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在日韓国人の軍人恩給訴訟         (「現代コリア」98年4月号掲載)

 在日韓国人が軍人恩給の支給を求めていた裁判で、訴えが棄却されました。これを批判的に報じる読売新聞(3月28日朝刊)を見ているといくつかの疑問が起こります。まず第一に、在日韓国人のこの種の裁判では決まって「憲法違反」が主張されますが、憲法にあるのは「国民」の権利であって「外国人」の権利などどこを探してもありません。平等とは「国民はすべて法の下で平等である」と言っているのであって、外国人が含まれていないのは明白です。在日韓国人は自分たちは国民だと思っているのでしょうか。日韓併合は50年以上前に解消されていることが理解できないのでしょうか。

 もし、自分はあくまで日本人であって韓国人でないと主張するなら別ですが、そういう主張ではないようです。もしそういう主張をするならもっと早い時期にすべきでした。

 日本が戦争に敗れ敗戦国となり、全土が瓦礫の山になったとき、在日朝鮮人のなかで日本人のままでいたい、日本国籍を維持したいと訴えた人は皆無でした。日本の敗戦は彼らにとっては「光復」で、それによって「奪われていた朝鮮国籍を回復することができた」と言うのが彼らの主張してきたことです。占領下の日本で彼らは自分たちがもはや日本人でないことを強調し、日本人と同様に取り扱われることを拒否し、自ら「戦勝国」でも「敗戦国」でもないという意味で「第三国人」と称しました。さらに敗戦国で占領下にある日本政府は主権国家ではなく、自分たち外国人は日本政府の指示には従わず、直接占領軍総司令部と交渉すると主張しました。実際にそれを実行し、闇商売で巨万の富を築いた朝鮮人、韓国人は少なくありません。それを今になって、日本が経済的に復興し、豊かな国になってから、日本人と同様の待遇を求めたり、地方公務員に採用しろと言ったり、日本国籍を失ったのは自らの意志ではなかったなどというのは、いささか身勝手であると思います。

 韓国人がこれまで主張してきたことは、日本の軍隊が自国を侵略し植民地化した結果、韓国人は徴兵あるいは徴用(強制連行だと言っています)され、無理矢理兵隊にさせられた被害者というものでした。そういうスタンスで賠償金を請求しつづけてきましたが、日韓国交正常化に伴う資金の支払いによりすべては支払い済みとして、裁判で主張は認められませんでした。そこで、今回の訴訟の原告は「日本人の戦友」をアピールし、「・・・ただ、一切れの黒パンを分け合って戦った仲間と同様に扱ってほしいだけです」と日本人の同情を誘う作戦に変更したのだと思います。今までの韓国人の主張と全く矛盾しています。

 台湾の場合は日本を非難したり、賠償金を要求する人は皆無で、中華民国政府も日本に対する賠償を放棄しました。そのため日本で議員立法で台湾出身の軍人、軍属に対する補償が実現したのです。この辺が、官民そろって日本を非難し賠償金を請求し続ける韓国と台湾の決定的違いです。

 判決後「私のような人間がいることを知ってもらいたかった」とは、「私のようなかわいそうな韓国人がいる」という意味なのでしょうか。それとも「私のような例外的な親日韓国人がいる」という意味なのでしょうか。もし後者であれば、日本人として心を動かされますが、国籍の問題や恩給の問題は一個人の問題ではないので裁判で主張を通すのはやはり無理だと思います。

 なお、細かいことですが、「せめて政府がねぎらいのはがき一枚くれれば」と言っていることも理解に苦しみます。 それならば金銭の請求でない、そういう趣旨の訴訟にすべきであったと思います。小学校の校長が自分の姓を取って「小林勇夫」と名付けてくれ、「朝鮮生まれの日本人」と思って育ったとありますが、彼の両親はなんと言っていたのでしょうか。詳しい事情が報じられていないので疑問が残ります。「引き揚げ後外国人登録証を見て日本人でないと知った」と、それほど日本人だと思い込んで育ち、日本国籍を喪失したのが自分の意志でないと主張している人が、その後帰化(日本国籍を再取得)せず、韓国名を名乗っているのは何か事情があるのでしょうか。

平成10年3月29日     ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      D目次へ