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金大中大統領と「韓日文化交流」

 10月1日の朝日新聞に韓国の金大中大統領の記者会見での挨拶の内容が掲載されました。その中で金大統領は「今回の訪問をきっかけに、韓日の新しい文化交流が始まることを期待する。日本の文化が段階的に韓国に進出(文化が「進出」すると言うのは変な表現です)できるように、そのような問題について小渕首相と十分に話し合うつもりでいる」と語っています。

 金大統領は文化交流をほんとに望んでいるのでしょうか。もし本当に望んでいるのなら、日本文化の「解禁」はなぜ「段階的」であって「即時、全面的」ではないのでしょうか。「そのような問題について小渕首相と十分に話し合う」と言っていますが、「そのような問題」とは何のことなのでしょうか。日本は韓国に対抗して韓国文化の禁止をしているわけではありませんし、WTO(世界貿易機関)設立の際も韓国の日本文化に対する障壁を貿易上の障壁として取り扱わないことを認めています。

 つまり日本文化を解禁するか否かはもっぱら韓国の国内問題であって外交問題ではないのです。小渕首相と一体何を話し合うのでしょうか。もし、外交問題と考えられる部分があるとすれば、それは韓国人による著作権侵害(盗作、剽窃、海賊版の横行)の問題しかありません。

 韓国人は日本文化の禁止と日本文化の大流行という、「本音と建て前」、「建前と現実」の乖離に耐えられなくなって、日本文化の解禁に踏み切らざるを得なくなったのです。しかし、自らの意志で解禁するのは「自尊心」が傷つくと考え、日本政府との外交交渉によって(日本政府の要望によって)解禁したという体裁を取り繕おうとしているに過ぎません。そして、あわよくば「解禁」を韓国の譲歩であるかのように見せかけて、日本から新たな譲歩を引き出そうとしているだけです。

平成10年10月2日      ご意見ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      D目次へ