D146
安倍談話をめぐり韓国を批判する、産経新聞黒田勝弘論説委員の空しい“正論”-反日日本人の存在が元凶−


 8月23日の産経新聞は、「【から(韓)くに便り】黒田勝弘 『謝罪』の要求、中国には遠慮」と言う見出しで、次のように論じていました。
--------------------------------------------------------------------------------------------
【から(韓)くに便り】黒田勝弘 「謝罪」の要求、中国には遠慮
2015年08月23日 産経新聞 東京朝刊 1面

 終戦70年にあたって出された安倍晋三首相の「談話」は、韓国ではまるで韓国のためのものであるかのようにマスコミを中心に異様な関心が示されたが、結果的には安倍首相の“判定勝ち”だった。

 目配りと工夫がこらされた「安倍首相の歴史認識」に韓国は戸惑った。「韓国」がなかなか見当たらなかったからだ。しかしマスコミは日本に対しては「和解」も「寛容」も考えていないので、予定通り「自分の言葉で謝罪がない」と非難して終わった。「もう日本に謝罪を求めてもしかたない」といった“謝罪要求疲れ”を感じさせる論評も出ていたから、それだけでも安倍談話は成功だろう。

 韓国政府の公式論評が翌日に持ち越されたのも戸惑いの結果だ。その代わり朴槿恵(パク・クネ)大統領の「8・15光復節記念演説」があったが、演説は安倍談話に対し「物足りない部分が少なくない」としながらも「謝罪と反省」の言葉を評価し、「今後、日本政府の誠意ある行動」に期待するとしている。

 「不満だが今後を見守る」というのは、韓国が対日外交で事態収拾の際によく使う言い方だ。つまり、これまで官民挙げて熱を上げてきた安倍談話をめぐる“反日外交”が一件落着したことを意味する。

 その後すぐ韓国政府は朴大統領が9月3日に中国が行う「抗日戦争勝利70周年記念行事」に出席すると発表した。こちらは「やっぱり行くのか」と思いつつ不思議な感じがする。

 まず韓国は歴史的に中国共産党軍の“抗日戦争”とは関係ない。戦前、中国共産党軍に加わっていたのは後に北朝鮮で金日成(キム・イルソン)政権を作った共産勢力であり、この両者は1950年からの朝鮮戦争では一緒になって韓国を侵略した。その結果、中朝は韓国打倒の「血盟関係」になったのではなかったか。

 朝鮮戦争で中国軍はソウルの南まで侵攻している。中国軍の介入で戦争は長引き韓国は膨大な死傷者を出した。中国軍が介入しなければ国連軍・韓国軍の反撃で北方に追い詰められた金日成の北朝鮮は崩壊し、南北の自由統一は実現していたかもしれない。

 韓国の公式的な歴史認識でいえば中国は侵略者であり、南北統一の妨害者なのだ。ところがその中国に対し、
韓国は「謝罪と反省」など一度も要求したことがない。中国も「謝罪と反省」どころか「英雄的戦い」といってあの戦争を今も自賛している。

 92年の韓中国交正常化後、数多くの首脳会談があったが朝鮮戦争をめぐる「歴史認識」「歴史清算」「謝罪と反省」が話題になったことはない。しばしば韓国の外交当局者に「なぜ要求しないのか」と質問したが「中国は応じないから」が答えだった。

 とすると日本への執拗(しつよう)な要求は、日本なら応じると思われているからということになる。日本への甘え?

 朴大統領は習近平国家主席に日本の悪口をいうのではなく「中国の歴史認識」という自分たちのことを語ってほしい。中国に言えないのなら日本にも今後、遠慮してほしい。「歴史認識」など外交的にはいつでも棚上げするものということを確認し合ってもいいけれど。(ソウル駐在客員論説委員)
---------------------------------------------------------------------------------------------

 確かに韓国が日本に対して言っていることしていることは、中国に対して言っていることと比較して不公平であり、ダブル・スタンダードと言うべきです。黒田氏の言っていることはまさに“正論”ですが、この正論がなぜ韓国(韓国人)には通用しないかを考える必要があると思います。

 韓国人にとって日本と中国では大きな違いがあります。それは
反日日本人の存在です。日本には反日日本人がいますが、中国に反中中国人はいません(どこの国にもいないのが普通です)。そして反日日本人は質・量共に半端な存在ではありません。
 今回の安倍談話に関しても、発表される何ヶ月も前から日本国内で侃々諤々の議論が巻き起こり、日本国内で韓国人・中国人の立場に立って安倍総理を批判する多数の日本人がいたことを忘れてはなりません。特に大学教授やマスコミ関係者の中にその存在は顕著です。村山元総理、鳩山由起夫元総理などの
“良心的日本人”も彼等韓国人にとっては未だに大きな存在です。

 そもそも、村山“反日談話”は、中・韓からの要請で発せられたものではなく(国内世論の要請でも無く)、村山総理が自ら言い出した自爆行為であり、河野“慰安婦談話”朝日新聞他の日本のマスコミが震源地であり、韓国人は彼等に煽られるような形で騒ぎ出したことを想起しなければなりません。
 韓国人のダブル・スタンダードを批判する前に、“侵略”も“慰安婦”も、現在の紛争の原因を作ったのは日本人である事を思い起こすべきです。

 記事の中に、「とすると日本への執拗(しつよう)な要求は、日本なら応じると思われているからということになる。
日本への甘え?」と言う部分がありますが、反日日本人の大群を見れば、韓国人ならずとも、強硬な態度を貫けば「日本は応じる」と考えても不思議はないと思います。
 
黒田さんの言うことは正論ではありますが、問題の核心から外れています。

平成27年8月23日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ