D162
韓国元徴用工巡る対抗措置問題で、今までの経緯を無視し、単なる建前論・一般論を繰り返して、韓国人を喜ばせている日経の社説

 7月1日の日本経済新聞は、「社説 元徴用工巡る対抗措置の応酬を自制せよ」で次のように論じていました。
---------------------------------------------------------------------------------------
社説]元徴用工巡る対抗措置の応酬を自制せよ
朝鮮半島 社説 2019/7/1 19:05日本経済新聞 電子版

 徴用工問題で政府は韓国への厳しい対抗措置に踏みきった(1日、韓国・釜山の徴用工像の周辺で開かれた集会)=共同

 政府が元徴用工訴訟を巡り韓国への事実上の
対抗措置に踏みきった。徴用工問題の一義的な責任は韓国側にあり、是正を求めるのは当然だ。とはいえ、通商政策を持ち出すのは企業への影響など副作用が大きく、長い目でみて不利益が多いと懸念せざるをえない。

 対抗措置は、半導体製造に使う材料の輸出規制を厳しくする内容だ。韓国への輸出で認めてきた優遇措置を改め、個別に許可・審査する方式に切り替える。韓国電機産業の生産に影響が出るとともに韓国企業を大口顧客とする日本企業も打撃を受ける恐れがある。

 日本企業に元徴用工への慰謝料の支払いを求めた韓国大法院の判決は、国交正常化後に各層で信頼を築いてきた日韓関係の法的な基盤を覆す。韓国政府も国交正常化時に解決済みとの立場をとってきており、まずは
無条件で2国間の話し合いに応じるのが筋だ。

 それでも半導体を標的にするのは問題が多い。韓国の半導体やスマートフォン、家電生産などは日本の部品・素材、装置メーカーが支える。今回、管理強化の対象になるフッ化水素など3品目は半導体の生産に不可欠で、日本企業の世界シェアが極めて高い。

 材料の供給が途切れ、例えば世界最大の半導体メーカーである韓国サムスン電子の生産に支障が出るようなら、スマホやパソコンなど半導体を利用するすべての機器の生産も滞り、混乱が世界に広がりかねない。日本発の供給ショックを起こしてはならない。

 今回の措置は
国際政治の道具として通商政策を利用しようという発想が色濃い。米トランプ政権や中国が使う手法だが、日本は一線を画してきた。安倍政権は自由貿易の担い手として海外から期待も寄せられていたが、こうした評価を損ねるかもしれない。

 
韓国が対抗措置をとって報復の連鎖が続けば、日韓関係全般に緊張を招く。両国間の往来は年間1000万人を突破し、その7割強を訪日韓国人が占める。若者らの民間交流は大事にしなければならない。困難でも対話で解決する努力を諦めないでもらいたい。

 政府は安全保障上の友好国として規制を緩和する「ホワイト国」からも韓国を除外するという。韓国艦艇による自衛隊機へのレーダー照射などは危険極まりない行為だが、ともに米国と同盟を結ぶ国同士が角を突き合わせ続けるのは
安保の連携にも不安を残す。
------------------------------------------------------------------------------------
 
記事を読んで問題点はいくつもありますが、主な点を列挙します。

 「対抗措置の
応酬を自制せよ」
 まず、タイトルで「元徴用工巡る対抗措置の
応酬を自制せよ」と言っていますが、今は日本が最初の「対抗措置」を取ろうとする段階であって、まだ「対抗措置の応酬」には至っていません。韓国側が日本の対抗措置に対して、「対抗措置」を取るかどうかは不明です。その段階で、「応酬」を非難するのは、フライングではないでしょうか。少なくともここは日本に対する非難とは読めません。韓国をけん制していると読むしかありません。

 「徴用工問題の
一義的な責任は韓国側にあり」
 次に、「徴用工問題の
一義的な責任は韓国側にあり、是正を求めるのは当然だ」とありますが、二義的以降に、何か日本に責任があると言うのでしょうか。全く理解に苦しむとしか言いようがありません。

 「
通商政策を持ち出すのは・・・、不利益が多い」
 「
通商政策を持ち出すのは企業への影響など副作用が大きく、長い目でみて不利益が多いと懸念せざるをえない」と言っていますが、では他に良い方法があるのでしょうか。 
 2018年10月30日に韓国の最高裁が、日本の新日鐵住金に賠償金の支払を命じる判決を言い渡して以来、日本政府は何度も協定に基づく協議や仲裁手続きなど様々な申し入れをしたにも拘わらず、
韓国政府は一切無視して8ヶ月が経過しました。もはや、対抗措置、報復措置に訴えるしか無いのではないでしょうか。
 もし、通商政策以外に効果的で不利益の少ない対抗措置があると言うなら、
具体的な提案をすべきです。

 また、不利益が多いと言いますが、確かに対抗措置はこちらにも何らかの不利益は伴います。アメリカのトランプ大統領が、中国に対して関税などの制裁措置を発動していますが、アメリカ国民にも不利益は生じています。
 しかし、輸出に制限を掛ける今回の制裁措置が日本にとって不利益があっても、韓国の条約違反・
無視を放置して、日本企業の損害を座視するのは、“長い目で見ても、短い目で見ても”、対抗措置よりも遙かに多くの不利益をもたらすことは間違いありません。目先にとらわれた議論をすべきではありません。

「まずは無条件で2国間の話し合いに応じるのが筋だ
 
筋論を言っても始まりません。韓国は今までの経緯から明らかなように、一般論(筋論)が通じる国、国民ではありません。筋論(一般論)が通用するなら、こんな問題にはなっていません。
 韓国は日本政府が強硬な態度を維持し、
対抗措置に踏み切ったからこそ、初めて慌てているのです。

 日本の対抗措置に対して批判的な
日経の記事に対して、韓国の新聞「中央日報(日本語版)は次のように報じて称賛していました。
----------------------------------------------------------------------------------------
【社説】名分も実益もない日本の貿易報復、すぐに取り下げるべき
2019年07月03日07時35分  [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

 日本政府が強制徴用判決に対する報復として、半導体やOLED(有機EL)の材料3品目に対する輸出規制に出たのは稚拙で愚かな行為だ。日本経済産業省は1日、韓国関連の輸出管理規定を見直し、半導体製造に不可欠な高純度フッ化水素(エッチングガス)および感光液(レジスト)、OLED部品に使われるフッ化ポリイミドを包括的輸出許可対象から個別的輸出許可対象に切り替えた。こうなれば契約ごとに90日ほど要する政府許可と審査を受けなければならず、韓国としては深刻な貿易規制を受けることになる。

(中略)

 さらに今回の措置は日本自身のためにも全く得にならない自害行為だ。よっぽどでなければ日本の有力メディアである
日本経済新聞(日経)が社説で反対しただろうか。日経は昨日の社説で「(徴用工問題に対して)通商政策を持ち出すのは企業への影響など副作用が大きく、長い目でみて不利益が多い」との懸念を示した。あわせて「(対抗措置は)韓国電機産業の生産に影響が出るとともに韓国企業を大口顧客とする日本企業も打撃を受ける恐れがある」と主張した。その通りの言葉だ。

(以下略)
----------------------------------------------------------------------------------------

 そもそも、韓国人が“徴用工”を巡って日本を非難して言っていることは、
ほとんどが嘘です。その嘘に対して、日本のマスコミ、歴史学者など、反論すべき立場の日本人は、ほとんどが反論せずに沈黙してきました。それを見た韓国人が日本人は反論しない、出来ないとして嘘に自信を持ち、嘘が拡散した事がこの問題の背景です。
 
日経はじめ日本のマスコミはこの成り行き、この事態を招来したことについて、大きな責任があります。彼等は今からでも韓国人の嘘に対して反論すべきです。それをすること無しに、本題を抜きにした空虚な建前論、一般論を繰り返して韓国人を喜ばせることは、まさに祖国と同胞に対する背信行為と言うべきです。

令和元年7月3日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ