>
憎悪による暴力行為などの犯罪(ヘイトクライム)を禁止。言論規制は1992年に連邦最高裁が「違憲」と判断
<カナダ>
刑法で人種や民族、宗教、性的指向などによる集団への憎悪扇動を禁止
<ドイツ>
刑法の民衆扇動罪で民族集団への憎悪扇動や、ホロコーストを虚偽とする主張を禁止
<英国>
公共秩序法で人種的憎悪の扇動を処罰。平等法で差別を禁止
<オーストラリア>
人種差別法や人種憎悪法で差別扇動を違法と規定。州法の刑法などで差別的中傷を禁止
<中国>
刑法で民族的憎悪や差別の唱道を処罰
 (研究者への取材などから作成)
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ヘイトスピーチ訴訟の判決(要旨) (10月8日 朝日)

 京都市の朝鮮学校周辺での街宣活動禁止と損害賠償を命じた7日の京都地裁判決理由の要旨は次の通り。

 ■被告(「在日特権を許さない市民の会」〈在特会〉など)の行為の違法性

 示威活動と(インターネット上の)映像公開行為は、児童や教職員を畏怖(いふ)させ、通常の授業を困難にするので学校法人の業務を妨害し、名誉を毀損(きそん)する。

 被告らは在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図で示威活動と映像公開をしたと認められ、人種差別撤廃条約が定義する人種差別に該当する。示威活動と映像公開による名誉毀損行為は、授業中の学校近くで拡声機や街宣車を用い、著しく侮蔑的で差別的な多数の発言を伴うもので、人種差別に該当することからすれば、「専ら公益を図る」目的で行われたと評価することができず、違法性ないし責任が阻却される余地はない。

 人種差別行為が無形損害を発生させている場合、人種差別撤廃条約の定めに適合させるために、支払いを命じる賠償額は人種差別行為に対する効果的な保護や救済措置となるよう定めなければならない。本件の場合、無形損害の金銭評価は高額なものにならざるを得ない。

 ■街宣活動の差し止め

 学校法人である原告は、学校周辺での示威活動などによって起きた権利侵害(業務妨害や名誉毀損)に対しては、同様の侵害が起こりうる具体的なおそれがある場合、法人の人格的利益に基づき被告らに対しさらなる権利侵害を差し控える不作為義務の履行請求権を得る。

 在特会と会員の一部被告によって、学校の移転先で同じような業務妨害や名誉毀損がされる具体的な恐れが認められるから、差し止め請求には理由がある。

 原告の差し止め請求は、被告らの表現行為そのものを差し止めるものではなく、校門を起点に半径200メートルの範囲だけに場所を限定する。(北海道知事選の候補者が雑誌の発行差し止めを求め、最高裁が出版等の事前差し止めの要件を示した)北方ジャーナル判決の法理は、この程度の不作為義務の給付をも違法とするものではなく、被告らの主張は失当だ。

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 裁判結果と新聞記事には大きく分けて問題が3点あります。

1.
 在特会の行為は人種差別にはあたりません。裁判所は在日韓国人・朝鮮人(以下コリアンと表記します)が自分たちに向けられる
理由のある憎悪を“サベツ”だと言って話をすり替えるのに同調しています。

 日本人とコリアンは残念ながら人種的にはほとんど大きな違いがなく、仮に彼等を罵倒することが非難されるべきことであったとしても、それは“人種差別”には該当しません。これを人種差別というのは、不当なこじつけ、拡大解釈です。
 コリアンが日頃自分たちに対する批判、忌避、嫌悪に対して、反論の余地がないときに言い逃れとして、
“サベツ、サベツ”とほざいている(ただし、コリアンも人種差別だとは言っていません)のと軌を一にする暴論です。
 
 中国では反日デモの際、「小日本」、「日本鬼子」などの罵声が浴びせらて、日系商店が破壊されることがしばしばですが、誰も“人種差別”とは言いません。

2.
 
憎悪すべき相手に憎悪の言葉を浴びせるのは当然のことです。“外国人居留民学校による公園敷地不法占拠”という政治的、社会的な理由があって、在日コリアンを非難することがどうして人種差別になるのでしょうか。

 人をみだりに憎悪することは非難されるべきですが、
理由があれば話は別です。理由の有無を問わず人を憎んではいけないなどと言うのは、僧侶や牧師などの説教でもない限り、現実離れした単なるきれい事に過ぎません。
 世の中には、
いくら憎んでも憎み足りない人間が存在します。そういうものを罵倒してもそれは許容されるべきです。

 だいたい多くのデモ行進や抗議行動は、怒り、憎しみの言葉を発するのが普通で、一切の表現の自由を無条件に保障した憲法21条の観点から、これらの行為を排除すべきではありません。

 コリアンが在特会の抗議行動に恐怖を感じたとすれば、それは
身に覚えがあるからです。何の反論もできないことが大きな要因です。
 在日コリアンによる土地の不法占拠は今回の京都の朝鮮学校に限らず、全国各地で発生している問題です。同じ京都の
ウトロ地区の不法占拠問題は多くの国民が知るところです。そして、この問題に対して在日コリアンが組織的に抵抗してきたことも事実です。

 さらに。在日コリアンの敵対行為、不法行為、反社会的行為は土地の不法占拠にとどまりません。
全国各地に今も残る土地の不法占拠は、明白、歴然とした敵対行動のひとつの典型に過ぎません。(D35戦後、在日韓国・朝鮮人は何をし、何と言ったか http://www.kcn.ne.jp/~ca001/D35.htm 参照)
 そしてその行動は決して個人や少数の過激派のものではなく、在日コリアンのほとんどが加入する、
朝鮮総連や韓国人居留民団としての組織的行動です。日本人が彼等のしてきたこと、行ってきたことを知れば、在日コリアンを憎悪しない人間などは一人もいないはずで、全員が「朝鮮人を日本からたたき出せ」と言う在特会の主張を支持すると思います。

 コリアンはなぜ不法占拠の非難に対して、「不法占拠には当たらない」と反論しなかったのでしょうか。彼等は日本のマスコミを通じて大きな発言力を持っています。コリアンに少しでも不利益が生じれば、朝日新聞などは大きく報じます。反論しようとすればできるはずです。
 それにもかかわらず彼等が反論しなかったのは、自らの非を認識し、反論できず、反論が不利である事を認識し、この問題をいつものように人種差別にすり替えようとしたからです。そのすり替えのために沈黙を守り、被害者を偽装しているに過ぎません。

 土地や建物の不法占拠があって、占拠者に出て行けと言うときに、その
出て行けという言い方が侮辱的であったかどうかなどは大きな問題ではありません。仮に言い過ぎがあったとしても、その当否は不法占拠という事実を十分考慮した上で判断されるべき事柄のはずです。
 在日コリアンの積年の敵対行為、反社会的行為に目をつぶり、目先の罵詈雑言のみを断罪するのは、文字通り「木を見て森を見ざる」愚行と言うほかはありません。

 
相手がコリアンだと、なぜ常識が通じず、このような歪んだ判断になるのか不思議でなりません。

3.
 
朝日新聞は「在特会」が行為に及んだ理由、すなわち朝鮮学校による土地の不法占拠の事実を隠蔽しています。

 上記の記事を見てれば分かるとおり、読売新聞は決して十分とは言えませんが、コリアンの公園不法占拠の事実と、在特会の抗議行動はこの不法占拠に向けられたものである事、その後朝鮮学校は移転し、以後在特会の抗議行動は行われていないことをキチンと報じています。しかるに、
朝日新聞は不法占拠の事実そのものを全く報じていません。この不法占拠の事実こそが問題の核心で有り、罵詈雑言などは枝葉末節に過ぎません。
 朝日の記事だけを見ている読者は、コリアンは理由もなく罵声を浴びせられている
可哀想な被害者と誤解します。実はこれこそが彼等の狙いだと思いますが、実に悪質な情報操作と言うほかはありません。

平成25年10月9日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ